世界五大ウイスキーとは? それぞれの特徴と代表的な銘柄を紹介

世界五大ウイスキーとは? それぞれの特徴と代表的な銘柄を紹介
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世界五大ウイスキー(世界の5大ウイスキー)とは、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本で造られるウイスキーのことです。この5カ国はウイスキーの世界的産地として知られています。今回は、世界五大ウイスキーのそれぞれの特徴や代表的な銘柄を紹介します。

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世界五大ウイスキーと称される、スコッチウイスキー、アイリッシュウイスキー、アメリカンウイスキー、カナディアンウイスキー、ジャパニーズウイスキーについて紹介します。

世界五大ウイスキーとは?

世界五大ウイスキーとは

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世界五大ウイスキーの概要をみていきます。

世界五大ウイスキーの種類と生産地

世界五大ウイスキーとは、ウイスキーの世界的生産国であるスコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本で造られるウイスキーのことです。日本はほかの4カ国と比べると歴史が浅いですが、質の高さが評価されて世界五大ウイスキーのひとつに名を連ねています。

ウイスキーの製造方法は各国の法律などで厳しく規定されていて、基本的には国や業界団体などによって定められた条件を満たすものだけが、「スコッチウイスキー」「アイリッシュウイスキー」「アメリカンウイスキー」「カナディアンウイスキー」「ジャパニーズウイスキー」と名乗ることができます。条件を満たさないものは、これらの呼称を使えません。

世界五大ウイスキーの違い

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世界五大ウイスキーの違い

ウイスキーはおもにモルト(大麦麦芽)などの穀物と水、酵母を原料として造られますが、ウイスキーの種類によって使われる穀物の種類や製法が異なります。ここでは生産地別に原料や原酒の違い、味の特徴などを大まかに確認していきます。

スコッチウイスキー

原酒は、モルトを原料に単式蒸溜機で2回蒸溜して造られるモルトウイスキーと、トウモロコシなどの穀物を原料に連続式蒸溜機で蒸溜して造られるグレーンウイスキーに大別されます。両者をブレンドしたブレンデッドウイスキーが主流ですが、単一蒸溜所のモルトウイスキーだけを瓶詰めしたシングルモルトウイスキーも人気があります。ピート(泥炭)を焚いたモルト由来のスモーキーな風味が特徴的です。

アイリッシュウイスキー

原酒は、モルトなどの穀物を原料としたポットスチルウイスキーと、モルトのみで造られるモルトウイスキー、各種穀物を原料としたグレーンウイスキーの3種類。伝統的なポットスチルウイスキーは、ノンピートのモルトに未発芽麦芽などを加え、ポットスチルで3回蒸溜して造られます。総じて雑味が少なく、なめらかで穏やかな味わいが特徴です。

アメリカンウイスキー

トウモロコシやライ麦、小麦などの穀物を主原料とし、バラエティー豊かなウイスキーが造られています。なかでも有名なのがトウモロコシを主原料としたバーボンウイスキーで、力強い味わいが魅力です。

カナディアンウイスキー

トウモロコシが主原料のベースウイスキーと、ライ麦を主原料としたフレーバリングウイスキーの2種類の原酒があり、両者をブレンドしたブレンデッドウイスキーがほとんどです。カナディアンウイスキーは、五大ウイスキーのなかでもっとも軽い酒質といわれています。クセがなく、ライトでマイルドな風味が特徴で、カクテルベースとしても重宝されています。

ジャパニーズウイスキー

スコッチウイスキーをお手本として発展してきたため原料や原酒の種類はスコッチとほぼ同じですが、ピュアモルトウイスキーという独自の分類もあります。ミズナラ樽を使うなど、日本人の味覚に合わせた繊細で軽やかな風味が特徴で、世界的品評会でも高く評価されています。

ここから先は、世界五大ウイスキーの種類別にくわしくみていきます。

スコッチウイスキー|ウイスキーの代表格

スコッチウイスキー

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スコットランドのウイスキー造りの歴史は古く、15世紀にはすでに王が飲んでいたといわれています。生産地はスペイサイド、ハイランド、ローランド、キャンベルタウン、アイラ、アイランズの6つに区分され、スペイサイドとアイラは「スコッチの聖地」と称されます。

先述したように、スコッチウイスキーの原酒は、以下の2種類に分類されます。

◇モルトウイスキー
◇グレーンウイスキー


これらをブレンドして造られるスコッチウイスキーの製品は、おもに以下の5種類です。

◇ブレンデッドウイスキー
◇ブレンデッドモルトウイスキー
◇ブレンデッドグレーンウイスキー
◇シングルモルトウイスキー
◇シングルグレーンウイスキー


このうち19世紀半ばに誕生したブレンデッドウイスキーは、世界で飲まれるスコッチウイスキーの約9割を占めます。

スコットランドでは、地域ごとに自然風土を活かしたウイスキー造りが行われているのも特徴で、各地の代表的なシングルモルトウイスキーを飲めば、生産地の個性をつかむことができます。

アイリッシュウイスキー|ウイスキーの元祖

アイリッシュウイスキー

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アイルランド(アイルランド島)は、スコットランドとともに「ウイスキー発祥の地」を争うほど長いウイスキー造りの歴史を誇ります。一般的には、スコッチウイスキーよりも古くから造られていたと考えられていますが、確証は得られていません。

アイリッシュウイスキーの原酒は、以下の3種類。

◇ポットスチルウイスキー
◇モルトウイスキー
◇グレーンウイスキー


製品としてのアイリッシュウイスキーは、おもに以下の4種類に分類されます。

◇ポットスチルアイリッシュウイスキー
◇モルトアイリッシュウイスキー
◇グレーンアイリッシュウイスキー
◇ブレンデッドアイリッシュウイスキー


ブレンデッドアイリッシュウイスキーは比較的新しく、スコッチウイスキーに対抗するために1970年代以降に誕生しました。3つの原酒がさまざまな組み合わせでブレンドされています。

なお、ウイスキーの綴りは「e」を加えた「whiskey」が使われています。

アメリカンウイスキー|バーボンウイスキーが有名

アメリカンウイスキーバーボン

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アメリカのウイスキーの歴史は諸説ありますが、1776年に現マサチューセッツ州のレキシントンに移住したジェームズ・ペッパー氏が、蒸溜所を建設してウイスキー造りに着手したのが始まりといわれています。

アメリカンウイスキーには、おもに以下の種類があります。

◇バーボンウイスキー
◇コーンウイスキー
◇ライウイスキー
◇ホイートウイスキー
◇モルトウイスキー
◇ライモルトウイスキー
◇ブレンデッドウイスキー


これらを総称して「アメリカンウイスキー」と呼びます。

ポピュラーなのはバーボンウイスキーです。バーボンウイスキーにもいくつか種類があり、内側を焦がした「新品のホワイトオーク樽」で貯蔵・熟成するなど、アメリカの連邦アルコール法が定める要件に従って製造されたもののうち、2年以上熟成させたものはストレートバーボンウイスキーと名乗ることができます。また、ケンタッキー州で造られ最低1年以上熟成したものは「ケンタッキーバーボン」、テネシー州で要件を満たして造られたものは「テネシーウイスキー」と名乗ることが許されています。

アメリカでは近年、小規模蒸溜所で手間暇かけたウイスキー造りを行うクラフト蒸溜所(クラフトディスティラリー)が大きなブームとなっています。

ちなみに、アメリカでも「e」を加えた「whiskey」を使う製品が多数派です。

カナディアンウイスキー|クセのないライトな味わい

カナディアンウイスキー

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カナディアンウイスキーは、17世紀後半ごろにビール醸造所に併設された蒸溜装置で、穀物を原料にしたウイスキーを蒸溜したのが始まりといわれています。カナディアンウイスキーの発展は、アメリカの禁酒法時代(1920~1933年)と深い関わりがあり、今でもカナディアンウイスキーの生産量の約7割がアメリカで消費されています。

カナディアンウイスキーの原酒は以下の2種類です。
◇ベースウイスキー
◇フレーバリングウイスキー


前述のとおり、カナディアンウイスキーのほとんどが、上記2種類の原酒を合わせたブレンデッドウイスキー(カナディアンブレンデッドウイスキー)ですが、稀にフレーバリングウイスキーのみを瓶詰めした商品もあります。

ジャパニーズウイスキー|繊細さが魅力

ジャパニーズウイスキー

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日本の本格的なウイスキー造りは、寿屋(現在のサントリー)の創業者・鳥井信治郞氏が創設した山崎蒸溜所から始まりました。蒸溜技師を務めたのが、のちにニッカウヰスキーを創業した竹鶴政孝氏です。竹鶴氏は、スコットランド留学中にノートに記録したスコッチの伝統製法をもとに、ウイスキー造りに取り組みました。2冊の「竹鶴ノート」を礎に日本の本格ウイスキーの歴史が始まり、今に至ります。

日本の蒸溜所では、独自の酵母や、多彩なポットスチルによる蒸溜、自然環境に合わせた熟成により、ひとつの蒸溜所で多様な原酒の造り分けが行われています。スコッチの伝統を踏襲しつつ他国ではみられない特徴を持つ日本のウイスキーは、香味豊かなおいしいウイスキーとして定評があります。

ちなみに、「ジャパニーズウイスキー」には近年まで明確な定義がありませんでしたが、2021年に日本洋酒酒造組合が製法などの自主基準を制定し、ラベルなどに「ジャパニーズウイスキー」と表示できるのは基準を満たすウイスキーのみとなりました。

とはいえ、ジャパニーズウイスキーの定義を満たさない日本産ウイスキーも、高品質な味わいで人気となっています。また近年は、小規模蒸溜所が造るクラフトウイスキーへの関心も高まっています。

(参考記事)
日本洋酒酒造組合|ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準

世界五大ウイスキーの代表的な銘柄

世界五大ウイスキーの代表的な銘柄

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世界五大ウイスキーの代表的な銘柄をいくつか紹介していきます。

スコッチウイスキー|ジョニーウォーカー、グレンリベット、ザ・マッカラン

「ジョニーウォーカー」は、世界でもっとも売れているブレンデッドスコッチウイスキー。ジョニーウォーカーレッド(通称ジョニ赤)やジョニーウォーカーブラック(通称ジョニ黒)が人気です。

「シングルモルトの原点」と称されるブランドが「ザ・グレンリベット」です。グレンリベット蒸溜所は政府公認第1号蒸溜所として、1824年に創業しました。

「ザ・マッカラン」はスペイサイド地方の代表的なシングルモルトウイスキー。華やかで上品な味わいが魅力で、「シングルモルトのロールスロイス」と称されています。

アイリッシュウイスキー|ブッシュミルズ、ジェムソン

「ブッシュミルズ」は、アイリッシュウイスキー最古の蒸溜所のひとつが製造するウイスキーです。ノンピートで、アイリッシュの伝統の3回蒸溜を守り、軽やかでスムースな口当たりを実現しています。

「ジェムソン」は新ミドルトン蒸溜所が手がけるアイリッシュウイスキーです。「ジェムソン スタンダード」は、3回蒸溜でなめらかさを出した、ポットスチルウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして造られています。

世界五大ウイスキーの人気銘柄

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アメリカンウイスキー|ジャックダニエル、アーリー・タイムズ

「ジャックダニエル」は、アメリカンウイスキーのなかでも断トツの人気を誇るテネシーウイスキーです。1866年に新設されたジャックダニエル蒸溜所は、政府公認第1号蒸溜所となっています。

「アーリー・タイムズ」はサゼラック社が所有するアメリカンウイスキーのブランド。現行商品の「アーリー・タイムズ ゴールド」は、2年以上熟成させたストレートバーボンで、バランスがよくスマート味わいが魅力です。

カナディアンウイスキー|カナディアンクラブ

「カナディアンクラブ」は、世界150カ国以上で「C.C.」の愛称で親しまれているカナディアンウイスキーです。日本では、カナディアンウイスキーのなかでも一番人気のブランドで、圧倒的シェアを誇ります。

ジャパニーズウイスキー|響、山崎、余市、富士

ジャパニーズウイスキーの定義を満たす銘柄では、サントリーのブレンデッドウイスキー「響(ひびき)」とシングルモルトウイスキー「山崎」や「白州」、ニッカウヰスキーの「シングルモルト余市」と「シングルモルト宮城峡」、キリンの「キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士」などが有名です。

匠の技による繊細なハーモニーをたのしむなら「響」、繊細かつ複雑な味わいをたのしむなら「山崎」、ピートと潮の香りを感じる重厚な力強さを求めるなら「余市」、果実味あふれる芳醇さが好みなら「富士」と、それぞれに魅力ある味わいを堪能できます。

世界五大ウイスキーの産地、スコットランドやアイルランド、アメリカ、カナダ、日本で造られるウイスキーは、それぞれ異なる歴史をたどり発展してきました。背景を知れば、よりいっそうウイスキーの世界をたのしめそうです。

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