ビールの製造方法とは? 工程ごとに解説

ビールの製造方法とは? 工程ごとに解説
出典 : Jacob Lund/ Shutterstock.com

「ビールの製造方法を知りたい」と思うビール愛好家は少なくないようで、ビール工場を見学に訪れる人が増加中です。そこで今回は、「日本ビール検定公式テキスト」に準拠して、ビールの製造方法を工程ごとに紹介していきます。

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ビールの製造方法(1)製麦工程

ビールの製造方法(1)製麦工程

Benoit Daoust/ Shutterstock.com

ビール造りは大麦を発芽させる「製麦」からスタート

ビールの製造方法は、一般的に「製麦(せいばく)」と呼ばれる工程から始まります。
ビール造りに欠かせない原料のひとつに「麦芽(ばくが)=モルト」があります。製麦とは、大麦を発芽させて麦芽を造ること。
まずは大麦を水に浸してたっぷりと吸水させたうえで、一定の温度に保たれた「発芽室」で、定期的に大麦を混ぜながら発芽を促します。

発芽した大麦を醸造しやすく加工

発芽室で大麦の成長を止め、長期保存できるように乾燥させることを「焙燥(ばいそう)」と呼び、これにはビール独特の色や香りを生み出す目的もあります。
その後、不快な苦味のもととなる根を切り取る「除根(じょこん)」を経て、濃色ビール場合はさらに「焙煎(ばいせん)」が行われます。このときの温度や時間によって、ビールの色や風味、香りが大きく変化します。

ビールの製造工程(2)仕込工程

ビールの製造工程(2)仕込工程

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麦芽を仕込鍋で煮てお粥状の「マイシュ」に

ビールの製造方法の第二段階となるのが「仕込」です。まずは麦芽を細かく粉砕し、仕込釜で煮ることで「マイシュ」と呼ばれる、お粥のような状態になります。
このとき、麦芽に含まれるデンプンが酵素の力で糖に分解される「糖化」が行われ、あわせてタンパク質もアミノ酸に分解されます。

「マイシュ」をろ過した「麦汁」をホップとともに煮沸

十分に糖化とタンパク質分解が進んだマイシェをろ過し、固形分を取り除いたものが「麦汁(ばくじゅう)」です。
一般的には、このタイミングでビールのもうひとつの主原料である「ホップ」を加えて煮沸することで、不快なにおい成分が揮散し、ビール独特の苦味や風味が生まれます。

ビールの製造工程(3)発酵・貯酒工程

ビールの製造工程(3)発酵・貯酒工程

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発酵によってアルコールと炭酸ガスを生成

ビールの製造方法における3番目の工程が「発酵・貯酒」です。仕込工程で造られた麦汁を発酵させることで、ビールに欠かせないアルコールと炭酸ガスを生じさせます。
まずは麦汁を発酵に適した温度まで冷やします。一般的には、高温の「上面発酵(エール)」で15~25度、低温の「下面発酵(ラガー)」で10度前後です。
適温となった麦汁に酵母を添加し、酸素を供給することで、酵母が増殖して発酵が進み、糖がアルコールと炭酸ガスに分解されます。

「ラガービール」と「エールビール」の違いとは?ポイントは発酵方法

「若ビール」を熟成させ、味や香りを整える

発酵が進んでアルコールや炭酸ガスを含んだ麦汁を「若(わか)ビール」と呼びますが、まだ味が粗くて香りも未熟です。これを低温で熟成させるのが「貯酒」工程。熟成中も残った糖分の発酵が進むため「後発酵」とも呼ばれます。
この工程では、炭酸ガスを溶解させたり、不快な香り成分を他の物質に変換させたりと、熟成によってビールの味を整えます。

ビールの製造工程(4)ろ過工程

ビールの製造工程(4)ろ過工程

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ろ過で酵母を取り除き、クリアなビールに

ビールの製造方法における「ろ過」とは、酵母などの固形物を取り除いて、濁りのない透き通ったビールにすること。
ビールのなかに酵母が残ったままだと、出荷した後も発酵が進むため、長期にわたる品質維持が困難です。そこで、一般的にはろ過、あるいは熱処理によって酵母を除去(不活性化)します。
ただし近年では、岩手県の「銀河高原ビール」のように、あえてろ過せずに酵母を残したままパッケージングする「無ろ過ビール」も登場。約5度前後での冷蔵保管が求められるものの、酵母の旨味を活かした独特の個性で人気を集めています。

ろ過技術の進歩が、熱処理しない「生ビール」を生んだ

かつては、酵母を除去(不活性化)する方法としては、熱処理が主体でしたが、近年になってろ過技術が進歩すると、ろ過だけで酵母を取り除くことが可能になっています。
日本で呼ばれる「生ビール」とは、一般的には発酵後の熱処理を施さずに製造されたビールのことを意味しています。

ビールの製造工程(5)パッケージング工程

ビールの製造工程(5)パッケージング工程

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ビールを瓶、缶、樽などの容器に詰めるビールを瓶、缶、樽などの容器に詰める

ビールの製造方法の最終段階となるのが「パッケージング」。瓶や缶、樽などの容器にビールを詰める工程です。
ビールが酸素に触れて品質が落ちないよう、容器内に密閉することで、ビールの長期保存を可能にします。ビール工場から消費者のもとへ、高品質なビールを安全に届けるために必要不可欠な工程と言えるでしょう。

ビールは製麦、仕込、発酵・貯酒、ろ過、そしてパッケージングと、長い工程を経て造られます。どの工程も、おいしいビール造りには欠かせないもの。各工程を理解することで、ビールをより深くたのしめるかもしれませんね。

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