<新潟ワインコースト探訪その③> “次男”から“四男”の3ワイナリーの誕生秘話と醸造哲学

<新潟ワインコースト探訪その③> “次男”から“四男”の3ワイナリーの誕生秘話と醸造哲学

今注目の日本のワイン産地“新潟ワインコースト”。角田浜(かくだはま)周辺で営みを始めた『カーブドッチワイナリー』を“親”として誕生したのが、4軒のワイナリー。前回の“長男”『フェルミエ』に続き、今回は“次男”『ドメーヌ・ショオ』・“三男”『カンティーナ・ジーオセット』・“四男”『ルサンクワイナリー』を訪ねました。

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ワイン造りのポリシーは、ワイン単独でのバランスよりも、「料理と食材との相性を考えて醸造しています」。抜栓した際に「ん、あれっ、おやっ?」と思ったワインが、料理とともに味わっていくうちにその魅力が花開き、食事が楽しくなる経験を重ねたことから、「ワインは食事のパートナー」を掲げる瀬戸さん。ぜひ食中酒として味わってみたいものですね。

一番人気は辛口のロゼワイン。トマトの果汁のような旨味が特徴です。

一番人気は辛口のロゼワイン。トマトの果汁のような旨味が特徴です。

ワイナリーのテラスから。現地を訪れてこそ出合える景色があります。

ワイナリーのテラスから。現地を訪れてこそ出合える景色があります。

カンティーナ・ジーオセットの詳細はこちら

2015年創業/ルサンクワイナリー

カリブ海のような中南米のリゾートを意識したという建物。

カリブ海のような中南米のリゾートを意識したという建物。

アンカーを務めていただいたのは、2015年10月にオープンした“四男”であり“末っ子”でもあるルサンクワイナリー。ルサンク(Le CINQ)のCINQは、フランス語で数字の「5」。新潟ワインコーストにおける5軒目のワイナリーであることを意味しています。

2015年秋、新潟ワインコーストの5(サンク)番目のワイナリーとして産声を上げました。

2015年秋、新潟ワインコーストの5(サンク)番目のワイナリーとして産声を上げました。

ピカピカのステンレスタンクなど、真新しい醸造設備が並んでいます。

ピカピカのステンレスタンクなど、真新しい醸造設備が並んでいます。

フェルミエの本多さんが金融マン、ドメーヌ・ショオの小林さんがビジネスコンサルタント、カンティーナ・ジーオセットの瀬戸さんが広告マンと、まったくワインと縁のない職歴でした。こちらの阿部隆史(あべ・たかし)さんもご多分にもれず、「はい。IT業界にいて、SEやPM、営業部長などを経験しました」。

「もう現職では十分働いたので、何か違うことにチャレンジしてみたい」と考えていた阿部さん。ワイン造りに興味を持ったのは、フランス・ブルゴーニュ地方の1本の白ワインがきっかけでした。「とても穏やかな味わい。シャルドネの気品の高さにうっとりしてしまいました」。いつしか自分の手でこんなワインを醸してみたいと願うようになったそうです。

2013年春に長野のワイン生産アカデミーの存在を知りましたが、既に申込締切り後。その後はいくつかのワイナリーに赴いてブドウ栽培や収穫の手伝いをしたり、農業短大の就農準備研修コースなどに参加し農業のイロハを学び、「早く開業したいと思っていました」。

活路が開いたのは2013年秋のこと。例年10月の第一週に新潟ワインコーストで開催されるワインフェスタに訪れたことがきっかけで、「カーブドッチワイナリーの方々に、ワイナリー開業の夢を相談することができたのです」。結果めでたく入塾が決まりました。

明けて2014年の正月から、研修がスタート。阿部さんの新潟での生活も始まりました。「食文化が豊かで海も近い。あらためて良いところだと思いました」。2015年の6月に果実酒製造免許の認可も下り、その年中に仕込みをすることができたため開業年と同じヴィンテージをリリースすることができました。

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