国内外からの注目が高まる「北海道産ワイン」 独自性にあふれ、個性輝くワイナリーの魅力に迫る <前編>

国内外からの注目が高まる「北海道産ワイン」 独自性にあふれ、個性輝くワイナリーの魅力に迫る <前編>

食の王国・北海道で、ここ数年新たな名産品として注目を集めているのが“北海道産ワイン”。 かつては「寒すぎてブドウが育たない」ともいわれましたが、栽培方法を研究し、醸造技術の進歩のもと高品質なワインが生まれるようになりました。今では日本を代表する一大ワイン産地となった北海道のワイナリーを、2回の連載に渡ってご紹介します。

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ボトルに大きく名前が記された「葡萄作りの匠シリーズ」。

ボトルに大きく名前が記された「葡萄作りの匠シリーズ」。

札幌から車で1時間ほどの浦臼町にある、北海道ワイン株式会社の直轄の農場「鶴沼ワイナリー」。北海道ワイン株式会社の設立当時、小樽の醸造所周辺以外にもブドウを栽培できる場所を探していた際に出会い、農場として開墾しました。

土壌の改良や品種の選定などに熱心に取り組み、醸造所での厳しい管理による品質基準を設け、現在では約20品種のヨーロッパ系ワインブドウを栽培し、この地で栽培したブドウのみを使用した「鶴沼シリーズ」としてブランド化。
社内外での官能検査で基準に満たない年のワインは「鶴沼」としては販売せず、また、ワイナリーから出荷されるまでの熟成期間を収穫年から2年後と定めるなど、こだわりを持つ上質なワインを生み出しています。

価値のある原料を供給してくれる契約農家の単独仕込みのワイン「葡萄作りの匠」シリーズは、北海道を代表するブドウ産地である余市町の3人の栽培家の名を冠したワイン。
高品質のブドウを栽培する3人に敬意と感謝の気持ちを込めて醸造したワインは、同じ地域の同じブドウ品種であっても、それぞれに味わいの個性があり、ワインの奥深さを感じさせてくれます。

ブドウの個性が生きるワイン造りを目指して

約20名で行うワイン造りのリーダーの河西さん。

約20名で行うワイン造りのリーダーの河西さん。

北海道一の出荷量を誇る北海道ワインの醸造を任されているのは河西由喜さん。山梨大学で発酵やブドウ栽培について学び、卒業後に入社。20年目を迎えた今期から製造本部部長に就任しました。

「大切にしているのは、ブドウのよさを損なわずに、いかによいワインに仕上げるか。ブドウに合わせて酵母を選択したり、発酵や熟成方法など、個性をより強く引き出すための醸造を心掛けています」。

現在扱っているブドウは約40品種。アッサンブラージュ(数種類のブドウ品種をブレンドすること)なども行い、さまざまな味わいのワイン造りに取り組んでいます。

「“鶴沼シリーズ”は、ドイツ系の高級品種のブドウを使用しているので、爽やかさや清涼感を生かしています。ミュラー・トゥルガウやミュスカなどはアロマティックな香りを、また、アロマが出にくいピノ・ブランは食事との合わせやすさを意識しています。ブドウの個性が生きているので、年によって味わいが違う、ワインならではの面白さをたのしんでもらいたいです。

一方、“北海道シリーズ”は、気軽に親しんでもらえるワインを目指し、味のバラつきのない安定した味わいに整えています。また、“おたるシリーズ”は生食用のブドウを使用しているので、ブドウ自体の香りをしっかり出すこととフレッシュさを第一に考え、熟成に気をつけています。シリーズごとにその味わいをたのしんでもらえるとうれしいですね」。

左から「おたるシリーズ」「北海道シリーズ」「鶴沼シリーズ」。

左から「おたるシリーズ」「北海道シリーズ」「鶴沼シリーズ」。

“スパークリングワインの産地、北海道”へ

今後は北海道を“スパークリングワインの名産地”としたいと語る嶌村社長。
「北海道で育つブドウは良質な酸を持つのが特長でスパークリングワインに適しています。気候もシャンパーニュ地方と似ていますよね。国内外から「北海道=スパークリングワインの産地」と認知してもらえるようになるとうれしいですね」。

北海道のワイン業界を牽引し続けてきた北海道ワイン株式会社は、社名の通り、北海道を代表するワイナリーとして、これからも北の大地の恵みを届け続けます。




北海道ワイン株式会社

北海道小樽市朝里川温泉1丁目130番地
TEL 0134-34-2181
http://www.hokkaidowine.com

山梨の名門ワイナリーが設立した「千歳ワイナリー」

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