ハイボールはプリン体ほぼゼロで尿酸値が上がりにくいって本当?

ハイボールはプリン体ほぼゼロで尿酸値が上がりにくいって本当?
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ウイスキーハイボールは、プリン体も糖質もほぼゼロでカロリーも控えめなため、健康を気にする人にも支持されています。「尿酸値が上がりにくい」という人もいますが本当なのでしょうか。今回はハイボールの栄養成分と尿酸値を上げにくい飲み方について紹介します。

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ウイスキーハイボールはプリン体が少ないものの、尿酸値を気にする人が本当に飲んでも大丈夫なのかを探ります。

ウイスキーハイボールのプリン体ほぼゼロ!糖質もほぼゼロだけどカロリーはある

ハイボールは低カロリー

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ハイボールといっても、「焼酎ハイボール」、「日本酒ハイボール」、「紹興酒ハイボール」などさまざまですが、本記事では「ウイスキーハイボール」に焦点をあてて検証します。

ウイスキーハイボールは、プリン体も糖質もほぼゼロといわれますが、本当なのでしょうか。ウイスキー自体のプリン体と糖質を確認します。

公益財団法人 通風・尿酸財団の発表によると、ウイスキー100ミリリットル中のプリン体含有量は0.1ミリグラムです。 一般的なビールで3.3~6.9ミリグラム程度、海外のビールやクラフトビールのなかには16ミリグラムを超えるものもあり、比較するとウイスキーのプリン体の少なさは歴然です。

一般的なウイスキーは、蒸溜過程で糖質が取り除かれているため、ほとんど糖質が残っていません。
(ウイスキーのブランド名がついていますが、明らかに甘い「ジャックダニエル テネシーハニー」や「ジム ビーム ハニー」などは「はちみつ」など糖分を加えているので「ウイスキー」ではなく、「リキュール」に該当します)

なお、日本の食品表示法では、食品表示基準に食品表示の基本ルールを定めています。それによると、100ミリリットル中の糖質が0.5グラム未満であれば、「0(ゼロ)」と表示することが許容されており、条件を満たしていれば、糖質ゼロとうたっても問題ないことになります。

では、カロリーはどうかというと、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」によれば、アルコール度数40度のウイスキー100グラム(105ミリリットル)あたりのカロリーは234キロカロリーです。純アルコール1グラムあたりのカロリーは7.1キロカロリーと、アルコールそのものにカロリーがあるため、ウイスキーを炭酸で割ってハイボールにしてもカロリーゼロにはなりません。

ちなみに、厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」によると、「節度ある適度な飲酒量」の目安は1日平均純アルコールで約20グラム。アルコール度数40%のウイスキーに換算すると62.5ミリリットルとなります。

お店にもよりますが、ハイボールはウイスキー1ショット(30ミリリットル)で作るレシピが一般的なので、単純計算でハイボールを2杯飲めば約134キロカロリー摂取することになります。アルコール度数が40度より高い銘柄なら、これより少しだけ摂取カロリーが増えます。

(参考資料)
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

ハイボールを高尿酸血症や痛風の人が飲んでも大丈夫?

痛風の人はハイボールも控えめに

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尿酸値は痛風などのリスクを図る目安となる数値です。尿酸にはプリン体が関係していますが、プリン体含有量が限りなくゼロに近いハイボールを、高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)や痛風の人が飲んでも大丈夫なのでしょうか。

ハイボールはプリン体ほぼゼロでも尿酸値が上がるリスクがある

ウイスキーハイボール中のプリン体は、100ミリリットル中約0.1ミリグラム(※)です。ほぼゼロに近いですが、そもそもプリン体は尿酸値にどう関係しているのでしょう。
公益財団法人 痛風・尿酸財団 アルコール飲料中のプリン体含有量より

尿酸は、プリン体が肝臓で分解されて生じる老廃物です。体内で使い切れなかったプリン体は尿酸となって排泄されますが、尿酸が生成されすぎたり、腎臓からの排泄量が低下したりしてバランスが崩れると、尿酸が溜まり、血中濃度が異常に高まってしまいます。この尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くと、痛風発作をはじめさまざまな病気を招く原因になるといわれています。

プリン体は体内でよい働きもしますが、尿酸値が高い人や痛風の心配がある人は、リスクを避けるために、プリン体がほぼゼロのハイボールでもなるべく摂取を控えたほうがよいでしょう。そもそもアルコール自体に尿酸値を上げる働きがあるため、飲みすぎにはくれぐれも注意してください。

ハイボールは低カロリーでも肥満・痛風が気になる人は摂取量を控えめに

ハイボールは低カロリーとはいえ、前述のとおり少なからずアルコール由来のカロリーがあります。炭酸水の代わりに、コーラやジンジャーエールで割ったり、ジュースで割ったりすれば、さらにカロリーは上乗せされます。

肥満や痛風が気になる人は、ウイスキーを炭酸水で割るだけのスタンダードなハイボールにして、摂取量も控えめにしたほうが安心です。

尿酸値を上げにくいハイボールの飲み方とは?

尿酸値を上げにくいハイボールの飲み方

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尿酸値を上げにくいハイボールの飲み方をみていきます。

ハイボールを何杯も飲むのはNG!節度ある適度な飲酒を心がける

ウイスキーはもともとアルコール度数が高いお酒です。ハイボールも、炭酸水で割っているとはいえ、一般的なビールと比べれば度数は高めです。摂取したアルコールは肝臓で分解されて尿酸になり、尿酸値を上げる方向に働くので、おいしいからといって何杯も飲むことはおすすめできません。

自分で作るハイボールは、好みの濃度で自由に調整できるのが魅力ですが、目分量で作るとアルコールを摂取しすぎることがあります。前述のとおり、1日の節度ある適度な飲酒量の目安はウイスキー約60ミリリットルです。「いつも濃いめに作って飲んでいる」という人は気をつけましょう。

なお、厚生労働省が発信する「健康日本21」では、「節度ある適度な飲酒」量の1日平均純アルコール約20グラム程度という数値は男性を基準としていて、女性はこれよりも少ない量が適当とされています。お酒に弱い人や、アルコール分解速度が低下している高齢者は、男性でも少量に抑えることが重要です。

(参考資料)
厚生労働省|健康日本21(アルコール)

プリン体を多く含むおつまみを控えめに

プリン体の摂取量の目安は、1日400ミリグラム以内に抑えるのが望ましいといわれています。プリン体を多く(100グラムあたりプリン体200ミリグラム以上)含む食品には、鶏・牛・豚のレバー、あんこうの肝、白子、マイワシやマアジなどの干物、大正エビ、カツオなどがあり、尿酸値が気になる人は過剰摂取に気をつけることが大事です。果糖を多く含む飲料や食品も尿酸値が上がる原因になるため、摂りすぎに注意してください。

なお、高尿酸血症や痛風の人は尿が酸性化しやすい傾向にあり、尿酸が溶けにくくなると病気のリスクが高まるため、アルカリ化する食品を積極的に摂ることが推奨されています。尿酸値が気になる人は、海藻やキノコ、野菜などビタミンCを多く含む食材や、果物、ダイズ製品、低脂肪の牛乳、お茶などの摂取が効果的です。また、乳製品やコーヒーは、痛風の発作を抑える作用があるといわれています。

尿酸値を上げない生活習慣も大事

尿酸値には、生活習慣も少なからず関係しています。プリン体の摂取を控えることに加えて、栄養バランスのよい食事を規則正しく摂る、ウォーキングなど有酸素運動を習慣化する、ストレスをためない、十分に水分を摂ることなどが、尿酸値を下げるのに効果的といわれています。

また、肥満気味の人は、体内でプリン体が合成されやすいため、食事や飲酒制限、運動などで肥満を解消することが大切です。ハイボールと揚げ物の組み合わせは格別ですが、お酒で食欲が増進されて肥満につながることもあるため、食べすぎ飲みすぎに気をつけてくださいね。

ハイボールのプリン体はほぼゼロに近く、糖質もほぼゼロで、カロリーも少なめです。とはいえ、アルコール自体に尿酸値を上げる働きがあるため、痛風が気になる人は控えめにすることをおすすめします。なお、高尿酸血症や痛風の発作がある人は禁酒が前提です。

(参考資料)
厚生労働省|健康日本21(アルコール)
アルコール健康医学協会|お酒と健康 適正飲酒の10か条

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