たのしいお酒.jp

我らお酒にひと言あり 六酒仙、かく語りき

太田光代の、今月のマリアージュ。

ゆっくりおうちでワインや日本酒を楽しむ幸せは、他の何ものにも代えがたい。おうちで、自分のペースで飲むお酒だから、自分好みの音楽に合わせて、自分好みの映画とともに、自分好みの飲み方で、楽しめるのがいいところ。そんなくつろぎ時間のお酒の楽しみ方を、太田光代さんがナビゲート。さて太田さん、今月は、何に合わせて頂きましょう?

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「ボジョレーだけじゃない。秋に合うフランスワイン」

秋っていい季節なのに本当にあっという間。11月ともなれば、もうだんだんと冬の足音が近づいてくるような気がしますよね。この時期のお酒といえば、皆さんはボジョレー・ヌーヴォーをイメージされるのではないでしょうか。今年も例年通り、11月第3木曜日(今年は11月17日)の午前0時が解禁日。その瞬間にボジョレーをいち早く楽しむのを心待ちにしているという方もいらっしゃると思います。

日本でワインがここまで飲まれるようになったのは、バブル景気時代に「ボジョレー・ヌーヴォー解禁」がメディアで取り上げられたのがきっかけになっている部分があると思います。その意味では日本のワイン界においてボジョレー解禁が一大イベントになるのは自然な事なのですが、ボジョレー・ヌーヴォーというのはもともと葡萄の出来を確かめるための新酒で、熟成前の口当たりの軽いワイン。舌の肥えたワイン通が「今年の葡萄の出来はどうかな?」と味見するためのもので、何本もボトルを空けたりするのは実は本来の飲み方ではないんですね。もちろん、お祭り的にボジョレー解禁を楽しまれるのも全然いいとは思うのですが……。

日本ではそういう形でボジョレー・ヌーヴォーが持て囃されるため、値段的には少し高めになってしまうのが現実です。それならば、ボジョレー・ヌーヴォーだけに注目するのではなく、他の銘柄の中からも、より季節感を味わえる一本を選んでみませんか?というのが今月のテーマです。

まずおすすめなのが、いろんな地域の「当たり年」の一本を探してみること。各地域の年ごとのワインの出来具合いを評価した「ヴィンテージチャート」というのがありますので、専門店で聞いたりネット等でチェックするなどして、これぞ!という一本を試してみましょう。そこで「出来のいいワイン」の味を舌で覚えて、その上で今年のヌーヴォーを飲んでみる。すると両者の味の違いが明確になって初めてヌーヴォーの本当の味が理解できるわけです。つまり、当たり年のワインと飲み比べるのもヌーヴォーの楽しみ方なんですね。

今日紹介する《レ・ミューズ・ド・ラヴィーニュ メルローカベルネ》は南フランスのラングドックルーション産。ここはぶどうの生産に適した気候で「地方のワイン」を意味する「ヴァンドペイ」ランクのワインが数多く生産されており、またボルドーやブルゴーニュと比べると規制が緩やかなため、自由な発想で作られたワインがたくさんあるんです。

中でもこの一本は女性醸造家が手掛けたメルローとカベルネのボルドーブレンドで、フレッシュでフルーティーな味わいの中にもオークの心地よい香りが残り、しかも色が上品。味的にはブルゴーニュ産っぽい女性的なニュアンスも感じられる。それでいて値段はお手頃というとても優秀なワインなんです。正直、私自身はボジョレー・ヌーヴォーよりこうしたタイプのワインの方が好み(笑)。 ボジョレーから少し視点をずらしてみるだけで安く、多彩なワインに出会うことができるんですよ。 あと、もしヌーヴォー(新酒)にこだわるなら、日本のワイナリーに出向いてみるのもいいかと思います。この時期はどこもヌーヴォーが揃っていますから。

この《レ・ミューズ・ド・ラヴィーニュ メルローカベルネ》は女神が描かれたエチケット(ラベル)もいいですね。私は2種類のワインのうちどちらを買うか迷ったときはエチケットのデザインで選ぶくらいこだわっていて、コレクションもしています。 エチケットはお願いすればお店やワインバーできれいに剥がして貰えることもありますし、また、自分で剥がす方法もあるので是非集めてみてください。集まったらアルバムに貼って、そのワインを飲んだ時のちょっとした感想やメモでも残しておくとワイン日記が出来る。後で見返すとその時の記憶が甦ってきたりして楽しいんですよ。私にとってはエチケット・コレクションが最高のおつまみなのかもしれません。

こうしてエチケットを10年、15年と集めておくと時代ごとのワインの変遷も垣間見ることができるんです。例えば《オーパス・ワン》なんて今はボトルで5万円以上する高級銘柄になっていますけど、昔私がよく飲んでいた頃は1万円以下で買えたんですよ(笑)。そうやって一枚のエチケットからいろんな事が見えてくる。これも醍醐味なんです。だから今飲んでいる《レ・ミューズ・ド・ラヴィーニュ メルローカベルネ》もエチケットはちゃんととっておこうと思います。

この時期のボジョレーのようにワインをブランドで選ぶのもありだとは思いますが、皆さんにはそういう部分にばかり捉われるのではなく、ご自分の好きな味や香りをある程度把握した上で、いろんな種類の銘柄を試してほしいですね。高価なヴィンテージ・ワインに飛びついたはいいけど、中には意外と保存状態が悪くていまいち美味しくない、というパターンもあったりしますから……。

繰り返しになりますけど、ボジョレー・ヌーヴォーを飲むなら同じ造り手の違う年のワインも同時に試してみること。それが皆さんの舌の経験値を豊かにしてくれます。良い晩秋のワイン生活を!

  • LGI

    レ・ミューズ・ド・ラ・ヴィーニュ
    メルロー・カベルネ

    750ml

    輝きのある紫を帯びたガーネット色。
    フレッシュながらも、太陽の恩恵を感じる果実味豊かな口当たり。

    詳細はこちら
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太田光代

おおた・みつよ 東京都出身。芸能事務所『タイタン』社長、タレント。雑誌モデルを経て、タレントとして活動。90年、爆笑問題の太田光さんと結婚。93年、芸能事務所『タイタン』を設立し、社長に就任、爆笑問題ほか、多数の芸人、タレントをマネージメントする傍ら、自身もTV出演、ワインや日本酒のプロデュース、店舗経営、著書執筆など幅広い領域で活躍する。主な著書に、『私が「にんぎょひめ」だったころ』(集英社インターナショナル)、『独走』(KINOBOOKS)など。