甘い香りのジャパニーズウイスキーは初心者も飲みやすいってほんと?

甘い香りのジャパニーズウイスキーは初心者も飲みやすいってほんと?
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海外でも高く評価されているジャパニーズウイスキー。「甘い香りで飲みやすい」と評判のウイスキーですが、その香りはどこからくるものなのでしょうか? 今回は、ジャパニーズウイスキーの特徴や甘さの秘密について説明します。

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ジャパニーズウイスキーってどんなウイスキー?

ジャパニーズウイスキーってどんなウイスキー?

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甘い香りと評される、ジャパニーズウイスキーとは?

まずはジャパニーズウイスキーについて、かんたんにおさらいしましょう。ジャパニーズウイスキーは、スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアンと並ぶ「世界5大ウイスキー」のひとつで、その名のとおり、日本で造られるウイスキーの総称です。マイルドな口当たりの銘柄が多く、食中酒に適したお酒として知られています。

ジャパニーズウイスキーは、スコットランドのスコッチをお手本にして造られていますが、日本特有の特徴も多くあります。たとえば、スコッチの製造工程は分業化されていることが多いのですが、日本では原酒の調達から瓶詰めまで一貫して行います。またスコッチの特徴は、独特のスモーキーフレーバーにありますが、ジャパニーズウイスキーには、スモーキー香を抑えたクセの少ないタイプも豊富にラインナップされています。

ジャパニーズウイスキーは大きく4つに分類される

華やかで甘い香りのジャパニーズウイスキーは、原材料と製法の違いによって、おもに以下の4つに分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

【シングルモルトウイスキー】

大麦麦芽(モルト)だけを原料に、単式蒸溜機で造られるウイスキーを、「モルトウイスキー」といいます。単一蒸溜所のウイスキーだけをボトリングしているので、はっきりとした個性をたのしめるのが特徴です。代表的な銘柄として、「山崎」や「白州」などが挙げられます。

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【グレーンウイスキー】

トウモロコシやライ麦、小麦などの穀物(グレーン)を主原料として、連続式蒸溜機で蒸溜されるウイスキーを「グレーンウイスキー」といいます。蒸溜機の中で何度も蒸溜されるので、アルコール度数が高く、クリアな味わいのウイスキーに仕上がるのが特徴です。代表的な銘柄には「知多」などがあります。

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【ブレンデッドウイスキー】

モルトウイスキーやグレーンウイスキーなど、複数のウイスキー原酒をブレンドしたものが「ブレンデッドウイスキー」です。ブレンダーの卓越したブレンド技術によって、モルトウイスキーの強い個性が、透明感のあるグレーンウイスキーと混ざり合い、マイルドで調和のとれたウイスキーに仕上がります。代表的な銘柄は、「角」や「富士山麓」などです。

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【ピュアモルトウイスキー】

ピュアモルトは日本独特の呼び方で、複数の蒸溜所のモルト原酒をブレンドした100%モルトウイスキーを指します。世界ではブレンデッドウイスキーが主流のため、あえてモルト100%を強調するために“ピュア”という言葉をつけているのです。ピュアモルトの代表銘柄には、「竹鶴」などがあります。なお、近年スコットランドでは、100%モルトウイスキーのことを「ブレンデッドモルト」と呼ぶようになってきています。

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ジャパニーズウイスキーは料理との相性がよいってほんと?

一般に、香りが穏やかでなめらかな口当たりのジャパニーズウイスキーは、料理との相性がよいことでも知られています。スコッチウイスキーに近い風味を持つ銘柄から、クセの少ない淡麗なものまでさまざまなタイプがありますが、いずれも食事に合わせやすいのが特徴です。

これは食事とともにウイスキーをたのしむという、日本独自の食文化に倣って、食事中に飲むことを想定して造られるウイスキーが多いためです。世界的には、ウイスキーは食後酒として親しまれていることを考えると、ジャパニーズウイスキーの大きな特徴ともいえるでしょう。

ウイスキーの甘さを生み出す要因は?

ウイスキーの甘さを生み出す要因は?

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ジャパニーズウイスキーの甘さは何から生まれるの?

甘いと評判のジャパニーズウイスキーですが、そもそもウイスキーでいう甘さの正体は何でしょうか。糖分を含まないウイスキーが甘く感じられるのは、「味」ではなく「香り」の役割が大きいようです。この香りは、熟成に使われる樽や原料に含まれている成分が、ウイスキーに溶け出すことで付与されるといわれています。つまり、ジャパニーズウイスキーの「甘さ」を造り出しているのは、熟成樽や原料によるところが大きいというわけです。

ウイスキーが甘く感じるもうひとつの理由とは?

甘いジャパニーズウイスキーの正体について、さらに探ってみましょう。ウイスキーを甘いと感じる秘密は、アルコールの一種「エタノール」にもあるともいわれています。このエタノールが口の中の粘膜を刺激し、その刺激を脳が心地よいものとして認識することで「甘い」と感じるのです。さらに、樽由来のバニラやキャラメル、チョコレートといった甘味を連想させる香りが加わると、より強い甘さを感じられるようになります。

ウイスキーの甘さは、熟成させる樽材の種類によって変わる

一言で「甘いジャパニーズウイスキー」といっても、その甘さはさまざま。おもな熟成樽の種類ごとに、ウイスキーにどんな甘さが付与されるのか確認しましょう。

【アメリカンホワイトオーク/ホワイトオーク】

ホワイトオーク製の樽は、ウイスキーにバニラのような香りを付与します。また、ココナッツのような香ばしさや、甘い香辛料のようなニュアンスを感じられるものも。長期熟成したものにはココナッツミルクのような濃厚な香味をたのしめるものもあります。

【スパニッシュオーク/コモンオーク】

ポリフェノールやタンニンを多く含むスパニッシュオークの樽を使用すると、ドライフルーツやシナモンのような甘さが生まれます。より熟成感が強調されるため、甘くて重みのあるウイスキーの熟成に用いられる種類です。

【セシルオーク/フレンチオーク】

ヨーロッパ2大オークのひとつ、セシルオーク(フレンチオーク)を使用することで、タンニンを多く含んだスパイシーな甘さに仕上げることができます。近年ではジャパニーズウイスキーやスコッチウイスキーの熟成にも使われています。

【ミズナラ/ジャパニーズオーク】

ジャパニーズウイスキーを象徴するのがミズナラ樽です。ミズナラ樽で熟成したウイスキーは、伽羅(キャラ)や白檀(ビャクダン)を思わせる独特の香味とハチミツのような甘さが感じられます。

このミズナラ樽について、もう少し詳しく見ていきましょう。

ジャパニーズウイスキーにミズナラ樽を使うと甘くなる?

ジャパニーズウイスキーにミズナラ樽を使うと甘くなる?

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ジャパニーズウイスキーとミズナラ樽の関係

上品な甘さのジャパニーズウイスキーとミズナラには、密接な関係があります。太平洋戦争の戦中・戦後にかけての日本では、ウイスキーの貯蔵に不可欠なシェリー樽などの古樽を輸入しづらい状況にありました。貯蔵樽を確保するため、国内のさまざまなオーク材の中から選ばれたのが、高級家具などに使われていたミズナラです。

当初は、木香が強いうえ、原酒が漏れやすく、水分量が多い材質のため、管理や調整に困難を極めたそう。しかし、このミズナラ樽を2度3度と繰り返し使用することで、強すぎる木香がマイルドになり、独特の香味を持つジャパニーズウイスキーが生まれたといわれています。そして現在、ミズナラは、日本のウイスキーを特徴づける「ジャパニーズオーク」として注目されています。

世界を魅了する、甘いジャパニーズウイスキー

オリエンタルな甘さが魅力のジャパニーズウイスキーは、良質なミズナラ樽で熟成させることで、伽羅や白檀を想わせる独特の甘い香りを持ち、厚みのあるテクスチャーに仕上がります。また、熟成期間の短いウイスキーはココナッツのような甘い香りを持ち、長く熟成させたウイスキーは気品のある甘さと芳醇さを備えるのも特徴です。

このような特徴と、ジャパニーズウイスキーが持つみずみずしい森林の香りは、世界のブレンダーからも高い評価を得ています。魅力あふれる日本ならではの甘いウイスキーは、先人たちの努力が生み出した賜物といえるでしょう。

日本を象徴するウッディな樽香と上質な甘さが特徴のジャパニーズウイスキー。日本人の好みに合わせてスモーキーなフレーバーを控えめにして作られているので、とても飲みやすく、ウイスキー初心者にもぴったりです。ぜひ甘美なジャパニーズウイスキーを味わってみてください。


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