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我らお酒にひと言あり 六酒仙、かく語りき

太田光代の、今月のマリアージュ。

ゆっくりおうちでワインや日本酒を楽しむ幸せは、他の何ものにも代えがたい。おうちで、自分のペースで飲むお酒だから、自分好みの音楽に合わせて、自分好みの映画とともに、自分好みの飲み方で、楽しめるのがいいところ。そんなくつろぎ時間のお酒の楽しみ方を、太田光代さんがナビゲート。さて太田さん、今月は、何に合わせて頂きましょう?

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テレビ番組の企画で7年前から毎年ワインをプロデュースしているのですが、2015年からは2017年に創業300年を迎える老舗の〈沢の鶴〉さんとのコラボレーションで日本酒の長期熟成古酒を出させて頂いています。古酒って聞くと、焼酎や泡盛を思い浮かべる方が多いと思いますし、日本酒の古酒と言ってもあまりイメージがわかない方も多いと思いますが、さまざまな飲み方があるし、飲み方によって味わいも変わってくる。実に奥の深いお酒なんです。

〈沢の鶴〉といえば神戸・灘の蔵元として有名ですが、昨年私がプロデュースしたのは《三二四の酒 1991年純米 長期熟成酒》と《三二四の酒 1995年本醸造 熟成古酒》の2つ。いずれも20年以上大事に貯蔵された古酒なんです。1991年の方はシェリー酒のようなトロっとした舌触りで、1995年の方は紹興酒っぽい深みのある味わい。日本酒ってひと口に言っても年月を経るとまったく違った風味になるし、種類によって変化の仕方も変わってくるんですね。

▲私がプロデュースした、「三二四(みつよ)の酒」。長期熟成古酒は、色合いも華やか。ロックや、ソーダ割りもたのしい。

このお酒の私のおすすめの飲み方は、まずはストレートで口当たりや風味を楽しんでみる。2杯目はハイボールのようにソーダで割るんです。普通、日本酒はソーダで割りませんよね?でもこの古酒はそれが凄くしっくりくるんです。そして3杯目はロック。ここにゆずやすだち、ライムなどの柑橘類を搾ると風味の幅が広がります。《三二四の酒 1995年本醸造 熟成古酒》の方はザラメ糖を入れるとより紹興酒感が増しますし、あとは黒砂糖などもよくマッチしますよ。

今年も〈沢の鶴〉から《三二四の酒 純米原酒生貯蔵酒》と《三二四の酒 生酛吟醸》の二種類をプロデュースするのですが、こちらは田植えから関わっています。何度も兵庫県に足を運んでトラクターを使って耕したり、苗を手植えしたり……。秋には稲刈りやお酒の仕込みなども手伝わせて頂きました。お酒づくりの過程を一から知ると、ちょっとした作業のタイミングによって味がまったく変わってくるなど、いろんなことがわかって楽しいですよ。また、昔ながらの手作業を経験したことで今まで以上に「お酒は大事に飲まないと」って気持ちになりましたね。

私に対して、ワイン好きというイメージを持たれる方も多いと思いますけど、最近はきき酒師(日本酒の専門知識を持ち、楽しみ方を提案できるプロフェッショナル)の資格を取得したほど日本酒も好き。若い頃はむしろ日本酒ばかりでした。私たちの世代はちょうどお酒を飲み始めた頃にチューハイブームが起こったのもあって、若い頃から焼酎や日本酒への抵抗が少ないんですね。特に私はお酒に強かったので、ひと晩に日本酒を一升とか全然平気でした(笑)。さすがに今はそんな飲み方はしませんけど……。別のお酒に移行した時期もありますが、そんな時もたまにおいしい地酒に出会ったりすると本当に美味しいと実感するわけです。その時につくづく思ったのが、私は本当に日本酒を愛していて、日本酒とは一生付き合っていくんだなってこと。それくらい、私のルーツと呼べるお酒です。

いまは日本酒をゆっくり味わいたいんですよ。きき酒師の資格を取得したのも、日本酒をより幅広く楽しみたいという思いから。今年2月に受けた試験は4次試験まであって、1~2次試験はそれほど難しくなかったのですが3次ではいくつかの銘柄をテイスティングして、品質や劣化具合についてレポートを書かないといけない。表現力が問われる試験でした。4次試験は主にサービスに関する設問で、こちらも長い文章を書く必要があって……。だから無事合格してホッとしているんです。この年齢になると試験を受けるって結構ハードルが高いですよ(笑)。飲食業の方が多く受験することもあってか、日本酒をお燗する酒燗器という機械の洗浄の手順を問われる問題もありました。

日本酒をゆっくり飲むようになって気づいたのが、飲み方で味がすごく変化するんだなってこと。昔たくさん飲んでいた時もあくまで「おいしい」から飲んでいた訳で、決して酔うために飲んでいたのではないのですが、飲み方によって「おいしさ」の幅はいくらでも広げられる。だから皆さんには、もっと知らないお酒を試して頂きたいのと、同時に飲み方もいろいろチャレンジしてほしい。グラスや酒器を変えるだけでもお酒の味の感じ方が変わることもありますし、長期熟成古酒のようなお酒を、ロックや、ソーダ割りで飲んでみるのも楽しい。その中に、きっと自分にぴったり合うお酒や飲み方があるはずですよ。特に日本酒の場合は、飲まず嫌いしていたけど飲んでみたら意外としっくりきた、なんて方が多いんじゃないかしら。

▲このお酒を飲むならこのグラス、と考えるのもおうちで飲む楽しみひとつ。

日本酒って、意外とどんな料理にも合わせやすいお酒なんです。いまは週1回だけ、夫(爆笑問題の太田光さん)が休みの日に合わせて家で仕事をする日を作っているのですが、そんな時に食事と一緒に飲むのも日本酒が多いです。少しずつつまみを色々用意して、ゆっくり飲む。これぞ家飲みの喜びですよね。そんな時に日本酒に合う料理のレシピを考えたりするのも楽しいです。昨年プロデュースした古酒はトロっとした風味がチーズとの相性が抜群ですし、7月に発売された《三二四の酒 純米原酒生貯蔵酒》と《三二四の酒 生酛吟醸》についてもこれからマッチする料理を探っていきたいと思います。

最近酒の席で強く感じるのが、特に若い男性に口をつける程度しか飲まない人が増えたなあって事。もちろん体質的に量を飲めないなら仕方ないですけど、もう少しちゃんと飲めばきっとおいしく感じるだろうに、ほんの少しで遠慮しちゃう光景をよく目にします。それはもしかしたら、今までにいいお酒の飲み方を先輩に教えられる機会がなかったのかな?って。だとしたらすごく勿体ない話ですよね。私の場合は幸い、量を飲んでもその時は酔いますが、二日酔いはしません。お酒をおいしく飲むうえで得な体質に生まれたので、これからもまだ知らない日本酒の世界を探求できればと考えているんです。

  • 沢の鶴

    三二四の酒 1992年醸造
    生酛 吟醸
    ※数量限定

    500ml

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  • 沢の鶴

    三二四の酒 実楽産山田錦
    純米原酒生貯蔵酒
    ※数量限定

    500ml

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  • 日本盛

    日本盛 生原酒 大吟醸

    200ml

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太田光代

おおた・みつよ 東京都出身。芸能事務所『タイタン』社長、タレント。雑誌モデルを経て、タレントとして活動。90年、爆笑問題の太田光さんと結婚。93年、芸能事務所『タイタン』を設立し、社長に就任、爆笑問題ほか、多数の芸人、タレントをマネージメントする傍ら、自身もTV出演、ワインや日本酒のプロデュース、店舗経営、著書執筆など幅広い領域で活躍する。主な著書に、『私が「にんぎょひめ」だったころ』(集英社インターナショナル)、『独走』(KINOBOOKS)など。