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我らお酒にひと言あり 六酒仙、かく語りき

太田光代の、今月のマリアージュ。

ゆっくりおうちでワインや日本酒を楽しむ幸せは、他の何ものにも代えがたい。おうちで、自分のペースで飲むお酒だから、自分好みの音楽に合わせて、自分好みの映画とともに、自分好みの飲み方で、楽しめるのがいいところ。そんなくつろぎ時間のお酒の楽しみ方を、太田光代さんがナビゲート。さて太田さん、今月は、何に合わせて頂きましょう?

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「冬にたのしむ、にごり酒の世界」

冬って「白」が似合う季節。雪や冬に行われる神事の衣裳、白の世界はどこか清らかで神聖な感じもします。
だからお酒も美しい白色の「にごり酒」が飲みたくなります。にごり、という言葉から連想するよりもとてもきれいなんですよ。もちろん色ばかりではなく、コクもあることから、この季節に食べたくなるような食事との相性もとてもいいんです。
ということで今回は、冬のにごり酒を一緒にたのしみましょう。

にごり酒といっても、実はいろいろなタイプがあります。今回はまったく違う2つのにごり酒を例にして、ご紹介していきましょう。

1本目は福岡のお酒『いそのさわ うすにごり純米吟醸』から。
まずは色を見てみましょう。うすにごり、というよりも、澄んだ白雪という印象。きれいですね。この色をたのしみたいからクリアなグラスにしてみました。
香りは、お米からお酒になっていくときの自然な香り。先日、日本酒を造ったんです。そのとき、日本酒が造られる過程で、お米が発酵してお酒になっていくときの香りが印象的でした。その香りがしますね。そもそも日本酒とは、「米と米こうじ、水を原料として発酵させて、それを濾したもの」をいいますが、その濾し方が粗いか細かいかによって澄み方がかわってきます。それが澄んでなければにごり酒ということになりますが、見てください、にごりという言葉の印象ではなく澄み方の違いという感じじゃないですか? アルコールも存分に感じられて、乳酸のすっきりとした香りも好ましいです。

さあ、飲んでみましょう。にごりというと甘めの印象があるかもしれませんが、すっきりとべたつかない。キリッとしています。日本酒度は−3度なんですが山田錦100%の純米吟醸ということもあって、すっきりとしたお酒としていただけます。

▲ 色はもちろん、香りも楽しめます。

マリアージュを探ってみましょう。お米から日本酒になる段階で酒粕が出るのですが、香りがその段階のものを感じさせてくれますから、銀だらの粕漬けなどはカンペキな相性だと思います。ムツなどのお魚もいいですね。飛びついちゃいそう(笑)。これは同じ方向性であわせたマリアージュですが、逆にすごくはなれているものだと、なめろう! 新鮮な青魚を味噌でたたいたものは好相性。とはいえ、クセがないのであまり深く考えずになんでもあいそうです。おしゃれ系かも。品がいいんですよ。水もいいんでしょうね。鍋ならおだしの味をちゃんと楽しめるものや、昆布だしのあっさりとした水炊きがいいんじゃないかな。

2本目は『白川郷 純米にごり酒』。名前の通り岐阜のお酒です。1本目とは逆にすごく濃い色!ぜんぜん色が違います。昔ながらの「どぶろく」のイメージってこれですよね。どぶろくはそもそも濾さないお酒ですけど、それに近いぐらい。香りも濃い。飲むと、口の中にお米が残る感覚。食べるお酒といってもいいかも。でも、飲んでみるとこってりとしているけれど、不思議に軽やかにいただけます。甘口ではあるけれど、これもべたついたり、しつこさはないです。

マリアージュでまっ先に浮かんだのは豚の角煮。こってりとこってりの組み合わせですが、八角などの中華の香辛料もあうので深みや爽やかさが出てきます。鍋ならキムチ鍋が面白そう。辛さと旨みをたのしめる関係でしょう。和の素材や、肉、海鮮の旨みなどとの相性もよさそうで、おススメしたいです。

▲ 2本目のにごり具合は1本目より濃厚。お味もやっぱり…?

我が家は、お正月に、大根と鶏肉とブロッコリーを炊いた料理を食べます。大きめに切った大根と鶏肉の手羽元を醤油、みりんなどでコトコト。じっくりと炊いた後に、最後に塩茹でした大きめのブロッコリーを入れていただくんです。お正月、同じようなレシピでブロッコリーではなく菜の花を使われるお家も多いようですね。寒い季節に温まるし、じっくり味がしみたほかほかの料理とにごり酒の相性も抜群。

にごり酒といってもいろいろなタイプがあります。今回も、すっきりと上品にまとまっていて、素材を生かしたような料理にあううすにごりタイプと、こってりとコクがあって、複雑な味やスパイスにも合わせやすい濃厚なタイプのもの。場面や食事にあわせてにごり酒を選ぶというのもたのしいものです。

冬の日とにごり酒。この色、この香り、そして冬ならではの味覚とのマリアージュ。心も体もちょっと温かくなりそうなたのしみ方ですよ。

  • いそのさわ

    磯乃澤 山田錦100%純米吟醸うすにごり

    720ml

    ライトでフルーティなにごり酒。
    滑らかな口あたりで米の香りをほのかに感じることができるお酒です。

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  • 三輪酒造

    白川郷純米にごり酒

    720ml

    どぶろくの製法を生かし、醪(もろみ)そのままの為、非常に濃いにごりです。
    中身の濃さと米のもつ自然のおいしさを、
    一年中安定した状態で味わえる究極の逸品。

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太田光代

おおた・みつよ 東京都出身。芸能事務所『タイタン』社長、タレント。雑誌モデルを経て、タレントとして活動。90年、爆笑問題の太田光さんと結婚。93年、芸能事務所『タイタン』を設立し、社長に就任、爆笑問題ほか、多数の芸人、タレントをマネージメントする傍ら、自身もTV出演、ワインや日本酒のプロデュース、店舗経営、著書執筆など幅広い領域で活躍する。主な著書に、『私が「にんぎょひめ」だったころ』(集英社インターナショナル)、『独走』(KINOBOOKS)など。