格別な味わい“昼酒“のススメ 〜心が触れあうお洒落エリア・三軒茶屋編〜

格別な味わい“昼酒“のススメ 〜心が触れあうお洒落エリア・三軒茶屋編〜

お酒を愛する人にとって、昼間から嗜める“昼飲み”は最高の贅沢。飲食店で同じように昼酒を飲むお客さんを見かけると、仲間意識が芽生え思わず声を掛けたくなるのでは?そんな交流が自然とできてしまうほど居心地のよいお店が多いのが、お洒落エリアとして知られる三軒茶屋。一人でも気軽に昼酒を味わえる3軒をご紹介。

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初めての人も常連客も 自然に会話が弾む「てんぷら横丁 わばる」

東急田園都市線 三軒茶屋駅を出てすぐの「すずらん通り」を進むと「串てんぷら」の大きな提灯。
「てんぷら横丁 わばる」は、飲食店が多く並ぶこの通りでも、すぐに見つけられました。

入り口には「あげてます‼︎」の看板が。

店内はテーブル席とカウンター。お伺いしたのはランチタイムを少し過ぎた午後でしたが、昼酒を嗜むお客さんで賑わっていて、なかにはお一人の女性客も。
店長の屋邊礼衣子さんが元気よく迎えてくれました。

初対面でしたが、とても明るく気さくに話してくれた店長の屋邊さん。
(撮影時のみマスクを外しています)

「うちは男女問わずお一人のお客様も多いんですよ。店員と話をしていたのが、いつの間にかお客様同士で盛り上がって会話をたのしむ光景をよく目にします。その後は皆さん“呑み友”になっているみたいです(笑)」。(屋邊さん)

食事のメニューは野菜や魚介、肉料理など幅広く、お酒のメニューも豊富。
まずは「生レモンサワー」をオーダーし、「ポテトサラダ」と「パリッとピーマン」からスタートです。

生レモンサワー 649円(税込)

いぶりがっこやベーコン、自家製の燻製チーズがたっぷり入ったポテトサラダは、お酒のおつまみにぴったり。
甘さが控えめでさっぱりとしたレモンサワーとよく合いました。

わばるのスモークポテトサラダ 440円(税込)

生のピーマンに添えられた味噌は、ひき肉の旨みが生きた味わい。
常連客のお一人でもある人気俳優さんは、この味噌が大のお気に入りだとか。

パリッとピーマン 440円(税込)

店名にもなっている天ぷらは、やはりお店のイチオシ。
“必ず食べてほしい天ぷら“の5品が別メニューにあり、そのなかの一つをオーダーしました。

梅香る大根の天ぷら とろろがけ 440円(税込)

お出汁でしっかりと煮込んだ大根を天ぷらにし、とろろと梅肉をトッピング。おでんのような、天ぷらのような、口の中が和む味わいでした。

串天ぷらは具材が20種類以上。盛り合わせには必ず、海老とキスの天ぷらが入るそう。

串天 五点盛り合わせ 770円(税込)

オススメのもう一杯は、「バイスサワー」。
梅と紫蘇の香りが爽やかで、天ぷらととてもよく合いました。

バイスサワー 429円(税込)

「うちのお店では、“ジョッキアップ“といって、同じサワーを続けて注文すると、同じ値段のままで一つ大きなジョッキでお出ししています。さらにもう一度同じものを注文すると、1Lサイズのジョッキになるんですよ。お酒好きなお客様にはとても喜ばれています」。(屋邊さん)

最初は380mlのジョッキからスタート。
その後、同じサワーを頼むと500ml、さらに1000mlのジョッキへアップ。

串天ぷらを全種類か、一種類を20本以上食べる“わばるちゃれんじ”をクリアすると、ゴールドメンバーとなり、1杯目から1Lのジョッキで飲める権利を手に入れられます。

近くにはお芝居や音楽などが上演されるキャロットタワーがあることから、舞台関係のお客さんをはじめ、さまざまな職業の方たちが訪れ、連日賑わっているそう。

「個性的で、人が好きで、お酒が好きな人が集うお店で、私も毎晩家に帰ると、第一声に『あ〜たのしかった〜』と発するほど(笑)。従業員もみんな個性派で気さくなので、ぜひお一人でも気軽にお越しください」。(屋邊さん)

揚げたての天ぷらを食べながら、賑やかにお酒談義をたのしめるお店です。

てんぷら横丁 わばる

東京都世田谷区太子堂4-22-13 鳥居ビル1F
TEL 03-6805-5535

営業時間 11:30〜0:00 (営業時間変更の場合あり)
定休日 なし

(※新型コロナウイルス感染症対策により営業時間が変更になる場合がありますので事前にご確認ください。)

https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131706/13174340/


開店から54年、女将さんの料理も人柄も味わい深い「大衆割烹 味とめ」

「わばる」から、さらにすずらん通りを進んだ右手にある「味とめビル」の1階にある「大衆割烹 味とめ」は、昭和43年創業の料理店。
お店に入ると、壁一面に貼られたメニューの多さに驚きましたが、出迎えてくれた女将さんの笑顔にホッと心が和みました。

赤提灯と「味とめ」の」看板が目印。

壁にぎっしりと貼られたメニュー。

女将の辻教子さんは84歳。実年齢よりもかなりお若く見えます。
お店は午前10時から営業していますが、教子さんは連日、開店時からお店でお客さんをお迎えしています。

創業の翌年に料理人のご主人の元に嫁いだ女将さん。
数年後にご主人が病に倒れ、そこからは女将さんが中心となってお店を切り盛りしてきたそうです。
(撮影時のみマスクを外しています)

まずは、ビール。根強いファンが多い“赤星”がありました。

サッポロ赤ラベル 中瓶 550円(税抜)
日替わりのお通し、この日は「秋田の原木なめこやカブ、小松菜の油炒め」

メニューの多さに何を頼もうか迷っていると、女将さんが相談に乗ってくれました。

「もうね、メニューがどんどん増えちゃって、いくつあるのか数え切れないくらい(笑)。今日は珍しい白かぼちゃが入ったので『バターころがし』をつくりましたよ」。

かぼちゃのバターころがし 530円(税抜)

セリ料理も人気で1年中仕入れているそう。
セリも含めたいろいろな具材が入った「きりたんぽ鍋」がオススメとのことでいただきました。

秋田から1年中仕入れているセリ。

きりたんぽ鍋(一人前) 1085円(税抜)

うなぎ料理は串焼きを1本からオーダー可能。
蒲焼きや白焼きもありましたが、おつまみに少しだけ食べたい人には嬉しいサイズです。

うなぎ串焼き400円(税抜)
タレは亡くなったご主人が現役のときからのものを継ぎ足し続けているそう。

二杯目のお酒を選んでいると、「“キンミヤ焼酎”を造っている酒蔵の日本酒があるのよ、珍しいでしょ。飲んでみる?」と女将さん。

三重県宮崎本店「宮の雪 純米」 750円(税抜)
お米の味わいがふくよかに感じられる純米酒です。

「今日は千葉県の鋸南町からいいアジが入ったから、天ぷらかフライはどう?」とオススメいただき、アジフライを。
身がふっくらとやわらかくておいしいフライでした。

アジフライ 750円(税抜)

亡くなった先代のご主人が創業したときは、ふぐ料理や天ぷらを中心とした割烹料理店でしたが、「今はまるで居酒屋のよう(笑)」。と、女将さん。
ですが、二代目を継いだ息子の浩さんは築地の料理店で修行を積み、現在も、ふぐ料理をはじめ割烹料理はメニューにあり、ご主人の想いが生き続けています。

女将の辻教子さんと、料理人の息子の浩さん。
店内には先代のお写真が大切に飾られています。
(撮影時のみマスクを外しています)

「料理はその店のいちばんの特長なので、食材の産地直送や季節感にこだわっています。
常連さんがご自分の地元のおいしい食材を教えてくれて、メニューに加えたものも多いんですよ。
ウイルスが流行ってからはお客さんたちの身体が心配で、健康によい、免疫力を高める食材のメニューが増えましたね。みんなに元気でいてほしいですから」。(女将さん)

女将さんとお客さんの会話があちこちで飛び交う店内は、笑い声が絶えず賑やか。
「今日は感謝デーです、どうぞ〜」と、女将さんがお客さんにフルーツをサービスする姿も(笑)。

賑やかな店内。2階には28名まで入れる広間も。

「三軒茶屋の土地柄、若いお客さんも来ますし、仕事帰りのサラリーマンや、ご近所の一人暮らしの方などさまざまな方がいらっしゃいます。気さくに立ち寄ってもらって、ゆっくり寛いでもらえたら嬉しいですね」。と話す女将さんと浩さん。

朗らかな女将さんのお人柄と、おいしい料理の数々でお腹も心も満たされるお店です。


大衆割烹 味とめ

東京都世田谷区太子堂4-23-7
TEL 03-3422-5845

営業時間 10:00〜23:00
定休日  月曜

(※新型コロナウイルス感染症対策により営業時間が変更になる場合がありますので事前にご確認ください。)

https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131706/13028645/

おつまみから〆蕎麦まで、贅沢な昼呑みができる「蕎麦バル1351」

三軒茶屋駅を南口に出て栄通り商店街を進んだ先にあるのが「蕎麦バル1351」。“酒・肴“と書かれた提灯が目印です。
オープンしたのは2016年。ランチタイムも夜の営業もおいしいお蕎麦が人気のお店です。

レンガ造りのエントランス。

店内はカウンターとテーブル席。シックで落ち着いた雰囲気。

お昼の営業時間もお蕎麦のメニューが豊富で、さらにサイドメニューも充実。
和のスパイスを利かせた一品料理が多く、しかも、アルコールの提供もOKとあって、お酒ファンには嬉しい限り。
日本酒は常時10数種類を揃えているそうで、まずは「風の森」をいただきました。

奈良県 油長酒造 「風の森 ALPHA Type1」 90ml 690円(税込)
ほのかな微発泡が心地よく、ボリューム感のある無濾過生原酒。

おつまみは「クリームチーズのかえし漬け」を。
そばつゆの元になる“かえし”に一晩漬けたチーズは、味がしっかり染み込んでいて日本酒によく合いました。

クリームチーズかえし漬け 520円(税込)

そして、「甘海老の黒山椒揚げ」。
外はカリッとしていて中はしっとりとした甘海老に黒山椒をガッツリと効かせたおつまみは、日本酒のほか、ビールやサワーにも合いそうな味わい。
箸が止まらなくなりますが、ボリュームもあり嬉しい一皿。

甘海老の黒山椒揚げ 740円(税込)

お蕎麦は、さまざまな味わいのメニューがあるなかから、名物の「五香そば」を。

名物 五香そば 1,100円(税込)

国産の蕎麦粉を使用した粗挽き二八蕎麦を、5種類の薬味(すだちソルト、長ネギ、ミョウガ、有東木産の最高級本わさび、たたき梅)で味わいます。

新鮮な薬味が5種類。

「すだちソルトとたたき梅は、そばつゆをつけずに、薬味と蕎麦だけで味わってみてください」と、店長の村山さん。
すだちには塩がすでに塗してありました。

直接蕎麦に振りかけて食べると、すだちの香りと蕎麦の喉越しのよさを爽やかな塩味で味わえて美味でした。

お蕎麦に合うオススメのお酒をお聞きしたところ、
「8年熟成の蕎麦焼酎を、そば湯割りで飲むのがお客さんに評判ですよ」と村山さん。

さつま無双 「蕎麦和尚 8年熟成」 680円(税込)

「うちでは焼酎の飲み方を、ロック、水割り、ソーダ割り、お湯割り、そば湯割り、そば茶割り、蕎麦氷ロックでご用意しています。
お蕎麦を食べながらそば湯割りを飲むスタイルは、意外にも若いお客さんに多くて、“お蕎麦と合う”と評判です」。(村山さん)

冷たいお蕎麦と人肌に温かい焼酎のそば湯割りは絶妙な組み合わせ。
クセがなく飲みやすくやさしい味わいです。

平日は少ないものの、土日は昼呑みをたのしむお客さんが多く来店するそうで、なかにはお一人の女性も。

「若い方から年配の方まで幅広く来られています。テイクアウトメニューもあるので、地元の方には気軽に立ち寄っていただいています。
お昼でも、お酒一杯とおつまみだけの入店もOKですので、気さくに足を運んでくだされば嬉しいすね」。(村山さん)

新潟ご出身の村山直也さん。
「三軒茶屋は賑やかではありますが、住みやすくて馴染みやすい町です」。
(撮影時のみマスクを外しています)

人気のお洒落エリアで、お昼から蕎麦屋呑みをしっぽりとたのしんでみてはいかがでしょうか。


蕎麦バル1351

東京都世田谷区三軒茶屋1-35-1
TEL 03-5787-5810

営業時間
月〜金 11:30〜15:00
    17:30〜24:00
土   11:30〜24:00
日・祝 11:30〜23:00
火曜定休

(※新型コロナウイルス感染症対策により営業時間が変更になる場合がありますので事前にご確認ください。)

https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131706/13199872/

※紹介した商品情報は記事執筆時点のものです。購入・サービス利用時に変更になっている場合がありますのでご注意ください。

ライタープロフィール

阿部ちあき

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会認定 きき酒師 日本酒・焼酎ナビゲーター公認講師
全日本ソムリエ連盟認定 ワインコーディネーター

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