蔵に湧き出る北アルプスの名水で“マボタキ”を醸す、富山・皇国晴酒造
日本の名水百選の水が蔵の敷地内に湧き出る国内唯一の酒蔵、皇国晴酒造。豊富で良質な水の恩恵を受け、清らかで透明感あふれる酒を醸し続けています。富山県産の酒米のみを使用し、地産地消を意識した酒造りを行う岩瀬社長にお話しを伺ってきました。
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目次
- 「黒部川扇状地湧水群 岩瀬家の清水」が蔵の敷地内に
- 創業は江戸時代後期
- 地元に愛され続ける「豪華 生一本」
- 酒蔵を継ぐと決め徹底的に日本酒と向き合う
- いっさい手を加えていない天然の湧水を仕込み水に
- 100%富山県産米を使用
- シンプルで、飲み手に寄り添う酒を目指して
- 富山湾の魚介に合う“マボタキ”
- “従来の枠”を超えた挑戦を
先代が、地元で親しまれていた「豪華 生一本」とは別に「もっと品質にこだわった酒を県外にも送り出したい」と発売したのが「幻の瀧」。黒部にちなんだ名前にしようと、黒部川の上流に実在する滝の名前を命名したそうです。いつしかファンの間から「マボタキ」と呼ばれ、皇国晴酒造の代表銘柄に。
「北アルプスから流れてきた伏流水は富山湾に注がれて魚介を育て、私たちはその海の幸を食しています。同じ伏流水で仕込んだ酒は、富山湾で獲れた白身の魚によく合う酒質です」。
「幻の瀧 純米吟醸」
富山県産の五百万石を60%に磨いた純米吟醸。きめの細やかな喉越しとお米の旨味を味わえる一番人気のお酒です。
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“従来の枠”を超えた挑戦を
29BY(平成29年度の醸造)で杜氏が退職し、この秋から始まる30BYの造りについては未定とか。岩瀬社長は「もしかしたら私が造っているかもしれません」。と笑っていましたが、新杜氏を迎え入れることも視野に入れているそうで、「今後は、今までの典型的な日本酒のイメージを変えるような“枠”を超えた挑戦をしていきたい」と語ってくれました。
「酒蔵にとってのライバルは、他の蔵ではなく他のアルコールだと思っています。日本酒の飲み手が減っているのは深刻な問題。なんとかして、日本酒に振り向いてもらわなくてはなりません。そして、日本の伝統産業である酒造りを、どのように後世にバトンタッチしていくかも大切なことだと思っています」。
地域の気候風土を尊重し、伝統を重んじつつ、新たなことにチャレンジしていく皇国晴酒造の今後に大きな期待が高まります。
皇国晴酒造株式会社
富山県黒部市生地296
TEL 0765-56-8028
http://www.mabotaki.co.jp/?lang=ja
ライタープロフィール
阿部ちあき
全日本ソムリエ連盟認定 ワインコーディネーター