日本ワインの映画「Vin Japonais(ヴァン・ジャポネ)」NORIZO監督に取材しました

日本ワインの映画「Vin Japonais(ヴァン・ジャポネ)」NORIZO監督に取材しました

2022年秋に公開された日本ワインのドキュメンタリー映画『Vin Japonais~the story of NIHON WINE』。『日本ワイン.jp』編集長で、プロデューサー兼監督を務められた NORIZOさんに、この映画を撮るに至った経緯、そして日本ワインの現在地と将来の展望について伺いました。

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――最後はさらに西へと進んで九州地方。沖縄県にはワイナリーはないので、日本のワイン生産地の南端ということになりますね。

NORIZOさん 著名なところでは、大分県の『安心院葡萄酒工房』、熊本県の『熊本ワイナリー』(『熊本ワイン』と『菊鹿ワイナリー』を運営)ですね。どこも台風が通過する地域なのに、その困難を克服して美味しいワインを造っているところに惹かれます。宮崎県の『都農(つの)ワイン』もそう。彼らは8月末までが勝負としていて、できればお盆前にブドウを収穫し、仕込みに入りたいと考えているんですよ。

こうした九州のワイナリーのもう一つの共通点は、美味しいシャルドネを造っていること。雨の多いところでシャルドネを育てるのは難しいと思うのですが、ビニール栽培などいろんな知恵を使って取り組んだ成果ではないでしょうか。

先日『安心院葡萄酒工房』を訪れたところ、2030年を目標に畑を広げ、生産量を10倍にして輸出するというプランを掲げていました。こちらに留まらず、概して九州のワイナリーには規模を大きくしたいというモチベーションの高さを感じるところが多いですね。

日本ワインをより身近にたのしむためには?

「生産者を応援したくなる“おらがワイン”を見つけて欲しいですね」。

――まず日本ワインを飲んでみることが、日本ワインの活性化に繋がると思います。三菱食品が日本ワインの入門編として2021年の秋に『J-CRAFT WINE』をリリースしていますが、実際に飲まれてみた感想をお聞かせください。

NORIZOさん 北海道池田町『十勝ワイン』の山幸(やまさち)とツバイゲルトレーベ、岩手県花巻市『エーデルワイン』のリースリングリオン、長野県塩尻市『五一わいん』のマスカット・ベーリーA、山梨県勝沼町『勝沼醸造』の甲州の4種。どのワインも実力派の生産者が、品種の特徴をしっかり表現していて、初めて日本ワインを飲むのにぴったりのワインだと思います。

500ミリリットルという、飲み切りサイズもいいですね。同時に白と赤を並べて飲めますし、料理とペアリングしやすいです。ラベルのデザインも目を惹きやすいと思いますよ。今後、西日本のワイナリーを扱ってくれるのを期待したいですね。

『J-CRAFT WINE』は現在4アイテムを発売中。

――ありがとうございます。最後にあらためて日本ワインの魅力と、読者へのメッセージを兼ねて日本ワインのたのしみ方を教えてください。

NORIZOさん 先ほど九州地方で台風に触れましたけど、降水量の多い日本はブドウの栽培には向いているとは言えません。しかしそうした困難な状況の下でも、多くの生産者が試行錯誤を繰り返し、人智を尽くして美味しいワインを造ろうとしている姿勢に感動します。

味わいについて言えば、食に寄り添う優しい味わい。ワインと料理が旨味で繋がるようなペアリングが体感できることでしょう。

日本ワインをよりたのしむためには、お気に入りのワイナリーを見つけて応援すること。ほぼ全国でワインは造られているので、まず出身地など自分にゆかりのある土地のワインを飲んでみてはいかがでしょう。

また旅行や出張で地方に行く機会があれば、目的地周辺のワイナリーを探して訪問するのもいいですね。こうしてご縁ができた“おらがワイナリー”を増やしていけば、日本ワインをより身近に感じて、たのしむことができると思いますよ。(了)


映画のお話から日本ワインの現在地など、NORIZO氏のインタビューはいかがだったでしょうか。ぜひ読者のみなさんも“おらがワイナリー”を見つけて、ワインライフをより豊かなものにしていただきたいですね。

<NORIZO氏プロフィール>
Webメディア『日本ワイン.jp』編集長を務めるほか、ワインのセミナー講師やイベントMC、ワインやワイナリーに関する撮影や動画制作を行う“ワイングラファー”としても活動中。

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ライタープロフィール

とがみ淳志

(一社)日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート/SAKE DIPLOMA。温泉ソムリエ。温泉観光実践士。日本旅のペンクラブ会員。日本旅行記者クラブ会員。国内外を旅して回る自称「酒仙ライター」。

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