島根県・安来市「吉田酒造」/島根県が誇る銘酒「月山(がっさん)」の魅力を探る旅へ
国内外で広く愛されている「月山」を醸しているのは、島根県安来(やすぎ)市で300年近い歴史を有する「吉田酒造」。超軟水を用いた酒は、フレッシュでキレのよい味わいを身上としています。現地を訪ね、その酒造りの哲学とともに地元の老舗料亭「停雲」で食とのペアリングもあわせてレポートします。
- 更新日:
製造主任は出雲杜氏の足立孝一朗さん。
出雲大社のある島根県らしい、“縁結び”を用いたキャッチフレーズも。
15年前に社長が戻ってきた頃は、
「当時は島根県によくあるタイプの熟成がしっかりした、濃い目の味の酒でした」(吉田社長)。
大きなタンクで火入れしていたため、なかなか冷めず黄色味を帯びた清酒だったそうです。
「現在特定名称酒はそのデリケートな酒質を損ねないように、サーマルタンク®で温度を徹底管理。その後瓶詰めしてから火入れし、冷蔵庫で保管しています」と足立さん。
サーマルタンク®や保管スペースの拡張、冷蔵庫の補充など近年設備にかけるコストが増えているそうですが、
「社長は、『伝統を守るということは、その歴史で得た経験を受け続くのはもちろん同時に革新していくことが大切』と常々話しています。最高の酒を造るために必要な設備投資を行ってくれるので現場としては嬉しいですね」とニッコリ。
気の遠くなるような年月を感じさせるたたずまいの蔵ですが、じつは、ハイテクが詰まっていたのでした。
年季を感じる製麹室の表示。
しかし最新の製麹装置が導入されています。
自動濾過圧搾機では通常上部から絞る前の酒を投入しますが、タンクの出し口から入れられるように工夫を施すことで、酸化を防ぐようにしています。
蔵から戻って玄関に隣接した販売コーナーへ。取材時は新型コロナ禍のため、残念ながら試飲は行っていませんでした。そこで社長に月山らしさがわかりやすい4本をチョイスいただき、地元の飲食店で味わってみることに。酒質に合わせたペアリングもたのしめそうです。
月山の多彩なアイテムは、販売コーナーで購入できます。
約5万坪の日本庭園と横山大観のコレクションで知られる「足立美術館」。立ち寄らないわけにはいきません。