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我らお酒にひと言あり 六酒仙、かく語りき

中林美和の、あらためて、日本酒入門

Vol.12 お酒を片手に話したくなる日本酒の雑学7つをまとめてみました

日本酒は大好き。よく飲みます。だけど、実はあんまり詳しくないんです--。
そんな女性を代表して、モデルの中林美和さんが<日本酒の先生>に
「日本酒のイロハ」を教えていただく本企画も、連載開始から1年が経ちました。
そこで今回は、各回に散りばめられた「知っていると楽しい日本酒の雑学」を、
振り返ってまとめてみました!

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日本酒を作っている会社はいくつある?

今、日本で日本酒を作っている会社っていくつあると思いますか? 100社? いやいや500社? 実は、約1500社もあります。しかし先生によると、「これでも全盛期よりは少なくなった」のだとか。ピークを記録した1973年頃には、約4000社もあったと言われています。

ちなみに、全国で一番生産量が多い地域は日本酒の名産地として有名な「灘」がある兵庫県。二番目が京都府、三番目が新潟県となっています。それぞれの土地が名産地となった理由はいろいろですが、大きいのは、名水が湧き出る土地ということですね。仕込み水の違いにより日本酒の味わいも違ってくるので、辛口に仕上がる灘の硬水を使ったお酒を「男酒」、甘口に仕上がる伏見の軟水を使ったお酒を「女酒」と呼ぶ事があるんですよ。

意外な言葉の語源。日本酒由来だった?

さて、灘に関係して、「くだらない」という言葉の由来についても連載で紹介されました。先生が説明します。

「実はもともとの語源は、日本酒の世界にあるんです。日本酒が庶民に飲まれるようになった江戸時代には、主に灘のお酒が最高級品として扱われており、京都から江戸に運ばれていました。当時は「上洛」といって、京都に行くことを「上る」、京都から江戸に向かうことを「下る」と言っていました。

それで当時の最高級品だった灘の日本酒は、京都を通って江戸へと運ばれていったために「くだり酒」と呼ばれていました。各地の日本酒も、京都から江戸に「下って」行くお酒と、江戸に「下らない」お酒に分かれていったんです。こうして江戸に運ばれない日本酒は「悪いお酒」という意味の「くだらない酒」と言うようになり、現在の「くだらない」という言葉の語源となったのです」

こんな身近に日本酒由来の言葉があったとは……。いかに日本人の生活が日本酒と深く結びついていたかわかるエピソードです。

「夫婦水入らず」の本当の意味は?

日本酒に由来する言葉はほかにもあります。それは「夫婦水入らず」「親子水入らず」という言葉です。「夫婦や親子は他人ではないのだから、杯を水で洗う必要はない」という意味が込められています。

なぜ、そんな言葉が生まれたのか? そこには日本酒の文化が深く関わっています。

「実は日本酒という文化にとって、酒器はとても大切なものなんですよ。例えば、『ちょっとこれ飲んでみて』と自分が飲んだ杯を他人に渡したことはありませんか? 親しさが増して喜ばしいことなんですが、唇が触れた杯をそのまま渡すのは本来、失礼なことなんです。もともと日本人にとってお酒は、神様に捧げる神聖なものでした。だからお酒を入れる器も、同じくらい大切にしてきたんです」(先生)

「夫婦水入らず」「親子水入らず」という言葉も、他人と同じ杯をやり取りする際には、一度洗ってから渡すべきだという価値観があったからこそ生まれたのです。

清酒は酒屋への恨みによる事件から生まれた

日本酒の歴史に関する雑学をもうひとつ。実は、戦国時代まで日本のお酒といえば、にごり酒が一般的でした。現在飲まれているほとんどの日本酒は「清酒」です。しかし戦国時代の終わり頃まで、日本でお酒といえば、高級品の「諸白酒(もろはくしゅ)」と庶民的な「どぶろく」だったそうです。当時はまだ、お酒を「濾(こ)す」という考えがなかったのです。

しかし、ある「事件」をきっかけに、日本酒に清酒が登場します。

「江戸時代の終わり、兵庫県の伊丹にある『鴻池(こうのいけ)酒造』という造り酒屋のお酒が、かなりの人気を博していました。しかし人気の反動か、この店に恨みを持つ人もいました。あるとき、鴻池酒造を恨んだ人物が、商売用の樽酒の中に『灰汁』を投げ入れました。

オーナーの鴻池新六は途方に暮れました。しかし、時間が経って灰汁の炭が沈殿していくと、その上の層はきれいに澄んだ水のようになっていることに気が付きます。これをすくって飲むと……、美味しい!

これは『炭濾過』といって、現在でも行われている製法の起源になっています。鴻池はこの清酒を大量生産することで莫大な財を築きます。その結果、財を元手に『鴻池銀行』を始め、これが『三和銀行』となり、その後は合併を繰り返して『三菱東京UFJ銀行』となった。酒造メーカーが財閥になり、日本を代表する銀行になったというお話です。それだけ『澄んだお酒』は当時の庶民にとって衝撃的なお酒だったんです」(先生)

まさに、災い転じて福となす!

日本酒で悪酔いする原因は
飲み方にあり!

日本酒の楽しさを世の女性たちに知ってもらいたいという思いで続けてきた当連載ですが、お酒を飲み慣れない女性は、「日本酒は悪酔いする」という印象を持っているようで、それが日本酒を敬遠する理由のひとつとなっています。

しかし、その思い込みは間違いだと先生。日本酒だけが特別に悪酔いするなんて証拠はないそうです。

「『日本酒=悪酔いしやすい』という印象の正体は、飲み方にあります。ほかのアルコールと比べてみましょう。日本酒のアルコール度数は一般的に14度~15度が多いですね。ワインは辛口なら12度~13度、甘口は10度くらいでしょうか。ビールは5%くらいが主流です。ウィスキーや焼酎はアルコール度数が高いですが、ほとんどの人が割って飲むと思います。

そうした事情を踏まえると、一般的なお酒でアルコール度数が高いのは、実は日本酒なんです。しかも、美味しいとついつい杯が進んでしまう。だから、ほかのお酒のようなペースで飲んでいると、悪酔いしてしまうことがあるんですね」(先生)

では、悪酔いを防ぐためにはどうすればいいのか? 答えはシンプル。ウィスキーを飲むときのように、日本酒でもチェイサー(水)を飲めばいいのです。ちなみに、日本酒の世界ではチェイサーを「和らぎ水」といいます。「酔いを和らげる水」という意味です。

飲んだ量と同じくらいの量の「和らぎ水」を飲むのが、体にいい飲み方。覚えておきましょう!

一緒に食べる料理を工夫すれば
二日酔いは防げる!

二日酔いを防ぐには、「和らぎ水」だけでなく、一緒に食べる料理のチョイスも重要です。そこには二日酔いの仕組みが関係しています。

「体の中に入ったアルコールを分解するのは肝臓です。しかしアルコールを大量に摂取すると、肝臓が疲れて、二日酔いになってしまいます。これを防ぐには、肝臓にもっと頑張ってもらうために、栄養を与えてあげればいい。それが『タンパク質』と『ビタミン』です。これを多く摂取すると、肝臓の分解力を長持ちさせることができます。

タンパク質であれば、よく言われるのがお肉、それから卵やチーズですね。ビタミンだとアセロラやレモン。両方を兼ねそなえている食べ物であれば、ウナギもいいですね。これは私が実践していることですが、料理の付け合せのレモンをがぶっとかじったり、家に帰ったあとにグレープフルーツジュースを飲むようにするだけでも、翌朝はだいぶ変わりますね」

日本酒の「ひや」は
冷たいお酒のことじゃない!

最後に、これはかなりの人が勘違いしているのでは……という雑学を紹介しておきましょう。みなさんも居酒屋などで、「日本酒ください、ひやで」と頼んだことはありませんか? しかし、実は「ひや酒」を頼んで冷たいお酒が出てくるのは間違いなんです。

日本酒の業界で常温のお酒は、すべて「ひや」と言います。冷たいお酒は「冷酒(れいしゅ)」、温めている日本酒は「燗酒」です。温度が高い順に、燗酒・ひや・冷酒の3つに日本酒は分類されるのだそうです。
これからは冷たいお酒を頼むときには「冷酒」と言うときちんと伝わりますよ。

※もっと詳しい日本酒の温度による違いはこちらの記事で!
「Vol 6温度が変われば味も香りも変わる!日本酒と温度の正しい関係を学ぶ」

以上は、普段から日本酒を飲む方でも、意外と知らない雑学です。ほかにも連載では、知っているようで意外と知らない日本酒の飲み方や情報について紹介しています。この記事をきっかけに、あなたも中林さんのように、日本酒の楽しさをあらためて見直してみてはいかがでしょうか。

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中林美和

中林美和

なかばやし・みわ 東京都出身、モデル。雑誌「CanCam」(小学館)の専属モデルを経て、様々な雑誌やTV、イベントなどで活躍。結婚、出産を経て現在は、雑誌「VERY」(光文社)やTVのナビゲーターなど多方面で活躍中。料理上手としても知られる。著書に、『おんぶにだっこでフライパン〜4人育児の奮闘記〜』(KADOKAWA)、『Mama Hawaii』(KKベストセラーズ)、『美和ママごはん♡』(セブン&アイ出版)などがある。