<J-CRAFT SAKE蔵元探訪その②>福岡県八女市・喜多屋 世界が認めた『チャンピオン・サケ』

<J-CRAFT SAKE蔵元探訪その②>福岡県八女市・喜多屋 世界が認めた『チャンピオン・サケ』

4月23日に9銘柄を発表、順次飲食店でたのしめることになった “生酒(なまざけ)”ブランド『J-CRAFT SAKE』。日本全国に点在し、非加熱・無濾過という難易度の高い清酒造りに取り組む蔵元を訪ねる連載の第2弾は、2013年ロンドンで日本酒世界一のお墨付きを獲得した福岡県の『喜多屋(きたや)』です。

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約50年前から蔵人たちを見守り続けた「芳醇爽快」の文字。

約50年前から蔵人たちを見守り続けた「芳醇爽快」の文字。

木下さんが理想とする酒質のきっかけとなったのが、「残らず、寂しからず」という言葉。1992年に喜多屋に入社した後に、国税庁醸造試験所にて数年間に渡り研修を受けたのですが、その時の師である岩野君夫先生から、日本酒、焼酎、ワインといったジャンルを超えて、良い酒に共通する言葉としてレクチャーされたのです。

この言葉の解釈をめぐって、日々恩師と名酒との評価を受ける酒を飲み続けながらディスカッションを重ねたそうで、「まるで禅問答のようでしたね(笑)」。味わいの豊かさが感じられるが、口の中には留まらず、余韻ですぅーとフェードアウトしていく――そんな酒を追求していく日々が始まりました。

当時一世風靡していた酒質の代表格が「淡麗辛口」。でも福岡のモツや脂ののったクエなどの食との相性を考えた場合、「このタイプの酒質では受け止めきれない、でも濃醇過ぎてもいけない」と悩んでいた木下さん。そんな時にふと上げた視線の先に認めたのは、半世紀ほど前から神棚の隣に掲げられてきた「芳」「醇」「爽」「快」の4文字でした。

「まさにこれだと思いました。こんな身近なところに答えがあったのです。ずっと頭上にあったのに気づきませんでした(苦笑)。自分の代になり何かを変えていこうと考えてきたのですが、先祖から受け継がれてきたものに正解があった。ぐっときてしまいましたね」。こうして辿り着いた酒質が、やがて喜多屋に歴史的な快挙をもたらすことになったのです。

「探していた答えは、ずっと頭の上にあったのです」。

「探していた答えは、ずっと頭の上にあったのです」。

2013年 “世界ナンバーワン”の称号を得る

2013年 “世界ナンバーワン”の称号を得る

235蔵583銘柄の頂点に立ちました。

例年1万2000銘柄を超えるワインが出品される世界最大クラスのコンペティション『IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)』。2013年に開催されたロンドン大会において、『大吟醸 極醸 喜多屋』が『チャンピオン・サケ』の栄誉に輝きました。

同年のサケ部門には、日本全国から235蔵583銘柄の日本酒が出品。設けられた5つの部門で、それぞれに第1位の受賞酒が選定されました。その5つの受賞酒から1銘柄のみ獲得できる最高の賞が『チャンピオン・サケ』。最難関とされるワインの資格「マスター・オブ・ワイン」の保有者を含め、第一線で活躍する400名近いワインの専門家による審査において、世界ナンバーワンの日本酒と認められたのです。

「とても印象に残っているのが、委員長でマスター・オブ・ワインのサム・ハロップ氏のテイスティングコメント。締め括りの―An exotic,modern style with superb intensity and purity.(エキゾチックでモダン、それでいて見事な芳醇さと透明感を秘めた酒)―という一節を聞きハッとしました。まさに芳醇爽快。私たちの酒質が世界でも理解されたのだと分かり、嬉しかったですね」。チャンピオンになったことで、蔵のモチベーションもあがり、より真摯に酒造りに向き合うようになったそうです。

圧力を一切加えない「しずく搾り」によって上槽されています。

圧力を一切加えない「しずく搾り」によって上槽されています。

『J-CRAFT SAKE 天色(あまいろ)めじろ』

『J-CRAFT SAKE 天色(あまいろ)めじろ』

こちらの酒質も芳醇爽快です。

喜多屋がJ-CRAFT SAKEにエントリーした銘柄は、芳醇爽快な純米吟醸『天色めじろ』。取材時はタンクに仕込まれて1週間あまり。静かに上槽される日を待っているように見えました。

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