2021年より稼働予定、現在NYに酒蔵を建設中 〜「獺祭」蔵元・旭酒造の新たな挑戦〜

2021年より稼働予定、現在NYに酒蔵を建設中 〜「獺祭」蔵元・旭酒造の新たな挑戦〜

国内のみならず海外にも多くのファンを持つ日本酒「獺祭」。伝統的な酒造りの常識にとらわれず、常に新たな試みにチャレンジし続けてきた旭酒造の次の挑戦は、米ニューヨーク州の酒蔵の建設。「山口の山奥の小さな酒蔵」が、東京や海外に販路を開拓してきたこれまでの歩みや今後について、桜井会長にお話をうかがいました。

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現在、旭酒造は、世界最大の料理大学といわれるCIA (Culinary Institute of America)大学と提携し、NY州に酒蔵を建設中で2020年からの稼働を目指し準備を進めています。現地の米や水を使用し、国内と同じく純米大吟醸を製造する予定。最終的には7000石(一升瓶にすると70万本)の生産を目指し、現地生産によって抑えられたコストで全米に向けて供給していく予定です。

(桜井会長)「アメリカで日本酒がブーム」といわれていますが、私が思うところ、実際には全米で飲まれている総アルコール飲料の1%あるかないかが現実的な数字だと思います。米国人の日本酒に対する知識はほぼありませんし、日本酒が米国でしっかりと根付くのにはまだ時間がかかると思っていました。
そうしたところ、2017年にCIA大学から打診があり、この話をお受けしました。約2万坪の敷地に酒蔵を建設し、テイスティングルーム付きのリカーストアを併設します。米国人に、日本酒に親しんでもらえる場所になればと思っています。

米国NY州に建設中の酒蔵のイメージ画像

酒米は、米・アーカンソー州産の山田錦と日本からの山田錦を半分ずつ使用する予定です。現地で蔵人を採用しますが、日本から工場長他スタッフ数名が行きますし、造り方も日本と同じです。ただ、「獺祭」とは別のお酒なので、銘柄名は違うものになります。もう名前は私のなかで決めていますが、発表するまではまだ秘密です(笑)。
(※後日、日本のオリジナルの獺祭を超えて、優れたお酒になってもらいたいとの思いを込めて『Dassai Blue』と命名したことを発表)
高品質のお酒を、現地生産することによって抑えられた価格で提供することで、より多くの米国人に日本酒との接点を持ってもらいたいですね。

 会長も1年間アメリカに滞在し、陣頭指揮を取る予定だそう。
「日本が静かになるのではと思います(笑)。」

NYで造られるお酒は「Dassai Blue」に。

やっぱり、お客様からお金をいただいている以上、「ああ、飲んでよかった」と思ってもらえるお酒を造らなければと思っています。皆さんがもっと幸せになるお酒を造れるように、日本でも米国でも、今後も努力を重ねていきます。



お話をうかがって、常にチャレンジをし続けてきた旭酒造の背景には、桜井会長の“今よりさらにもっと上を目指して”の気持ちで歩んできた「強い信念」があるのが伝わってきました。
より“その先へ”と進化し続ける旭酒造の今後から、目が離せません。




旭酒造株式会社
https://www.asahishuzo.ne.jp

ライタープロフィール

阿部ちあき

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会認定 きき酒師 日本酒・焼酎ナビゲーター公認講師
全日本ソムリエ連盟認定 ワインコーディネーター

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