「ドイツビール」にはソーセージ!ドイツビールの特徴や代表的な銘柄を紹介

「ドイツビール」にはソーセージ!ドイツビールの特徴や代表的な銘柄を紹介
出典 : SFC/Shutterstock.com

ドイツビールのお供といえば「ソーセージ」ですが、なぜ相性がよいのでしょうか?その理由のひとつに、香辛料の存在が挙げられます。ひとり当たりの年間ビール消費量は日本の3倍近くのビール天国ドイツ。そんなドイツのビール文化を見ていきましょう。

  • 更新日:

ドイツのビールとは?

BravissimoS/ Shutterstock.com

ドイツビールの特徴や歴史を紹介します。

ドイツビールの特徴

ドイツビールは、重厚な味わいと飲みごたえが魅力。そのおいしさの原点のひとつともいえるのは、ビールに関する法律があることです。それが1516年にバイエルン公ヴィルヘルム4世が制定した「ビール純粋令」。ビールの原料を「麦芽」「ホップ」「水」に限定(のちに酵母も追加)したものです。

これは食品の品質を定めた法律としては世界でもっとも古いものといわれています。制定から500年以上もの間、ドイツビールはこの法律のもとで安定した水準が保たれてきました。

麦芽とホップ以外の原料を幅広く認めている国もあるなかで、500年以上もの間、シンプルな原料による製法を守り抜いてきたのがドイツビール。そのため麦芽とホップの味が混じりけなくストレートに感じられ、後味もすっきりした味わいとなるのです。

じつは現在では「純粋令」はすでに法的効力を失っていますが、ドイツのほとんどの醸造所がこの法律を守り、副材料の添加をしていません。「麦芽」「ホップ」「水」「酵母」この4つの素材のみにこだわり、個性を生み出す。それが、ドイツビールのプライドといえるかもしれませんね。

ドイツビールは、大手メーカーが高い市場専有率を誇る日本と違って、多くが中小規模の醸造所で造られているのも特徴で、ひとつの町や村にひとつの銘柄があるといわれるほど個性豊か。国内1,200以上の醸造所で5,000種類以上の銘柄が造られているというから驚きです。

ドイツビールの歴史

ドイツのビール醸造の始まりは諸説ありますが、紀元前1800年ごろに定住生活を始めた古代ゲルマン人によってビールが造られていたという記録があります。

それから時を経て中世になると、修道院でビール造りが盛んになりました。知識人であった修道士たちは醸造技術に優れていたことや課税されていなかったことなどがその理由です。

15世紀以降にギルド制が定着するとともに、次第にビールの醸造が市民の手に移っていきます。腐敗を避けるためにビールの醸造は冬場に行われていましたが、低温でも発酵が進む事例が見つかり、天然の氷を使いビールを春まで洞窟で貯蔵する方法が生まれました。しかも、低温発酵させたほうがマイルドな味わいであることもわかりました。これがのちのラガービールの原型となります。

ドイツのビール文化

Kzenon/ Shutterstock.com

ビール大国ドイツでは、ビールは生活の一部であり文化です。ひとり当たりの年間ビール消費量は101リットル(ジョッキ約232杯相当)で、隣接するチェコ、オーストリアに次ぐ世界3位。そんなドイツのビール文化を見ていきましょう。

ビールの日

ドイツのビールを語るときに欠かせない「ビール純粋令」が制定されたのは、1516年4月23日。以来、ドイツのビール醸造所ではこのルールに従って「麦芽」「ホップ」「水」とのちに追加された「酵母」の4つの原料以外を使わず、品質を維持しています。

その伝統を守り続けるドイツの誇りとして、ドイツのビール醸造連盟が1994年、翌年以降の4月23日を「ビールの日」に制定しました。厳しい冬を越え、春たけなわのこの時期、毎年この日は各地でビールイベントが行われています。

ビール祭り

日本でもビールのお祭りの代名詞にもなっていて、時期を問わず全国各地で開催されている「オクトーバーフェスト」。本家ドイツの「オクトーバーフェスト」は、ドイツビールのふるさとともいえるバイエルン州の州都ミュンヘンで9月から10月にかけて16~18日間催され、のべ600万人以上が集まる世界最大のビール祭りです。

オクトーバーフェストは、もともとはビールの醸造シーズンの幕開けを祝うお祭りとして、ドイツ各地で催されていたものです。ミュンヘンで行われる特別なお祭りとなったのは、1810年10月12日、当時のバイエルン公国王子の結婚式が起源。ミュンヘンで5日間にわたって催された宴の最後に競馬が行われた卵型の広場が、毎年お祭りの場として親しまれ、20世紀に入ってから国民的なビール祭りへと発展していきます。

お祭りということで、会場には地元のビール醸造所のブースが設けられました。各醸造所は客寄せのための宣伝合戦を繰り広げ、やがてはアトラクションや曲芸、音楽ショーなども登場。お祭りの規模は拡大していきます。

ミュンヘン市長の掛け声とともにビール樽を割り、お祭りの開催を宣言するスタイルになったのは1950年、トーマス・ヴィマー市長のときからです。

そして国民的お祭りから世界的ビール祭りへ。本家オクトーバーフェストを模して、世界各地でこの名前を冠したビールイベントが開催されるようになりました。

ドイツの代表的なラガービール

DONOT6_STUDIO/ Shutterstock.com

ラガービール(下面発酵ビール)が大多数を占めるドイツのビール。15世紀にドイツで生まれた、低温貯蔵しながら発酵させる製法によるもので、ラガーとはドイツ語で「貯蔵」を意味します。ここではドイツの代表的なラガービールを紹介します。

ピルスナー

ピルスナーは、世界中に150以上もあるといわれるビアスタイルのひとつ。黄金色のさわやかなのどごしが特徴で、日本の大手ビールメーカーが販売する商品の大半がピルスナーです。発祥はチェコですが、ドイツでも広く飲まれていて、北部ではホップの苦味が強くドライな味わいに、南部ではホップの苦味が控えめでモルトの味が強くなる傾向にあります。

ドルトムンダー

ドイツ北西部に位置する工業都市、ドルトムントで生まれたビール。ドルトムントは20世紀初頭にはビール醸造所が120カ所以上もあったドイツ最大のビール生産都市でした。19世紀半ば、ラガーのなかでもとくに人気のあったピルスナースタイルを参考に造られたといわれています。

ピルスナーと同様、透きとおった淡い黄金色をしていますが、ホップと麦芽のバランスが特徴的です。ホップの苦味や香りは抑えめにしているため、マイルドな飲み口のなかに麦芽の存在感がしっかり感じられ、ややドライな味わい。日本の「ヱビスビール」もこのドルトムンダースタイルです。

シュバルツ

シュバルツは、ドイツ語で「黒」を意味します。その名のとおり、ローストした麦芽をふんだんに使った黒ビールで、ドイツ南部のバイエルン地方から発祥したといわれています。

その見た目から濃厚な味わいかと思われがちですが、苦味は弱く、ラガーらしいクリアな風味と、ロースト由来のチョコレートやコーヒーを思わせる香ばしさが特徴で、のどごしも軽やか。クセになりそうなその味わいは、ドイツの有名詩人ゲーテも愛飲したことでも有名です。

ドイツの代表的なエールビール

S_Photo/ Shutterstock.com

下面発酵のラガービール、とくにピルスナースタイルが主流のドイツビールですが、地域によっては上面発酵のエールビールも造られています。高めの温度で発酵させる上面発酵ならではの香りの高さから、じっくり味わいたい愛飲家に人気があります。
ここでは、ドイツの代表的なエールビールを紹介します。

ケルシュ

ケルシュは、ドイツ西部のケルン地方で伝統的に製造されているビールで、ケルンの特定の醸造所で造られたものだけが「ケルシュ」と名乗ることができます。

大麦と小麦の麦芽を使用していること、上面発酵酵母で麦汁を発酵させ、熟成時はラガービールのように低温で長期間熟成させるという独特な製造法で造られたこの黄金色のビールは、きめ細かい泡立ちとフルーティーな香りが特徴です。苦味は抑えめで、華やかな香りとほのかな甘味とすっきりとした後味は、ビールの苦味を敬遠する人にも受け入れられやすいでしょう。

ヴァイツェン

ヴァイツェンは淡い色合いから、「白ビール」とも呼ばれています。ドイツ南部で生まれたビアスタイルで、ヴァイツェンとはドイツ語で「小麦」を意味します。その名の示すとおり、ヴァイツェンには小麦麦芽が使用されていて、日本語では直訳して「小麦ビール」と呼ばれることもあります。

小麦を50%以上使用しているためパンを思わせる香りもあり、泡立ちや泡もちが大麦のみのものよりも良いのも特徴のひとつ。さらに、ほのかにバナナのような香りと同時にナツメグのような香りが立ち、軽い飲み口にやさしい味わい。苦いビールが苦手な人でも飲みやすく、近年は日本でも女性を中心に人気を集めています。

酵母をろ過した透明感ある淡色のタイプと、酵母をろ過せずに瓶詰めした白濁タイプがあります。

アルト

アルトは、ドイツ語で「古い」を意味します。ピルスナーなどのラガービールが発展する前からあるビアスタイルなので、この名称になりました。おもにドイツ西部のデュッセルドルフで造られています。

見た目はこげ茶に近い濃褐色で、フルーティーな香りが特徴。銘柄によってホップの効かせ方が異なり、苦味の度合いはそれによって変わりますが、いずれも色合いが思わせる濃厚さよりもさわやかでみずみずしい味わいです。

ドイツビールにはソーセージ

Alexander Prokopenko/ Shutterstock.com

ドイツビールのお供といえば「ソーセージ」ですが、なぜ、ドイツビールとソーセージは相性がよいのでしょうか? その理由のひとつに、豚肉の臭いを抑えるために使われる香辛料の存在が挙げられます。この香辛料が、ドイツでソーセージが発展した一因ともいわれています。中世後期の北ドイツは、東方からの香辛料が集まる流通拠点だったため、香辛料が手に入りやすく、ソーセージ作りが容易だったのです。

ドイツには、さまざまな種類のソーセージがあり、それぞれ発祥の地の名称がつけられていることが多いようです。

◇テューリンガー
ドイツビールに合う焼きソーセージの定番で、ドイツ中東部のテューリンゲン地方発祥です。ニンニクとハーブが練りこんであり、香り高いソーセージです。

◇フランクフルター
フランクフルト発祥のソーセージで、軽めのビールと好相性です。日本では「フランクフルト」と呼ばれ、焼いて食べることが多いですが、ドイツでは軽く塩ゆでして食べられます。

◇ヴァイスヴルスト
ミュンヘンの名物のソーセージで、見た目から「白ソーセージ」とも呼ばれます。さまざまなビールに合いますが、とくに色味が近い「ヴァイツェン」との相性はバツグン。ゆでて提供されることが多く、皮をむいて食べるとふんわりした食感をたのしめます。

ひとり当たりのビール消費量が日本の3倍近いというビール大国ドイツ。その歴史と伝統に敬意を表し、ドイツビールへの扉を開いてみてはいかがでしょう。たのしいビールワールドがそこにあります。

おすすめ情報

関連情報

日本ビール検定(びあけん)情報

ビールの基礎知識

日本ビール検定(びあけん)情報

イベント情報

おすすめ情報

Ranking ランキング

おすすめの記事