『帝松』で有名な『松岡醸造』/都心から日帰り可能。仕込み水にこだわった酒蔵で、学ぶ・飲む・食べる

『帝松』で有名な『松岡醸造』/都心から日帰り可能。仕込み水にこだわった酒蔵で、学ぶ・飲む・食べる

池袋駅から最寄りの小川町駅まで約1時間、都心からのアクセス至便な日本酒蔵『松岡醸造』。『帝松(みかどまつ)』の銘柄名で知られる埼玉県の老舗です。水にこだわっているという酒造りについてお聞きした後は、試飲そして併設のレストランでの“蔵元料理”をたのしむことができました。

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仕込み水は試飲できるのはもちろん、容器を持参すれば持ち帰ることもできます。

直売所の隣に設けられた給水場へと移動。ここでは酒造りに使用されている水を誰でも自由に飲むことができます。表示板には地下130mからくみ上げられた天然の硬水である旨が。硬度(水1000ml中に溶けているカルシウムとマグネシウムの量)は、149.6mgと書かれていて、これは硬水で知られる灘の「宮水」を上回る数値です。

「硬いとは思っていましたが、全国の酒蔵においてもトップクラスの数値だとは私たちもびっくりしました。でも硬いんですけど、まろやかさが感じられる不思議な水なんですよ」と意味ありげな笑顔。

確かに口に含んでみると、引き締まったなかに、なぜか柔らかな印象がありました。

「鉄分等を含む鉱山系の硬水は、酵母の発育を妨げてしまうのですが、この水は石灰岩系なんですよ」。
小川町の西側に連なるのは、海が隆起してできた石灰岩質の秩父の山々。ここに降った雨が石灰岩で濾されて伏流水となり、結果カルシウムなどのミネラル分が豊かな硬水となるのだそう。

さらに「源流では50mgの軟水なのが、石灰岩質を通っていくうちに150mg近くの硬水になるんです」と聞けば、自然の営みがもたらす奇跡に驚きが隠せません。この水に目を付けた初代の慧眼も素晴らしいですね。

酒蔵見学で、日本酒造りの現場を知る

酒蔵見学のスタートは製造蔵の入口。杉玉が存在感を放っています。

「大人はもちろん、小さなお子様まで日本酒造りの現場を知っていただくために、酒蔵見学は積極的に行っています」。
 ガイド役はできる限り松岡さんが担当。参加者の知識レベルなどに応じて、説明する内容は臨機応変にアレンジしてくれるそうです。見学は無料で所要時間は約40分で、終了後には無料の試飲付き(運転者や子どもは仕込み水)。問合せフォームから簡単に申し込めるのも嬉しいですね。
酒蔵見学の詳細はこちら
「仕込みなど蔵の状況に応じて、ご案内する施設や内容が変わります。年中受け付けていますから、時期を変えてリピートすれば、より広く酒造りを学んでいただけますよ」。

創業時から使用している和釜を用いた甑(こしき)。170年以上にわたり米を蒸し上げてきた貴重なもの。

自慢の仕込み水が勢いよく噴き出していました。

とくに注目したのは、発酵タンクです。仕込み水の特徴である豊かなミネラル分は、酵母の栄養となるため、短時間で発酵が進み酸の多い辛口タイプ、いわゆる“男酒”になりがち。
「日本酒のフルーティーな香りは、酵母が飢餓状態になった時に生成されます。その状態を創り出すため、より低温で発酵させるようにしているのです」。

杜氏が設定した温度帯をキープできるように、最新の低温発酵タンクとコンピューターを用いて、温度管理を徹底。発酵をコントロールすることで、硬水から香りのよいふくよかな清酒を醸しているのです。

1996年に誕生した『新蔵』。ずらりと並んだ低温発酵タンクは二重構造、外側部分に冷水が回る仕組みになっています。

1897年建造の『明治蔵』では、少量の仕込みに加えて熟成酒の貯蔵も行っています。

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