今夜も、お酒を、楽しく飲みたい 日本の酒景365

あなたの街の居酒屋で、隣の街の小洒落たバーで。
誰もが名を知るチェーン店から、名も無き小さな路地裏の店まで。
日本全国津々浦々、あらゆる街の、あらゆる酒場で、
毎日毎夜生まれては消えていく、
お酒がとりもつ一瞬の景色を切り取ります。

陽なた家 茂虎 旨味が凝縮された白濁スープに舌鼓!地酒を片手にこだわりの名物メニューを味わう

●福岡市の大名で、博多流の水炊き鍋を味わえる和風居酒屋

大型のファッションビルやアパレルショップが立ち並び、若者が賑わう大名エリア。数ある飲食店の中でも、九州の地鶏にこだわった美味しい水炊きが食べられると評判なのが、和食居酒屋「 陽なた家 茂虎 」。

大分県中津市にある本店は、たこ焼き屋からスタートしたという異色とも取れるルーツを持つ。博多に系列店を展開し、2014年には大名エリアに2号店となる「陽なた家 茂虎」がオープンした。

「ワイワイと賑やかな1号店に比べると、2号店は少し落ち着いた雰囲気です。
年配の方の来店も多く、接待やご家族での食事会にもご利用いただいています」と聞かせてくれたのは、福岡エリア統括マネージャーの角伊織(すみいおり) さん。博多名物の水炊き鍋、わらで焼くかつおのたたきなどの本格的なお料理や、スタッフの丁寧な接客を見ていると、大切な相手を招いての会でも十分に満足してもらえるだろうと納得できる。

▲かつおのわら焼きには、厳選した朝倉産のわらを厳選して使用。ダイナミックに焼き上げられるかつおを見る眺めるならカウンター 席がベスト。

日本各地の日本酒が週替わりで楽しめる!

「焼酎好きのお客さんも多いですが、うちの水炊きと相性がいいのは、やはり日本酒です」と断言する角さんは断言。週替りで10種類以上揃った日本全国の銘酒を楽しみに来店するお客さんも多い。昨年10月からは「蔵しぼり生酒」の提供も始まり、日本酒のラインナップが充実している。

「最初に仕入れた蔵しぼり生酒は、『もだん』でした。1830年の創業以来、180年以上続く新潟の蔵元である朝日酒造さんの限定酒と聞いて、個人的にも興味を持ちました。もちろんお客さんにも好評でリピート率も高いです。この銘柄を飲ませたいからと他のお客さんを連れてきてくださる方もいます。生酒のフレッシュな美味しさと、周辺では、ここでしか飲めないという希少さも人気の秘密だと思います」と語る。

▲料理や好みに合わせて、スタッフがおすすめの日本酒をチョイス出してくれる。

素材からこだわってつくる名物のごちそう料理

お店を訪れたら絶対にハズせないのは、来店するお客さんのほぼ全員が注文するという、名物の水炊き鍋。無農薬のトウモロコシを餌に、福岡・朝倉山の大自然でのびのびと育った古処鶏(こしょどり)を使用している。

▲くさみがなく、比較的柔らかい肉質の古処鶏。

鶏ガラを 2 日間煮込んだ、白濁のスープが登場したら、すぐに具材を入れたくなるが、そこは我慢。博多の伝統的な作法にならって、最初はトロリとしたスープからいただこう。「鶏ガラを砕いてから仕込んでいるので、ガラの中心部から抽出されたコラーゲンがたっぷりと溶けこんでいますよ」との言葉どおり、 滋味あふれる味わいに身体の芯からあたたまる。

▲湯飲みサイズの専用の器があらかじめ用意されている。

旨味がギュッと詰まったスープには、パンチのある「あさねぼう 純米 生原 酒」が好相性。アルコール度数が18度と普通の日本酒より少し高めで、フレッシュな風味の中にもしっかりとした旨味を感じられる。

続けて、古処鶏をミンチにしたツミレを投入。スタッフが鍋の火加減から具材を取り分けるまでのすべてを手際よく行ってくれるので、手順が分からなくても安心だ。最後は、コクの増したスープに野菜を入れていただく。〆は雑炊というのも博多では定番だ。

▲小さく丸めて鍋に入れたツミレは、3~4分ほど煮込めば食べられる。

「陽なた家 茂虎」のもうひとつの名物が、かつおのわら焼き。朝倉産の本物の稲わらを使って、注文ごとに焼き上げる。「本場の高知県でも、コスト削減のため、本物のわらで焼くお店は少ないんです」と角さん。わらの焼ける匂いが店内に漂うと、つられて注文するお客さんも多いとか。表面が香ばしく焼きあがったかつおには、レモンとお塩をふって、柔らかい香りと純米らしい余韻のある「もだん 純米吟醸 生酒」を合わせたい。

▲脂ののったかつおの旨味を「もだん 純米吟醸 生酒」でスッキリと。

日替わりの旬の野菜を使った「旬野菜のろばた盛り」もお酒に合う一品。粗くひいた沖縄の塩は、野菜の甘みをさらに引き出す名脇役。甘みの強い濃い味わいの旬の野菜には、華やかな香りの「8:00pm 純米吟醸 生酒」がおすすめ。スッキリとした酸味とフルーティな香りは、冷やしてワイングラスで楽しむのにぴったりだ。

▲「白ワインが好きな方には、『8:00pm 純米吟醸 生酒』をおすすめします」

心地よい接客に心あたたまるひとときを

「お刺身には純米酒、わら焼きのかつおは必ず塩でお勧めしますし、水炊きの具材を食べる順番にも、私たちのこだわりがありますが、お客さんへの押しつけにならないように気をつけています。美味しい食べ方は提案しますが、その方の好みで味わっていただくのが一番ですから」と語る角さん。鍋の様子を見てくれたり、おすすめの日本酒を詳しく教えてくれたり、スタッフのさりげないサービスも心地よい。

「陽なた家」のコンセプトは、「笑顔が集まるもう一つの家」。カウンターの吊り戸は、これまで「陽なた家」を訪れたお客さんの笑顔の写真で埋め尽くされている。「記念日以外にも、ここ最近はプロポーズのためのサプライズにも、ご協力させていただいております」と表情をほころばす角さん。毎回イベントを、全力で盛り上げてくれ るスタッフは、お客さんにとって心強い味方なのだ。たくさんの笑顔が生まれる場所だからこそ、我が家のようにのんびりと寛げる。

▲ 写真左・こだわりの鶏料理は、からあげや炭火焼きなどのバリエーション豊富。写真右・コの字のカウンター内のキッチンから、 スタッフの元気な声が響く。

  • 福光屋

    8:00pm 純米吟醸 生酒

    720ml

  • 朝日酒造

    もだん 純米吟醸 生酒

    720ml

今回訪ねたお店

陽なた家 茂虎

福岡県福岡市中央区大名1-9-22 大名ハーモニー2F

092-731-6565

月〜木・日・祝日 18:00〜翌1:00(L.O 24:00)
金・土・祝前日 18:00〜翌2:00(L.O 翌1:00)
定休日:不定休