アイリッシュウイスキーの特徴とおすすめ銘柄を紹介

アイリッシュウイスキーの特徴とおすすめ銘柄を紹介
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世界の5大ウイスキーに数えられるアイリッシュウイスキーは、スコッチウイスキーよりもクセが少なく飲みやすいため、近年注目が集まっています。今回は、アイリッシュウイスキーの歴史や特徴、スコッチウイスキーとの違い、おすすめ銘柄などを幅広く紹介します。

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アイリッシュウイスキーとは

アイリッシュウイスキーとは

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ウイスキーの発祥地はアイルランド?

アイルランド共和国と北アイルランドで造られるウイスキーを、「アイリッシュウイスキー」と呼びます。その起源は古く、12世紀ごろにはウイスキーの原型ともいえる蒸溜酒が飲まれていたといわれています。しかしながら、公式な記録は残っていません。

公式に認められたウイスキー造りに関する記録は、15世紀後半の「スコットランド王室財務省記録」で、ウイスキーの発祥はスコットランドとする説もあります。とはいえ、蒸溜技術が伝わったのはアイルランドのほうが先で、アイルランドからスコットランドに蒸溜技術がもたらされたというのが定説です。

いずれにせよ、ウイスキーの発祥については、スコットランドが先か、アイルランドが先かと議論が続けられていて、未だ決着はつけられていません。

アイリッシュウイスキーの種類

アイリッシュウイスキーの種類は、大きく分けて以下の4つです。

◇シングルポットスチルウイスキー
アイルランド独自のウイスキー。モルト(大麦麦芽)と未発芽の麦芽を原料に、単式蒸溜機で3回蒸溜して造られます。19~20世紀前半はオート麦、小麦、ライ麦も原料に使用されていました。

◇モルトウイスキー
モルトを原料に、単式蒸溜機で通常3回(または2回)の蒸溜で造られます。スコッチウイスキーと同様に、現在はこのタイプが多く造られています。

◇グレーンウイスキー
モルトとトウモロコシ、未発芽の大麦などの穀類を原料に、連続式蒸溜機で造られます。

◇ブレンデッドウイスキー
ポットスチルウイスキーまたはモルトウイスキーと、グレーンウイスキーをブレンドして造られます。現在の主流はこのタイプのウイスキーです。

アイリッシュウイスキーとスコッチウイスキーの違い

アイリッシュウイスキーとスコッチウイスキーの違い

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アイリッシュウイスキーとスコッチウイスキーの定義の違い

まず、アイリッシュウイスキーとスコッチウイスキーを定義づける法律の、おもな内容を比べてみましょう。

【アイリッシュウイスキー】

◇原料は大麦ライ麦小麦などの穀物類を使用すること
◇麦芽に含まれる酵素で糖化させること
◇酵母を使って発酵させること
◇蒸溜時のアルコール度数は94.8度以下
◇アイルランド共和国または北アイルランドの倉庫で、木製樽で3年以上熟成させること

【スコッチウイスキー】

◇原料は水、酵母、大麦麦芽などの穀物類のみ
◇糖化、発酵、蒸溜の工程をスコットランドにある蒸溜所で行うこと
◇蒸溜時のアルコール度数は94.8度以下
◇容量700リットル以下のオーク樽に詰め、スコットランドの倉庫で最低3年間熟成させること
◇瓶詰めする際に添加が認められるのは水と着色料としての天然カラメルのみ
◇瓶詰めする際のアルコール度数は40度以上

アイリッシュウイスキーとスコッチウイスキーの製法と表記の違い

スコッチウイスキーとの大きな違いは、アイリッシュウイスキーには「シングルポットスチルウイスキー」が存在すること。シングルポットスチルウイスキーは、アイルランドの伝統的なウイスキーで、大きなポットスチルで3回蒸溜することで造られます。

また、モルトウイスキーの蒸溜回数は、スコッチウイスキーでは通常2回のところ、アイリッシュウイスキーでは3回行うことが多いのも特徴です。

それから、ウイスキーの表記にも違いがあります。アイルランドでは「Whiskey」と書きますが、スコットランドでは「Whisky」と綴り、「e」が入りません。

アイリッシュウイスキーとスコッチウイスキーの味わいの違い

アイリッシュウイスキーは、基本的にピート(泥炭)を焚かないノンピートで造られます。そのため、すっきりしていて飲みやすいものが多く、原料由来の芳醇な香りをたのしめるのが特徴です。

それに対して、スコッチウイスキーを特徴づけるのは、ピート由来のスモーキーな香りにあります。なかにはアイラモルトのように潮っぽい磯の香り(ヨード香)を強く感じられるものもあり、全体的に個性の強いシングルモルトが多いのも特徴です。

アイリッシュウイスキーの蒸溜所とおすすめ銘柄

アイリッシュウイスキーの蒸溜所とおすすめ銘柄

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アイルランドを代表する大手蒸溜所は5か所

かつてはスコットランドを凌ぐほどの蒸溜所があったものの、20世紀前半以降は衰退の一途をたどり、統廃合が進んで1972年には2つに集約されました。少しずつ数を増やし、現在アイリッシュウイスキーを代表する大手蒸溜所として挙げられるのは、以下の5つです。

【ブッシュミルズ蒸溜所】

1972年に国境を越えてすべての蒸溜所が合併して設立された、「アイリッシュ・ディスティラーズ・グループ(IDC)」の生産拠点のひとつ。北アイルランドにある蒸溜所で、ブッシュミルズ自体の創業は1608年といわれています。

【ミドルトン蒸溜所】

アイルランド共和国にあるIDCのもうひとつの生産拠点。1975年の操業開始までは、正面にある1825年設立の旧ミドルトン蒸溜所(正式名称は「ジェムソン・エクスペリエンス」)が使われていました。世界最大のポットスチルを有する旧ミドルトン蒸溜所は現在、ビジターセンター兼博物館となっています。

【クーリー蒸溜所】

アイルランド共和国で1987年に創業。蒸溜を開始したのは1989年からで、アイリッシュウイスキーの「第三勢力」に位置づけられています。2014年以降はビームサントリー社傘下。

【キルベガン蒸溜所】

2007年にクーリー社が復活させた、アイルランド共和国の蒸溜所。前身は1757年創業のブルスナ蒸溜所です。2014年以降はビームサントリー社傘下。

【タラモア蒸溜所】

2014年に、スコットランドのウィリアム・グラント&サンズ社が新設、復活させた蒸溜所。旧タラモア蒸溜所は1829年の設立から1954年まで操業していましたが、現在はビジターセンターになっています。

このほか、2015年にスタートした独立系のティーリング蒸溜所や、小規模蒸溜所が新規に稼働を始めています。

アイリッシュウイスキーのおすすめ銘柄

アイリッシュウイスキーのおすすめ銘柄を、蒸溜所ごとに紹介します。

【ブッシュミルズ】

ブッシュミルズ蒸溜所を代表するシングルモルトウイスキー。モルトを100%使用したスコッチタイプのウイスキーですが、蒸溜を3回行っているため、スコッチウイスキーよりもライトですっきりしています。バニラ香や果実香、芳醇な甘さをたのしめる1本です。

【ジェムソン】

ミドルトン蒸溜所を代表する、世界でもっとも売れているアイリッシュウイスキー。密閉炉で乾燥させたノンピートのモルトを、ポットスチルで3回蒸溜して造られています。香ばしくまろやかな香りと、ナッティな風味が特徴です。

【レッドブレスト】

こちらもミドルトン蒸溜所の銘柄で、唯一のシングルポットスチルウイスキーです。アイリッシュウイスキーの伝統製法で、銅製のポットスチルを使い、3回蒸溜で造られています。蒸溜を3回行なっているとは思えないほど、クリーミーな口当たりと重厚で力強い味わいをたのしめます。

【カネマラ】

クーリー蒸溜所の代表銘柄。唯一ピートを焚いたモルトを使用しているため、スモーキーフレーバーを感じられます。ハチミツやバニラのような甘味を感じられるのも特徴。蒸溜回数は2回とスコッチ風ですが、スムースで飲みやすく仕上がっています。

【ギルベガン】

キルベガン蒸溜所で造ったモルトウイスキーと、クーリー蒸溜所で造ったグレーンウイスキーをブレンドした、ブレンデッドウイスキー。グレーンウイスキーの比率が多いため、口当たりは軽やかです。リンゴやナッツのようなフレーバーが感じられます。

【タラモアデュー スタンダード】

タラモア蒸溜所の代表銘柄。以前はミドルトン蒸溜所で造られていたブランドです。ジェムソンに次ぐ人気銘柄で、バナナやパイナップルのような風味と、ナッツのような香り、ビターな余韻をたのしめます。

基本的にピートを焚かないアイリッシュウイスキーは、飲みやすさが魅力です。アイルランド独自のシングルポットスチルウイスキーや3回蒸溜のモルトウイスキーなどと、スコッチウイスキーを飲み比べてみることをおすすめします。産地は隣同士でもその味わいの違いにきっと驚くはずです。

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