こんなに手がかかっている! 日本酒の製造工程

こんなに手がかかっている! 日本酒の製造工程

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玄米から米を蒸すまで!日本酒の基礎を作る

日本酒づくりでまず行われるのが精米です。精米とは、原料である玄米を磨いて表面を削ること。玄米の外側にはタンパク質や脂肪が含まれており、これらが必要以上に多いと発酵のスピードが早くなりすぎてしまうほか、雑味の原因にもなります。米の削り具合が日本酒の味わいや香りに大きく影響するため、精米は日本酒造りの基本といえるのです。

精米された米は、一般的に自動洗米器で洗米され、吸水させる「浸漬(しんせき)」という工程に入ります。浸漬による吸水率は数秒で変わり、蒸し米の出来を左右するため、ストップウォッチを見ながら緻密に時間を管理している蔵元も少なくありません。

こうして浸漬を終え適度に水を含んだ米は、高温の蒸気で蒸し上げられ、麹用、酒母用、醪用に分けられた後、それぞれに応じた温度に冷まされます。

日本酒の要となる麹造りから酒母造り

次に、蒸し米に麹菌をふりかけて、麹を造ります。この作業は「製麹(せいきく)」と呼ばれ、酒造りでは「一麹、二酛、三仕込み」といわれるほど大切な作業です。

麹造りは麹室、または製麹室と呼ばれる湿度と温度を管理した専用の部屋で行われています。麹菌を蒸し米に均等にふりかけた後は、菌糸が均等に育つよう蒸し米を何度もかきまぜ、約2日間で麹ができあがります。できあがった麹は、掛け米と水とともにタンクに入れられ、米を発酵させるための酒母(酛)造りの行程へ。酵母が糖分を分解・増殖し、約2週間で酒母が完成します。

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日本酒独自の三段仕込み

できあがった酒母と麹、蒸し米、水は4日間、三度に分けて、タンクに入れられます。これがうまい酒をつくる日本酒ならではの技「三段仕込み」です。

麹菌がゆっくりと米のデンプン質を糖化し、並行して酒母がアルコールを生じさせる「並行複発酵」が行われます。糖分を効率よくアルコールに変化させるこの方法こそが、原酒で20%前後という高いアルコール度数を可能にしているのです。

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醪(もろみ)から原酒へ。日本酒が生まれる瞬間

タンクの中で発酵を終えた「醪(もろみ)」を、自動圧縮機や袋状の「酒槽(さかぶね)」に詰めて圧縮し、酒と粕に分ける作業を「上槽(じょうそう)」といいます。

この上槽のタイミングや圧縮の仕方によって日本酒の味わいが変わるため、とても重要な作業。杜氏は表面の泡や酒質を毎日計測し、もっともよいタイミングを見きわめているのです。こうして絶妙のタイミングで絞られたら、香り立つ原酒の誕生です。

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火入れやろ過、貯蔵など酒質を調整

続いて原酒の中に含まれる「滓(おり)」と呼ばれる浮遊物を取り除き、さらに細かい固形物を取り除くためにろ過を行います。ただし、ろ過をすることで酒本来の香りが損なわれることもあるため、行わない日本酒もあります。

ろ過が終わったら、次は酵素の糖化作用を止め、微生物を加熱殺菌するための「火入れ」が行われます。この火入れをしない日本酒が「生酒(なまざけ)」と呼ばれるもの。フレッシュな味わいが魅力ですが、酵素や微生物が生きたままなので、保存には注意が必要です。

そして火入れの後は、水を加えてアルコール度数を15度~16度に調整し、香味のバランスを整えます。こうしてできた日本酒は、タンクの中へ。ここで数か月間熟成され、よりまろやかに生まれ変わります。

熟成をおえたら、2回目の火入れ。その後瓶に詰められ、いよいよ出荷の時を迎え、私たちの手元へ届けられます。

これだけの工程を経て私たちに届けられる日本酒。造り手に感謝しながら味わいたいですね。

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