<新潟ワインコースト探訪その③> “次男”から“四男”の3ワイナリーの誕生秘話と醸造哲学
今注目の日本のワイン産地“新潟ワインコースト”。角田浜(かくだはま)周辺で営みを始めた『カーブドッチワイナリー』を“親”として誕生したのが、4軒のワイナリー。前回の“長男”『フェルミエ』に続き、今回は“次男”『ドメーヌ・ショオ』・“三男”『カンティーナ・ジーオセット』・“四男”『ルサンクワイナリー』を訪ねました。
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ワイン造りの哲学は、「可能な限り自然に栽培をして、自然に醸造すること」。豊かな生態系を持つ畑で育ったブドウの個性を重視、あるがままの流れにまかせて、ワインになるまでの経過を見守るというスタンスです。「こうして自然に出来あがったワインは体に優しく沁みわたり、瑞々しい旨味にあふれているんですよ」。
掲げているコンセプトが、「1人1本飲めるワイン」。テイスティングさせていただいたカベルネ・ソーヴィニヨンは、香りが優しくエレガント。すーっと体に入ってくる感じで、まさに「飲みやすいけれど、飲み飽きないワイン」でした。
ちなみにドメーヌ・ショオとは、小林さんの“小”から名付けた小さな“ドメーヌ(フランス語で「ワイン醸造所」)”に“Chaud(ショオ。同じく「熱い」「情熱的な」の意)もかけているとか。決して生産本数は多くはないけど、個性的で情熱に満ちたワインは着々とファンを増やしているようです。
こちらでは、植物、果実の持つ旨味をダシ(出汁)と表現。「ダシ感」を大切にすることで、1人1本飲みきれるワインを目指しています。
『箱庭(はこにわ)』『雲見(くもみ)』『山笑(やまわらう)』などユニークなネーミングは、醸したブドウを収穫した畑名と同じ。
エチケット(ラベル)もオリジナリティーにあふれています。テイスティングは1杯100円~
2013年創業/カンティーナ・ジーオセット
自社で管理するブドウ畑はおよそ1ヘクタール。
2013年に誕生した新潟ワインコーストの“三男”は、カンティーナ・ジーオセット。創業者の瀬戸潔(せと・きよし)さんは東京都の出身です。「26年間広告業界のビジネスに携わってきたのですが、いつしかワインの魅力にどっぷりとはまっていました。ある日新潟で出合ったワイン造りに惹かれ、気がつくとカーブドッチワイナリーさんの門を叩いていたのです」。
瀬戸さんが前職と生まれ育った東京に別れを告げて、新潟に移り住んだのは2010年秋のこと。ここからワイナリー経営塾のカリキュラムがスタート、ブドウ栽培とワイン醸造を一から学ぶ日々が始まりました。受講が終わって2011年11月にワイナリー建設用地を取得し法人を設立、2013年5月には果実酒製造免許も得て開業の日を迎えたのです。
社名は株式会社セトワイナリーですが、ワイナリーの名前はカンティーナ・ジーオセット。“カンティーナ”とはイタリア語で、「ワイン蔵」の意味。そう、“セト(瀬戸)さんのワイナリー”を現しており、もちろん「馬鹿が付くほどのイタリアワインラバーですね(笑)」。
「味の多様性が広がるイタリアワインを規範としたワイン造りを目指しています」という瀬戸さん。現在栽培しているのは、オーストリア原産品種のツヴァイゲルトレーベを中心に、ネッビオーロ、バルベーラ、ランブルスコのイタリアの3品種にカベルネ・ソーヴィニヨンを含む赤ワイン用5品種などで、栽培・醸造ともに瀬戸さん自身が行っています。
イタリアワイン好きの瀬戸さんらしく、ワイナリーもイタリアンカラーが施されています。
通信販売ほか、ワイナリー内のショップでも販売。有料のテイスティングも。