東京・中目黒『HINEMOS 中目黒店』/“時間”に寄り添う日本酒を、より身近にたのしむ

東京・中目黒『HINEMOS 中目黒店』/“時間”に寄り添う日本酒を、より身近にたのしむ
出典 : 画像提供/HINEMOS

“時間”に寄り添う日本酒『HINEMOS(ひねもす)』。飲む時刻や場所、シーンに合わせた味わいの日本酒を提案するブランドです。2023年7月に初となる直営店「HINEMOS中目黒店」がオープン。全12銘柄を試飲した上で購入できるというスポットを訪ねました。

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日本酒の魅力を、国内外に発信したい

昨年7月に12種類の日本酒が揃い、ラインナップが完成しました。画像提供/HINEMOS

昨年7月に12種類の日本酒が揃い、ラインナップが完成しました。画像提供/HINEMOS

HINEMOS(ひねもす)とは漢字で書くと「終日」。朝から晩までずっと続く様を意味しています。AM・PM表記の12時間に着想を得た『ROKUJI(6時)』~『GOJI(5時)』までの時刻を名前とする12種類で、“時間”に寄り添ったたのしみ方を提案している日本酒ブランドなのです。

その発想の斬新さ、味わいのバリエーションの豊かさ、目を惹くボトルデザイン……。このユニークな日本酒が誕生した経緯を、COOの渡辺毅志(わたなべ・たけし)さんにお聞きしました。

「ずばり日本の酒と書いて日本酒。とても美味しくて素晴らしいお酒なのに、嗜む若い人が減りつつあり、輸出が増えているとはいってもまだまだ限定的であるという現状があります。しかし、日本酒には世界中の人々に飲んでもらえるポテンシャルがあり、世界に誇れるようなブランドを創ることもできるのではないかと、創業者(現CEO)の酒井が考え始めた、これがプロジェクトの発端です」。

日本酒に大きな可能性を感じた酒井さんは、酒蔵の試飲会や鑑評会などに数多く足を運びました。
「実際に多種多様な日本酒を味見しましたが、国が主催しているコンクールなどの審査対象になるのはほぼ純米大吟醸で、酒蔵の職人たちが技術を磨いている場所だと感じました。もちろん、これらのコンクールが先人たちの醸造技術の進歩につながっていることは理解したものの、アルコール度数15%前後の日本酒だけが日本酒ではないのにな、というところにチャンスがあるのではないかと考えたそうです」。

そんな折、酒井さんが口にして感動したのが、アルコール分が低い、甘口の日本酒だったそう。
「こんなお酒が初めて飲む日本酒になったら、もっと日本酒が好きな人が増えるんじゃないかと直感的に閃いたそうです。“日本酒と言えば15%の純米大吟醸”のような固定観念にとらわれず、もっと低アルコールでさまざまなタイプがあれば、日本酒を飲む人々の層が広がると考えました」。

2019年の『SHICHIJI』と『REIJI』の2銘柄からスタート。毎年他の時間帯のお酒をリリースし、4年をかけて2023年7月に最後の時間帯である『ROKUJI』がリリースされ、個性豊かなラインナップが完成したのです。

「最初にリリースされた『SHICHIJI』は、低アルコールの微発泡の甘口スパークリング日本酒で、HINEMOSで人気No.1の銘柄になっています」。画像提供/HINEMOS

「最初にリリースされた『SHICHIJI』は、低アルコールの微発泡の甘口スパークリング日本酒で、HINEMOSで人気No.1の銘柄になっています」。画像提供/HINEMOS

時間を表すボトルを満たすのは、高品質の日本酒

左端の先頭『ROKUJI』から『GOJI』までの12アイテムで、容量は500ミリリットルと飲み比べセット用の170ミリリットルの2パターンで展開。画像提供/HINEMOS

左端の先頭『ROKUJI』から『GOJI』までの12アイテムで、容量は500ミリリットルと飲み比べセット用の170ミリリットルの2パターンで展開。画像提供/HINEMOS

HINEMOSを紹介するのに、ユニークなボトルデザインに触れないわけにはいきません。
「四合瓶や一升瓶に詰められ、貼られたラベルには漢字で名前が描かれているのが一般的な日本酒のイメージだと思いますが、我々が同じことをやってもなかなか差別化が難しいなと感じました。さらに、裏ラベルについても「精米歩合」とか「山田錦」のように専門用語だけが書かれていると、初めて日本酒を手に取る人、ましてや海外の人にはなかなかご理解いただけないのではと思ったのです」。

いったん開封すると保管が難しい日本酒ゆえ、四合でも持て余してしまう場面が多いことを想定し、500ミリリットルのボトルに。一人暮らしの女性の冷蔵庫に入っていても、違和感のないサイズになっています。

斬新なボトルデザインは“時間”がコンセプト。ラベル、キャップ、キャップシールの全てに、“時間”が施されていました。時間帯を表す1時間の形(円弧) を瓶表面にデザインし、ブランドイメージを形成。専門用語の記載は、最低限に抑えています。何よりもそのスタイリッシュさに、思わず手に取ってみたくなることでしょう。

ボトル表面には時刻を表す数字が。画像提供/HINEMOS

ボトル表面には時刻を表す数字が。画像提供/HINEMOS

続いて気になるのは造り。“時間”に寄り添う日本酒を造っているのはどんな蔵なのでしょうか? また個性の違う 12種類の日本酒をどのようにして醸しているのかにも、興味津々です。
「醸造責任者の湯浅俊作は、愛知県で創業した『森山酒造』の12代目。1988年生まれと若く、これまでの固定観念にとらわれない酒造りに取り組んでいます。日本に150名程度しかいない清酒専門評価者の一人で、名実ともに日本酒のプロフェッショナルなんですよ」。

2021年の夏に『森山酒造』は神奈川県小田原市に移転し、HINEMOSを醸すように。画期的だったのが、過去に前例のない“冷蔵倉庫の中での酒造り”です。
「日本酒は通常寒い時期しか仕込めないのですが、私たちは体育館のような巨大な冷蔵庫の中に醸造設備を展開。年中いつでも仕込みができる“四季醸造”を可能にしました」。

そう“四季醸造”により醸造回数が増えて多種多様な日本酒を造ることが可能になり、さまざまなチャレンジもできる環境となったのです。

冷蔵庫内の酒蔵で奮闘する湯浅さん。画像提供/HINEMOS

冷蔵庫内の酒蔵で奮闘する湯浅さん。画像提供/HINEMOS

『HINEMOS 中目黒店』で、全アイテムが試飲できる

中目黒駅から徒歩10秒の好立地にオープン。

中目黒駅から徒歩10秒の好立地にオープン。

これまでは、ECサイトでの販売がベース。加えて東京・神奈川・埼玉・大阪など各地の商業施設などで、ポップアップストアを開催してきたHINEMOS。2023年7月に12銘柄がコンプリートしたタイミングで、リアル店舗を東京・中目黒にオープン。全銘柄を無料で試飲でき、買い求めることが可能になったのです。

テイスティングセットも販売。こちらは170ミリリットルの小瓶です。

テイスティングセットも販売。こちらは170ミリリットルの小瓶です。

パッケージもおしゃれで、プレゼントとしても人気。

パッケージもおしゃれで、プレゼントとしても人気。

ここからは、渡辺さんに解説してもらいながら、全アイテムをテイスティング。飲むのにおすすめのシーンがイメージできる画像とともに、その特徴を紹介していきましょう。

12本並ぶと圧巻です。

12本並ぶと圧巻です。

お話を伺った渡辺さん。「私のお気に入りは、どんな料理にも合う『HACHIJI』です」。

お話を伺った渡辺さん。「私のお気に入りは、どんな料理にも合う『HACHIJI』です」。

ROKUJI/ドライスパークリング日本酒

ROKUJI/ドライスパークリング日本酒

アルコール11%/500ml(3630円)。画像提供/HINEMOS

マスカットやライム、ハーブのような爽やかな香りが特徴のスパークリング日本酒。
「7時のパーティーの前のゼロ次会に、ふさわしいお酒だと思います」。

SHICHIJI/ドライスパークリング日本酒

SHICHIJI/ドライスパークリング日本酒

アルコール5%/500ml(2970円)。画像提供/HINEMOS

低アルコール、微炭酸で優しい甘口。胃腸を刺激して食欲をかき立ててくれるような1本です。
「全員が揃って乾杯するシーンで、ぜひ開けていただきたいですね」。

HACHIJI/にごり酒

HACHIJI/にごり酒

アルコール7%/500ml(3080円)。画像提供/HINEMOS

酒粕やフレッシュチーズのような香りで、米由来の甘味や旨味が口の中に広がります。
「どんな料理とも合わせられる、オールラウンダーな食中酒です」。

KUJI/純米大吟醸

KUJI/純米大吟醸

アルコール15%/500ml(7370円)。画像提供/HINEMOS

柔らかな口当たりで、均整の取れた味わい。後味に現れる酸味がしっかりした料理とマッチします。
「メインディッシュが登場する時間帯なので、ピュアな味わいで料理を引き立てます」。

JUJI/デザートライスワイン

JUJI/デザートライスワイン

アルコール11%/500ml(3410円)。画像提供/HINEMOS

濃縮した甘味とフレッシュな酸味があり、デザートといただきたい日本酒です。
「水と日本酒で仕込むことで、濃厚で心地よい甘味を造り出しました」。

JUICHIJI/純米吟醸

JUICHIJI/純米吟醸

アルコール14%/500ml(5170円)。画像提供/HINEMOS

本来、日本酒がもつ品や繊細さを追求したタイプで、穏やかで軽快な香りです。
「イメージは、お開きしてからもう一軒行くことになった蕎麦屋での一杯。だし巻き玉子などの蕎麦前と合わせて味わってください」。

REIJI/赤色酒

REIJI/赤色酒

アルコール5%/500ml(2970円)。画像提供/HINEMOS

花のような甘味を連想させる香り。黒米のもつ天然の色素で、この赤色を創り出したとか。
「華やかで低アルコールという特長から、女性へのギフトとしても人気なんですよ」。

ICHIJI/純米酒

ICHIJI/純米酒

アルコール16%/500ml(3410円)。画像提供/HINEMOS

コクとキレのある豊潤な純米酒。口に含むと濃厚な旨味が広がっていきます。
「思わず手を出してしまった締めのラーメンやカレーにも負けないようなスタイルです(笑)」。

NIJI/りんご酸純米酒

NIJI/りんご酸純米酒

アルコール15%/500ml(3080円)。画像提供/HINEMOS

酸味のあるフルーツを連想する香り。甘さ控えめなドライな味わいで、余韻にも酸を感じます。
「リンゴ酸が豊かでシャキッとした印象。まだまだ眠らない夜に、これ1本でもすっきり飲めるような新感覚の辛口のお酒です」。

SANJI/熟成酒

SANJI/熟成酒

アルコール15%/500ml(3960円)。画像提供/HINEMOS

余韻まで続く燻製や穀物、杉の木を連想する香り。しっかりとした酸味で、ドライな後味です。
「杉を用いた樽で熟成。バーでウイスキーを傾けているような気分に浸っていただければ」。

YOJI/微炭酸日本酒

YOJI/微炭酸日本酒

アルコール9%/500ml(3300円)。画像提供/HINEMOS

ほのかな甘味と炭酸ガスの刺激。フレッシュ感のある爽やかな酸味が心地よいお酒です。
「たのしく遊んだ1日を、まるでレモンのような酸味と苦味で、スッキリと締めてくれます」。

GOJI/甘酒風日本酒

GOJI/甘酒風日本酒

アルコール2%/500ml(2860円)。画像提供/HINEMOS

甘酒スタイルですが、清涼感のある香り。米由来の上品な甘味と旨味の両方がたのしめます。
「雑味が少なくて微アルコール。朝から飲んでも罪悪感なしにたのしめる日本酒なんです」。

これまでにないアイデアで、日本酒ファンを増やしているHINEMOS。直営店では、実際にボトルを手に取ったり、試飲をしてから買うことができるのがよいですね。そしてさらに朗報が! じつは4月に早くも第2号店が原宿にオープンするそう。ぜひお店へ出かけて、HINEMOSを体験してみてくださいね。

『HINEMOS 東急プラザ原宿「ハラカド」店』

『HINEMOS 東急プラザ原宿「ハラカド」店』は、4月17日に渋谷区神宮前でオープン予定。中目黒店と同じく、全アイテムを試飲して購入できます。画像提供/HINEMOS

※価格などは取材時のものとなります(消費税込み)。

HINEMOS 中目黒店
東京都目黒区上目黒3-3-6 尾留川ビル
TEL/未公表
営業時間/ 13:00~21:00
定休日/なし ※最新の営業情報は下記公式サイトで確認を。
アクセス/ 東急東横線「中目黒駅」改札より徒歩10秒


公式サイト
HINEMOS 中目黒店の詳細はこちら

ライタープロフィール

とがみ淳志

(一社)日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート/SAKE DIPLOMA。温泉ソムリエ。温泉観光実践士。日本旅のペンクラブ会員。日本旅行記者クラブ会員。国内外を旅して回る自称「酒仙ライター」。

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