日本酒の「古酒」ならではの魅力とは? 【日本酒用語集】

日本酒の「古酒」ならではの魅力とは? 【日本酒用語集】
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「古酒」とは、長期間にわたって熟成させたお酒のことです。黄金色や琥珀色の色合いが見た目にも美しい「古酒」の大きな魅力は、熟成による独特の香りや深みのある味わいにあります。今回は、「古酒」の魅力や自宅での熟成の仕方、人気の銘柄などについて紹介します。

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日本酒にも「古酒」(長期熟成酒)がある

日本酒にも「古酒」(長期熟成酒)がある

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日本酒の「古酒」には明確な定義はない

「古酒」とは長期間熟成させたお酒のことで、褐色がかった色と独特の香り、深みのある複雑な味わいに特徴があります。

「古酒」には法律で定められた明確な定義はありません。とはいえ、一般的には、7月1日から翌年の6月30日までの酒造年度内に製造・出荷された酒を「新酒」、前酒造年度内に造られた酒を「古酒」、さらに前に造られた酒を「大古酒」として、分類されています。

なお、日本酒の熟成古酒の普及と製造技術の向上を目的とする団体である「長期熟成酒研究会」は、「満3年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒」を「熟成古酒」と定義しています。

「古酒」には大きく分けて3つのタイプがある

「長期熟成酒研究会」では、多彩な「熟成古酒」を大きく3種類に分類しています。それぞれの特徴を確認しましょう。

◇熟酒タイプ
本醸造酒・純米酒を常温熟成させた、風格ある個性豊かな「古酒」。

◇淡熟タイプ
吟醸酒・大吟醸酒を低温熟成させたもので、吟醸酒のよさを残しつつ、ほどよい苦味と香りが調和した深い味わいの「古酒」。

◇中間タイプ
本醸造酒・純米酒・吟醸酒・大吟醸酒を低温熟成と常温熟成を併用して熟成させ、熟酒と淡熟タイプの中間の味わいを実現した「古酒」。

「古酒」にはさまざまな熟成年数のものがある

「古酒」は、熟成に用いる日本酒の種類や熟成の仕方のほか、熟成年数によっても、色や香り、味わいが大きく変化し、さまざまなバリエーションをたのしめるお酒です。

そのため、熟成1、2年程度のものから10年以上の長期熟成のものまで、幅広い熟成年数の古酒が造られ、熟成年数によって変化する風味の違いをたのしまれています。

同じタイプの「古酒」でも、熟成年数によって香りや味わいが異なるので、飲み比べてみるのもおすすめです。


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「古酒」の魅力と作り方

「古酒」の魅力と作り方

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「古酒」は熟成年数で変化する色や香り、味わいが魅力

「古酒」の魅力のひとつは、熟成年数によって淡い黄金色や琥珀色、ルビー色などに変化する美しい色合いにあります。

それから、熟成が進むにつれて「熟成香」と呼ばれる独特の香りが強まり、キャラメルのような甘味とほどよい酸味、苦味のある味わいがいっそう深まっていくのも魅力です。

このような古酒の香りや味わいは、飲むときの温度によっても変わります。吟醸酒の特徴をもつ「淡熟タイプ」の古酒は適度に冷やして、それ以外の古酒は常温かぬるめのお燗で飲むと、魅力がより引き立つといわれています。なお、「熟成香」の強さが気になる場合は、少し冷やすことで香りを抑えられます。

自宅で熟成させて「古酒」にする際の日本酒の選び方

「日本酒」は、自宅でも熟成させることができます。熟成させる日本酒は、熟成による効果が得られやすい「無ろ過」タイプで、保存性の高い「火入れ」したものが向いています。

また、前述のとおり、「古酒」にはいくつか種類があります。純米酒や本醸造酒を熟成させれば「濃熟タイプ」、大吟醸酒や吟醸酒を熟成させれば「淡熟タイプ」に仕上がるので、好みに合わせて日本酒を選ぶこともポイントです。

なお、近年は「自家熟適正酒」という、家庭で熟成をたのしむための日本酒を販売している蔵元もあります。これらを使用して熟成に挑戦してもよいでしょう。

「古酒」を自宅で熟成させる際の保管の仕方

日本酒を熟成させるにあたって重要なポイントとなるのは、日本酒の劣化の原因となる紫外線を避けることです。瓶を新聞紙でしっかり包むか、箱に入れたうえで、棚などの暗所に立てて保管しましょう。「淡熟タイプ」は、冷蔵庫などの冷暗所に保管します。

また、保管に際しては、熟成を開始した日がわからなくならないよう、日付を記しておくこともポイントです。

飲みごろを迎えるのは、「熟酒タイプ」で約7~8年、「淡熟タイプ」で12~13年といわれています。自宅で日本酒を熟成させる工程はシンプルですが、10年前後の長い期間を要するため、家庭内で保管に適した環境を保ちつつイメージ通りの「古酒」に仕上げるのは、なかなか難しいかもしれません。

「古酒」を選ぶポイントと人気銘柄

「古酒」を選ぶポイントと人気銘柄

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「古酒」の選び方

「古酒」は、前述のとおり、もとの日本酒の醸造方法や熟成の仕方、熟成年数によって風味が変わります。

このような点に注目して、たとえば、吟醸酒由来の華やかな香りと繊細な味わいをさっぱりとたのしみたいときは、「熟成年数が短めの淡熟タイプ」、どっしりしていてコクがあるものを飲みたいときは、「熟成年数の長い熟酒タイプ」、のように選ぶとよいでしょう。

また、「古酒」は熟成が進むほど色が濃くなる傾向があります。そのため、淡い黄金色の「古酒」は熟成が若いので軽やか、濃い褐色の「古酒」は熟成が進んでいるので深みがあるなど、色をひとつの手がかりにして味わいを想像し、飲みたいものを選ぶこともできます。

「古酒」のおすすめ人気銘柄

全国には個性豊かなさまざまな古酒があります。ここでは、人気の高い古酒のなかから3銘柄を紹介します。

【達磨正宗(だるままさむね) 十年古酒】
岐阜県の蔵元、白木恒助商店の「達磨正宗 十年古酒」は、とくに人気の高い「古酒」のひとつ。10年以上熟成させた「古酒」をブレンドしていて、ふくよかな香りや温度帯によって変化する魅力的な味わいをたのしめます。香港で開催された日本酒コンクール「TTSA 2018」で優勝したほか、3年以上JALの国際線ファーストクラスで提供されていたという実績のある古酒です。

製造元:合資会社白木恒助商店
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【出羽桜(でわざくら) 特別純米 枯山水 十年熟成】
山形県にある出羽桜酒造の「出羽桜 特別純米 枯山水 十年熟成」は、2013年に蔵元の創業120周年を記念して発売された「古酒」です。四季の温度変化で酒を育てるという「四季熟成」で仕上げられていて、重厚な味わいや豊かな熟成香を味わうことができます。2017年には、イギリスのロンドンで開催される「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」において金賞を受賞しました。

製造元:出羽桜酒造株式会社
公式サイトはこちら

【沢の鶴 1973年醸造古酒】
「沢の鶴 1973年醸造古酒」を醸すのは、日本酒の名産地として名高い兵庫県の灘(なだ)に本社を置き、300年以上の歴史を持つ大手酒造メーカー、沢の鶴。長い酒造りの歴史のなかで、40年以上にわたって熟成させた長期熟成酒は、美しい黄金色と力強い特徴的な香り、重厚な甘味、コクのある旨味が魅力です。

製造元:沢の鶴株式会社
公式サイトはこちら


「古酒」は美しい色合いを持ち、「新酒」とは異なる独特の熟成香や深い味わいをたのしめるお酒です。これまでなじみがなかった人も、まずは人気の銘柄から挑戦してみてはいかがでしょうか。

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