「酒は濁れど想いは一点のにごりなし」、にごり酒文化を発信し続ける、岐阜・三輪酒造

「酒は濁れど想いは一点のにごりなし」、にごり酒文化を発信し続ける、岐阜・三輪酒造

今や「白川郷 純米にごり酒」を醸す“にごり酒の酒蔵”として、全国的に有名な岐阜県の三輪酒造。同じ岐阜県内ではあるものの、地元から離れた飛騨地方の白川郷の名でにごり酒を造り始めることになった経緯や、製造のこだわりなどについてお話しを伺いました。

  • 更新日:

醪(もろみ)の発酵中、アルコール分が17~18度に達した時点で四段目の仕込みとして糖化した米を投入し、甘味をつける手法(甘酒四段仕込み)で造られたにごり酒。
甘味と酸味のバランスがよく、氷を浮かべてロックでも飲むのも人気です。
購入はこちら

上槽(じょうそう)には3mmのメッシュを使用

にごり酒の製造は、一般的な日本酒と違う特別な製造方法がある訳ではないと話す三輪社長。ただ、にごり酒としておいしく味わえるための、原料の選別や醪(もろみ)づくりへの工夫、技術の向上などのこだわりは大切にしていると語ります。

「麹米は岡山県産のアケボノ、醪に投入する掛米には岐阜県産の食用米を使用しています。研ぎ澄まされた味わいを出してくれる酒造好適米ではなく、普通に炊いて食べる食用米を、精米歩合70%と、磨き過ぎずに使用することで、醪を含んだにごり酒として、ちょうどよい旨味や酸味を含んだ味わいが生まれるんです」。

澄んだお酒とは醪(もろみ)を発酵させていく工程までは同じですが、上槽(じょうそう)と呼ばれる、お酒を搾る作業に大きな違いがあるにごり酒。一般的な日本酒は自動圧搾濾過機(通称:ヤブタ式)を使用して醪を酒粕と液体に分けますが、三輪酒造では、3mm方眼の網を使って濾しています。
網目を通らなかった米粒は取り除かれるため、濾した醪は滑らかな飲み口のにごり酒となります。

醪(もろみ)を搾る(上槽)際に使用する濾し器。

醪(もろみ)を搾る(上槽)際に使用する濾し器。

この網目を通るくらいの、しっかりと発酵をして米が溶けている醪づくりを行っています。

この網目を通るくらいの、しっかりと発酵をして米が溶けている醪づくりを行っています。

貯蔵によって、“鍛えられた”お酒に

また、火入れや貯蔵の工程にも、三輪酒造ならではの工夫が。溶けた醪を多く含んでいることから、火落ち(日本酒特有の劣化)を防ぐため、一度目の火入れの温度を通常よりも高めの70℃まで上げてしっかりと行います。その後、瓶詰をするまでの一定期間、タンクにて常温で貯蔵を行いますが、この工程を経ることが、安定した酒質に繋がっていると三輪社長は語ります。

「火入れ後に常温貯蔵をすることで日本酒には馴染まない表現ですが、お酒が鍛えられて丈夫になるんです。醪の時にしっかりと発酵をしてきているので、充分貯蔵に耐えられます。ここで鍛えられたことで、醪を多く含んでいるお酒でも、出荷後、売り場での劣化もなく、安定しておいしく飲むことができるんです」。

上槽、火入れの後、タンクにて常温で一定期間貯蔵することで、安定した酒質のお酒に。

上槽、火入れの後、タンクにて常温で一定期間貯蔵することで、安定した酒質のお酒に。

食感もたのしめるにごり酒のさまざまな商品開発を

一方、ニ度の火入れの工程を経た「純米にごり酒」とは逆に、火入れや貯蔵を一切行わない、「純米にごり酒 白川郷 出来たて生」や、瓶内二次発酵させた「炭酸純米 白川郷 泡にごり酒」という商品を誕生させるなど、さまざまなシーンでたのしく飲めるにごり酒の展開を積極的に行っています。

「にごったお酒には、味、香りに加えて、“食感”という三次元の感覚があります。澄んだお酒にはない“にごり酒ならでは”の、味わいのおいしさやたのしさを感じてもらいたいですね」。(三輪社長)

おすすめ情報

関連情報

日本酒の基礎知識

日本ビール検定(びあけん)情報

イベント情報

おすすめ情報

Ranking ランキング

おすすめの記事