たのしいお酒.jp

我らお酒にひと言あり 六酒仙、かく語りき

太田光代の、今月のマリアージュ。

ゆっくりおうちでワインや日本酒を楽しむ幸せは、他の何ものにも代えがたい。おうちで、自分のペースで飲むお酒だから、自分好みの音楽に合わせて、自分好みの映画とともに、自分好みの飲み方で、楽しめるのがいいところ。そんなくつろぎ時間のお酒の楽しみ方を、太田光代さんがナビゲート。さて太田さん、今月は、何に合わせて頂きましょう?

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「生酒で楽しむ、春」(前編)

少し空気が緩んで、カーテンを重いものから軽やかなものに替える。
どこかのんびりと時間が流れる一方、心も体も少しずつ弾み始める日々でもある。
そんな春のはじまりにたのしんでいただきたい日本酒があります。
それは「生酒」。
日本酒初心者の方にも、日本酒大好きという方にも出会ってほしいお酒です。

最近見つけた和食のお店で、おつまみとお酒の素敵な組み合わせを体験しました。頼んだおつまみは「大根のから揚げ」。おでんの大根を拍子木切りにしてから揚げにするという、ちょっと珍しいものなんですが、じわっと出汁が効いていて美味しいんですね。それに合わせたのが青森の無濾過の生酒。それぞれのお酒が適温で管理されていて、最適なコンディションで出してくれるお店だったので、生酒を安心して頼めて、料理の相性がまた抜群。生酒はやさしい和食と素敵に手をとりあってくれるお酒なんですよ。

そう、生酒は蔵元のこだわりと繊細さがよく表れるお酒。通常日本酒は、貯蔵される前に1回、瓶詰め前に1回と、2回の「火入れ」という加熱殺菌を行います。この火入れを行わないのが生酒。酵母が生きている状態なので、酵母がそれ以上働かないように10℃以下で保存、配送されます。保存から配送、そして店頭でも冷蔵で管理しないと、一瞬で味も香りもダメになる。熱はもちろん、蛍光灯の灯りでも味が変わってしまう。お店によっては冷蔵庫の中でも灯かりを嫌って新聞紙で包むところもあるぐらいデリケートなお酒なんです。だから蔵元の努力も大変なものなんですけれど、これが最近は幅広く飲めるようになったのはとても嬉しいこと。酒蔵でそのまま飲むような美味しさなので、ぜひ、日本酒を飲みなれていない方には気軽にたのしんでいただきたいと思います。

▲ラベルも大切な要素なんです。

今回いただく生酒は、秋田清酒さんの『蔵しぼり生酒 風の奏鳴曲(ソナタ)』。このお酒は冷蔵保存だけではなく、10℃以下を保って配送されているんだとか。名前も生酒らしい繊細さで素敵ですけれどボトルデザインもいいですね。わたしもお酒をプロデュースしたときにボトル、ラベルにはこだわりました。あまりこの世界にはない500mlのボトルで作り、ラベルも猫や竜宮城をモチーフに。もちろん漢字がどんとくる伝統的なものもあってもいいし、でもいろいろ試みがあってもいいと思うんです。この生酒なら女性同士のテーブルでもすっと置けますね。

さて、テイスティング。香りも飲んだ感じも爽やかです。余韻はしっかりしているけれど、重みがなくて、最初に飲みたいお酒です。最初というのは今日のはじまりでも、日本酒の体験でも、ということ。どっしり味が深い「熟酒(じゅくしゅ)」タイプを慣れていないのに無理に飲んだりすると日本酒自体が嫌いになってしまうこともありますから、この生酒のようなお酒から入るのはいいですね。

ごま豆腐や出し巻き玉子といったお蕎麦屋さんのおつまみとも相性がよさそう。お蕎麦屋さんと言えばとっくりとおちょこを想像しますが、このお酒はワイングラスで楽しみたいですね。ワイングラスはお酒やグラスの形状によって、より香りを引き立てたり、濃醇(のうじゅん)さを豊かに感じたりすることができます。
また、シャンパーニュなどを飲むフルート型だと、見た目も風味も爽やかに楽しめるんです。このお酒も、白ワイン用のグラスだと、繊細だけど口当たり柔らか、とろっとしているけれど爽やか。会話もゆったりだけど弾みそう。そんな生酒を、春の休日、昼間から……。一人でも、友人とでも。それもまた素敵なお酒のたのしみかたかな。

  • 秋田清酒

    蔵しぼり生酒 風の奏鳴曲(ソナタ)

    720ml

    搾ったお酒を火入れせずに冷蔵状態で保存され出荷。フレッシュな香りと口当たりを
    たのしみつつ、引き締まった喉ごしのあと、米の旨みがゆっくりと感じられます。
    存分にその魅力を楽しむためにご家庭での保存も冷蔵庫で。

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太田光代

おおた・みつよ 東京都出身。芸能事務所『タイタン』社長、タレント。雑誌モデルを経て、タレントとして活動。90年、爆笑問題の太田光さんと結婚。93年、芸能事務所『タイタン』を設立し、社長に就任、爆笑問題ほか、多数の芸人、タレントをマネージメントする傍ら、自身もTV出演、ワインや日本酒のプロデュース、店舗経営、著書執筆など幅広い領域で活躍する。主な著書に、『私が「にんぎょひめ」だったころ』(集英社インターナショナル)、『独走』(KINOBOOKS)など。