酒類鑑定官出身の蔵元が醸す、個性が光る美酒「下越酒造」

酒類鑑定官出身の蔵元が醸す、個性が光る美酒「下越酒造」

新潟県内でも有数の自然豊かな銘醸地で酒を醸す下越酒造は、親子二代で国税局酒類鑑定官出身者が当主を務める醸造技術のベテランの蔵。新潟清酒をベースに、さまざまな切り口で個性あるお酒を生み出す酒蔵に伺い、お話を聞いてきました。

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特定名称酒が出荷の7割

下越酒造の代表銘柄の「麒麟」の名は、鎌倉時代にこの地に築かれた「麒麟城」にあやかり命名されました。中国古来、晴れの席に出現するといわれた伝説の動物「麒麟」のように、人生に吉を呼ぶお酒でありたいとの願いが込められています。
酒蔵の正面には、麒麟城跡を擁する麒麟山を眺められ、また、尾瀬と猪苗代湖から流れ出る大河、阿賀野川の暖流と、その支流の常浪川清流の合流地点に位置することから一年を通じて霧が発生しやすい湿潤な風土であることが、酒造りに最適な湿度となるなど、新潟県内有数の銘醸地と称されています。

豊かな自然環境によって育まれた酒米と水をもとに、ていねいに醸された下越酒造のお酒は、原料や製法が一定基準を満たしている「特定名称酒」が出荷量全体の7割以上を占めており、全国平均を大きく上回っています。高品質であることから高値で取り引きされるため、酒蔵にとっては負担が大きくなる酒造好適米をできるだけ使用し、また、その酒米はすべて自社で精米するなど、米どころ新潟の酒蔵としての誇りを持ち、酒米を大切に扱っています。

杜氏を務めるのは今期が3造り目となる猪悦夫さん。「うちは製造するお酒の半分以上が純米大吟醸なので、どれも本当にていねいに手をかけて造っています」。

杜氏を務めるのは今期が3造り目となる猪悦夫さん。「うちは製造するお酒の半分以上が純米大吟醸なので、どれも本当にていねいに手をかけて造っています」。

新潟県産「こしひかり」への思い

新潟県を代表するお米として有名な「こしひかり」は、一般的には食用米として知られていますが、下越酒造では酒米として使用し販売しています。こしひかりには独特の粘りがあって、味が濃く出るのが特長。最初は精米歩合を60%からスタートし、一番やわらかくてバランスのよい味わいになったのが45%精米だったそう。そのため、特定名称は「純米大吟醸」に。「もしかすると、こしひかりを使用して純米大吟醸を造っているのはうちだけかもしれませんね。」と佐藤社長。常浪川水系の軟水と、日本を代表する新潟のお米で造られたお酒は、滑らかな口あたりと繊細な香りの調和が取れたお酒として人気を呼んでいます。

麒麟 こしひかり 純米大吟醸

麒麟 こしひかり 純米大吟醸

仕込みが難しいといわれる「こしひかり」を使用した純米大吟醸。やわらかな飲み口なので、日本酒初心者にも飲みやすいと好評。冷酒からぬる燗までたのしめる一本。

40年以上前から取り組んできた熟成酒の製造

下越酒造では、昭和40年代後半より、冷蔵施設を整備し、吟醸酒の長期熟成酒の製品化に取り組んできました。先代の佐藤平八氏が、大吟醸酒を冷蔵庫に数年保管したものを飲んでみたところ、味に丸みが感じられておいしかったことから、本格的に熟成酒の製造を始めたそうです。

鑑評会出品仕様のていねいに仕込まれた大吟醸を0~1℃の低温で熟成した「淡熟型」と、常温で熟成したことで、懐の深い味わいや香味が特長となる「濃熟型」の2種類のタイプの違う熟成古酒を製造していますが、それぞれに個性があり、時を経たことによって生まれる、滑らかさやコク、奥行きのある味わいが感じられる上質なお酒に仕上がっています。1985年に設立された長期熟成酒研究会に加盟し、「日本酒100年貯蔵プロジェクト」にも参加するなど、積極的に熟成酒への取り組みを行っています。

麒麟 秘蔵酒

麒麟 秘蔵酒

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