日本酒は常温保存でもよい? おいしさを保つ方法とは

日本酒は常温保存でもよい? おいしさを保つ方法とは
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日本酒を保存するとき、どのように保存していますか? じつは日本酒の保存条件は、日本酒の種類によって異なります。今回は、おいしく日本酒を飲むためにどのように保存すればよいのか、気をつけたいポイントを紹介していきます。

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常温保存できる日本酒、向かない日本酒

常温保存できる日本酒、向かない日本酒

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日本酒を常温で保存してもいいの?

日本酒には、銘柄や種類(タイプ)ごとに適した保存温度があります。一般に、「生酒」は5度以下。「生酒」以外は5度以上でも大丈夫ですが、日本酒は高温や急な温度変化、紫外線によって品質の劣化が起きやすいデリケートなお酒です。そのため、「生酒」以外を常温保存する場合でも、直射日光や紫外線のあたらない、なるべく温度変化の少ない冷暗所に置くのがベター。室温が高温になる夏場など、常温保存に適した環境を保てない場合は、冷蔵庫に保管しましょう。

常温保存が可能な日本酒の種類

「生酒」以外が常温保存できる理由は、酒販店やスーパーなどで常温で並べられている銘柄やパック酒の多くは、「火入れ」と呼ばれる加熱処理の工程を2度行うことで、品質を安定させているためです。常温保存できる日本酒は常温での保存が必須ではなく、比較的管理しやすいことから、常備酒として人気があります。

まとめると、常温保存が不可能な日本酒は「生酒」。逆に「生酒」以外、つまり、「生貯蔵酒」「生詰め酒」そのほかのお酒は常温保存が可能です。

常温での保存に向かない日本酒

「生酒」以外の多くの日本酒は常温保存が可能ですが、日本酒は本来デリケートなお酒です。製造過程で火入れを1度も行わない「生酒」系のお酒や、常温保存が可能ですが火入れを1度しか行わない「生詰め酒」「生貯蔵酒」「吟醸酒」系のお酒も、繊細な香りや味わいを損なわないよう、冷蔵で保存するのがベター。フレッシュさが魅力の「新酒」も冷蔵保存が基本です。


<冷蔵が必須>
◇生酒系
生酒(活性にごり酒)、生原酒、無ろ過生原酒、初しぼりなど

<冷蔵を推奨>
◇生詰め系
ひやおろし、秋あがりなど
◇生貯蔵系
◇吟醸酒系
吟醸酒、大吟醸酒
◇新酒
◇火入れ処理が1回の純米酒など

日本酒の常温保存の注意点とたのしみ方

日本酒の常温保存の注意点とたのしみ方

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開栓前、開栓後の日本酒を常温保存するときの注意点

常温保存が可能な日本酒であれば、基本的に開栓前後ともに常温で保存できます。保存する際は、高温にならず、一定温度を保て、日光や蛍光灯の光が当たらない涼しい暗所を選びましょう。さらに、少しでも光が当たらないように新聞紙で包むか、購入時の化粧箱に入れておけば安心です。

開栓後は、種類によって速度の違いはあるものの、味わいがどんどん変化していきます。空気に触れることによって酸化が進むため、熟成目的でなければ、なるべく早く飲み切ることをオススメします。また、瓶の中の日本酒と空気の触れる面積が最小限で済むよう、立てて保存するか、清潔な小さな瓶またはペットボトルに移し替え、できれば冷蔵庫で保存しましょう。

日本酒は常温熟成という方法でもたのしめる

熟成酒や古酒に注目が集まる近年、日本酒を常温保存して、味の変化や熟成度合いをたのしむ“ツウ”な愛飲家もいます。

日本酒を自宅で熟成させることを「自家熟成」、または「自家熟」といい、自家熟成をたのしむときは、日本酒を新聞紙などで包んで光を遮り、床下収納などの暗所に保管して、飲みごろを迎えるのを待ちます。

常温熟成に向いているのは、無ろ過タイプで、火入れ処理が2度行われている純米酒や本醸造酒などです。自家熟成酒は一般に7~8年ほどで飲みごろを迎えるといわれていますが、酒質がどう変化するかは未知数。しかし、思いがけず、うれしい変化を見せてくれることもあります。

もちろん、冷蔵庫で冷温熟成をたのしむ日本酒ラバーもいます。「レマコム」など、温度調節ができる冷凍ストッカーを日本酒専用にして、マイナス5度~プラス5度くらいのなかで、目的によって温度設定し、「生酒」を氷温熟成させて、年度ごとの違いをたのしむようになったら、もう一流の日本酒マニアですね。

日本酒の保管に適した温度と保存方法をおさらい

日本酒の保管に適した温度と保存方法をおさらい

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日本酒のタイプ別、温度管理と保存のコツ

「生酒」以外の常温保存が可能な日本酒であっても、「熟成目的」の場合以外は、日本酒を冷蔵保存すると品質劣化を遅らせることができるので、理想は「すべての日本酒は冷蔵保存」。そうはいっても、現実的には制約があるので、以下を参考にしてください。

【「純米酒」「本醸造酒」「普通酒」】

常温保存に適した“冷暗所”とは、一般に15度前後以下の涼しくて暗い場所を指します。代表的な保管場所は床下収納です。床下収納がない場合は、エアコンなどの影響を受けず、温度変化の少ない場所を選びましょう。

【「生酒」「生詰め酒」「生貯蔵酒」】

フレッシュさが特徴の「生酒」は、酵母の働きが抑えられる、5度以下の冷蔵保管がベスト。家庭用冷蔵庫に保管する場合は、冷蔵室に立てて入れましょう。ちなみに、冷蔵室の温度はJIS規格によって4度以下と定められています。
ドアポケットは、開閉によって温度変化が生まれやすいので、なるべく避けたいもの。「生詰め酒」「生貯蔵酒」も、なるべく冷蔵しましょう。

【「吟醸酒」「大吟醸酒」】

「吟醸酒」系のお酒は、一般に約5~10度の低温でゆっくり発酵させて造られる繊細なお酒のため、できれば5度以下で保存するのがオススメです。

日本酒は冷凍庫で長期保管できる?凍らせてもいい?

日本酒は、冷凍庫での長期保存には向いていません。なぜなら、日本酒はマイナス7~10度前後で凍ってしまうものが多いからです。また凍らせることで、本来の味わいを損なう場合があるので注意が必要です。

その一方で、日本酒を凍らせてたのしむ方法もあります。「みぞれ酒」と呼ばれるもので、日本酒を過冷却状態にすると、シャーベット状に凍った日本酒を味わえます。家庭で作る場合は、みぞれ酒用に造られた日本酒を使うとよいでしょう。

また、「氷温貯蔵」や「低温熟成」と呼ばれる保存方法もあります。凍る手前のマイナス5度前後で酵素の働きを止めると、生酒でも長期熟成が可能になるそう。ただし、家庭用冷凍庫では難しいため、温度設定が可能な日本酒セラーが必要になります。

常温や冷蔵など日本酒のおもな保存方法について紹介してきましたが、日本酒の温度管理についてはさまざまな意見があります。まずは蔵元や酒屋さんが推奨している適切な温度で保管して、造り手の意図にできる限り近い味わいをたのしみたいですね。

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