<J-CRAFT SAKE蔵元探訪その②>福岡県八女市・喜多屋 世界が認めた『チャンピオン・サケ』

<J-CRAFT SAKE蔵元探訪その②>福岡県八女市・喜多屋 世界が認めた『チャンピオン・サケ』

4月23日に9銘柄を発表、順次飲食店でたのしめることになった “生酒(なまざけ)”ブランド『J-CRAFT SAKE』。日本全国に点在し、非加熱・無濾過という難易度の高い清酒造りに取り組む蔵元を訪ねる連載の第2弾は、2013年ロンドンで日本酒世界一のお墨付きを獲得した福岡県の『喜多屋(きたや)』です。

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「1年を通じて、ぶれない酒造りができることが大切なのです」と木下さん。

「1年を通じて、ぶれない酒造りができることが大切なのです」と木下さん。

こうした近代化を推し進めながら、伝統的製法も健在なのが喜多屋の特徴。例えば麹。最新鋭の製麹機を持ちながらも、大吟醸酒などに使う麹は、麹蓋(こうじぶた)を利用。正目の杉を用いた平たい箱に約1升ずつの米を盛り、刻々と移りゆく表情を観察しながら、細やかな手当てを重ねていくのです。

こちらが麹蓋。小さいので麹の微妙な変化が読み取れ、対応しやすい。

こちらが麹蓋。小さいので麹の微妙な変化が読み取れ、対応しやすい。

布団をかけるなどして、熱量や水分を調整します。

布団をかけるなどして、熱量や水分を調整します。

造り手の情熱や誇りがあって完成する

「喜多屋の酒をおいしいと言ってくれるお客様の思いに応えたい」と、杜氏の西尾孝広さん。

「喜多屋の酒をおいしいと言ってくれるお客様の思いに応えたい」と、杜氏の西尾孝広さん。

「でもこうしたデータや設備、技術は、あくまで必要条件。ここに十分条件が加わって初めて、良い酒が造れるんです」。では、その十分条件とは何なのでしょうか? 「造りにかかける情熱。そしておいしい酒を世の中に送り出したいという想いとセンスですね」と柔和な表情に変わった木下さん。いかにロジカルに取り仕切ってきても、最後はハートと感性なのです。

木下さんも、家憲である「主人自ら酒造るべし」の例にもれず、酒造りの現場に立ちます。社長ですがスーツを着用することはまれで、専ら作業服なのだそう。ただ初代は経営者であると同時に杜氏でもあったのですが、現在は、西尾孝広さんが杜氏として、木下さんの片腕を務めています。「私には日本酒の魅力を啓蒙していくといった責務もあります。片時も目が離せない酒造りを通年やり続けるには、志を同じにするチームが必要なのです」。

杜氏の指導のもと、若い蔵人が育っています。

杜氏の指導のもと、若い蔵人が育っています。

センスという観点でいくと、ブランドマネージャーつまり木下さんの役割が大きいと言います。「どんなお酒を醸す蔵にしたいのかということが大切。私たちの醸した清酒の精米比率の平均は57.8%。特定名称酒に限れば53.8%なので、吟醸蔵といって差し支えないかと」。では、その吟醸蔵が目指す理想の酒とはどういったものなのでしょう? 「それがいわゆる酒質と呼ばれるものです。こちらを確立して初めて、全ての酒造りの方向性が決まるのです」

試行錯誤の末に、辿り着いた酒質とは?

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