国内外からの注目が高まる「北海道産ワイン」 独自性にあふれ、個性輝くワイナリーの魅力に迫る <後編>

国内外からの注目が高まる「北海道産ワイン」 独自性にあふれ、個性輝くワイナリーの魅力に迫る <後編>

食の王国・北海道で、新たな名産品として注目を集めている“北海道産ワイン”。後編では、全国のワインファンの間で注目が高まる「ドメーヌ・タカヒコ」、新規就農でワイナリーを開設して3年目となる「ドメーヌ・モン」、家族経営のワイナリーとして北海道で先駆け的存在の「山﨑ワイナリー」に伺い、さまざまなお話しを伺ってきました。

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左は登地区のリンゴで造られたシードル。右は余市産のピノ・ノワールで造ったブラン・ド・ノワール(白ワイン)

左は登地区のリンゴで造られたシードル。右は余市産のピノ・ノワールで造ったブラン・ド・ノワール(白ワイン)

ボトルの裏ラベルに薄く書かれている「感謝」の文字。

ボトルの裏ラベルに薄く書かれている「感謝」の文字。

ピノ・グリの初収穫となった2018年。「初めてにしてはよい出来だった」と話す山中さん。

「畑では、土の中の生き物や微生物が生きやすいように、トラクターなど重い機械を入れないことや農薬を撒かないこと、そして、自分の気持ちが朗らかで穏やかでいることに気をつけています。畑の中でのブドウの状態がそのままワインに反映されやすいですが、飲み手にもワインを介してそれが伝わっていくと思うんです。この土地の伸び伸びとした自然の雰囲気を、そのままワインに表現していきたいですね」。

目指すのは“日本らしいワイン”。
雨が降る国で、微生物が活発に動きやすい土壌で育ったブドウのワインには、瑞々しさの中に旨味を感じる味わいがあると語る山中さん。

自らが苗木から育て、始めて収穫したワインは、早ければ2020年の春にはリリースの予定。
どんなメッセージを受け取ることができるのか、今から待ち遠しいです。



ドメーヌモン

余市郡余市町登町898

https://domainemont.com/


「山﨑ワイナリー」  “農家が自立できる農業”を目指してワイナリーの設立へ

「山﨑ワイナリー」  “農家が自立できる農業”を目指してワイナリーの設立へ

三笠市の達布展望台へ向かう途中の丘の上にある山﨑ワイナリー。

札幌から車で北東に1時間ほどの三笠市にある「山﨑ワイナリー」は、家族経営型ワイナリーの北海道内の先駆け的存在として知られています。代々続く畑作と水田の農家でしたが、三代目の和幸さんが、2002年に“地域農業に基盤を置いて付加価値のある農産物を生産する、農家が一法人として自立していける農業を目指したい”との思いから、農家としては日本で初めてとなる果実酒の醸造免許を取得し、ワイナリー事業を開始しました。

98年からピノ・ノワールとバッカスの栽培に取り組み、2002年が初年度となりましたが、当時、日本国内で生産されるピノ・ノワールでのワインの成功例が少なかった中で高い評価を得て、一躍注目を集めました。

開設当時からブドウはすべて自家栽培にこだわり、栽培、醸造、瓶詰、販売までを家族5人で担当。ワインラベルには5人の指紋をあしらった花びらが描かれ、絆の深さが感じられます。
現在は10haの畑で10品種のブドウを栽培し、年間4~5万本のワインを生産しています。

5枚の花びらとして描かれている“家族の絆”。

5枚の花びらとして描かれている“家族の絆”。

自分自身を生かせる仕事を選択、ブドウ栽培の道へ

次男の太地さん。長男の亮一さんは醸造を担当。「今は僕たち息子が中心となって頑張っています」。

次男の太地さん。長男の亮一さんは醸造を担当。「今は僕たち息子が中心となって頑張っています」。

ブドウの栽培を担当するのは、和幸さんの次男、太地さん。当初は“スーツを着て仕事がしたい”と、農家を継がず、教職を目指して大学に進学しましたが、卒業を前に、研究の一環で道内のいくつもの農家を訪ね、自分が生まれ育った農家以外の現場の様子を知る機会があり、また、農業と向き合い続ける両親の姿を幼少期からそばで見続けてきたこともあって、「農業現場のほうが、自分自身を社会で生かせるのではないか」と考え、卒業後、山﨑ワイナリーに入社しました。

「私たちは他の農家からの買いブドウは一切なく、100%自家栽培のブドウでワインを造り続けています。それは“農家”という立場を崩さない、山崎ワイナリーの信念に通じるものがあります。それだけに、ブドウの出来不出来、ワインの良し悪しすべてが自分たちの責任となって返ってきますが、その分、醸造を担当している兄と僕は二十代のうちから技術力が鍛えられ、多くの経験を積むことができたと思っています」。

98年から栽培してきたピノ・ノワールも樹齢が20年となり、今では太地さんの腕よりも太く成長した樹もあるほど。
「2018年は今までで一番よい品質のブドウができました。とくにピノ・ノワールには期待ができそうです」。

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