たのしいお酒.jp

我らお酒にひと言あり 六酒仙、かく語りき

中林美和の、あらためて、日本酒入門

Vol.8 これがわかれば日本酒上級者!「新酒」と「古酒」の特徴を学ぶ

日本酒は大好き。よく飲みます。だけど、実はあんまり詳しくないんです。
そんな女性を代表して、モデルの中林美和さんが<日本酒の先生>に
「日本酒のイロハ」を教えていただく連載企画。
第8回目の今回は、お酒を通じてお客様の満足と幸せ感を追求し、豊かな生活に貢献する“酒類コーディネイター”としても知られる株式会社SBS代表取締役社長 吉田和司(よしだかずし)氏を先生にお招きし、日本酒好きもあまり知らない「新酒と古酒」について学びます。

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日本酒の味はいつも同じ?

先生:本題についてお話する前に、日本酒の新酒と古酒と聞いて、中林さんはどんなイメージが浮かびますか?

中林:うーん、新酒は製造年月日が新しいお酒で、古酒は製造年月日が古いお酒ですか?

先生:そう思うでしょうが、実はちょっと違うんです。

中林:どういうことですか?

先生:多くの日本酒は春先に出来上がります。でも、いわゆる一般酒(市販のお酒)は、1年を通してお酒の味わいを一定にする習慣があります。「いつも同じ味を提供したい」という職人さんの心意気ですね。

そのため、春頃は昨年造ってタンクで貯蔵されているお酒に、春先に出来上がったお酒を足して味を整えます。梅雨頃になると新しいお酒の割合が多くなって、夏過ぎ頃には新しく造ったお酒も味が熟成されてくるので、その年のお酒だけで販売されます。これは味をごまかしているわけではなく、日本酒の造り手のプライドとして、いつも飲んでいただいているお客さまから、「味が変わった」と言われないための工夫なんです。

中林:「いつも同じ」ことにこだわっているんですね。

先生:それが日本酒の美徳でもあるわけです。

日本酒には賞味期限がない?

先生:このように、日本酒は貯蔵しているお酒と新しく造ったお酒をブレンドする習慣があるため、「お酒をしぼった時期」が製造年月日ではありません。だから一般的に、日本酒の製造年月日はラベルを貼った日とされています。

中林:日本酒は時間が経っても悪くならないということですか?

先生:半分正解です。確かに日本酒は長持ちします。しかしそれは、適切に管理した場合です。封を切ったら悪くなっていきますし、直射日光も品質を落とします。できれば、温度にも気をつけてほしい。最低でも15度以下の日陰で保存して、製造年月から1年以内には飲んでいただきたい。生酒はもっと短く、半年ほどですね。そうすれば、美味しく飲むことができます。

蔵元の杉玉と新酒の関係とは?

中林:でも、製造年月日が「しぼった日」でないなら、何をもって新酒とか古酒とか呼ぶんですか?

先生:まず新酒の定義ですが、しいて言えば、「造りたて」ということになっています。ただ、最近は設備の向上などで、一年中「造りたて」ができるので、季節感がなくなってしまいます。なので、ここでは「その年にとれたお米で造ったできたてのお酒」を「新酒」としましょう。

すると、米の収穫と日本酒造りのサイクルから考えて、だいたい10月から翌6月までのお酒を造りたてと呼ぶことができそうです。あと、全国の蔵元に行った中林さんはご存知だと思いますが、造り酒屋の軒先に「杉玉」がありますよね?

中林:はい、いつもかわいいと思って気になっています。

先生:あれは「酒ばやし」とも言いまして、杉の葉がだんだん変色していく度合いと、新酒の熟成具合を合わせて見立てていたようです。年の暮れあたりに新しい杉玉を吊るす風習が残っていることから、新酒の造りたては、だいたい新年とともに提供されるものと考えてもよさそうです。

こんな風に新酒というのは少し定義が曖昧なのですが、お酒としては明確な特徴があります。それはなんといっても、「フレッシュさ」でしょう。今回は「白龍 吟醸新酒生原酒しぼりたて」と「国盛 本醸造新米新酒」の2種類を持ってきました。

中林:吟醸酒は甘くて、本醸造はちょっと辛めですけど、どちらも香りは爽やかですね。生酒に似ているかな?

先生:そうですね。おすすめの飲み方も生酒と同じです。第6回の「日本酒と温度の関係」で学んだように、冷酒で10度くらい、つまり「花冷え」の温度で楽しむのがぴったりです。

古酒は人肌燗が合う

先生:そして古酒ですが、こちらも定義が曖昧です。一般酒を美味しく飲める期間がだいたい製造年月日から1年ですから、ここでは製造して1年以上が経過しているものを古酒と考えましょう。古酒の魅力は……、まず見てもらうのがわかりやすいですね。

中林:なんだか、普通の日本酒よりも濃い色をしています。

▲左:透明感のある新酒  右:熟成が進んだ琥珀色の古酒

先生:熟成古酒の魅力は、まず色の美しさです。酒の造り方、熟成のさせ方によって、淡い黄金色から琥珀色まで、さまざまな色になります。今回の中では、「千歳鶴 秘蔵古酒」が特徴的な琥珀色をしていますね。

中林:香りも……、普通の日本酒より濃い印象がありますね。

先生:この独特な熟成香がたまらないという人もいらっしゃいます。グラスに注いでからも変化するので、古酒を飲むときは、飲み口が大きく、香りがふわっと広がるワイングラスのようなものを選んでください。

中林:味は、うん、やっぱり濃いですね!

先生:やっぱり熟成感がありますよね。

中林:新酒は冷やしたほうがおすすめでしたが、古酒はどのくらいの温度で飲んだらいいんですか?

先生:常温のひや(20度)だけでなく、人肌燗(35度前後)も合います。温めた「完熟酒 らんまん」や「櫻室町 純米吟醸 秘蔵古酒」を飲んでみてください。

中林:あ、少し飲みやすくなりました。しかも、香りが常温よりも深く感じます。

先生:その意味では、紹興酒に似ています。味の濃い料理に合わせると美味しくいただけますね。

まだまだ奥深い日本酒の世界

中林:古酒はどんな風に保存したらいいですか?

先生:やっぱり直射日光や温度変化が苦手なので、床下の保存庫のような場所で温度を一定に保ちながら保管してください。ちなみに、前回のおさらいになってしまいますが、味の濃い古酒には意外に合う食べ物があります。

中林:前回というと、チョコレートですか?

先生:そうです! チョコレートに合うお酒でもあるんです。

中林:なるほど、味わいの印象通り、奥が深いお酒ですね!

先生:美味しい古酒の熟成方法には正解がありません。高価なお酒を置いておいたら、たまたま良い古酒になった例があれば、特定の味わいを狙って造られた古酒もあります。どんなタイプの日本酒を、どのように保存すると良い古酒になるのかという理論は、未だに確立されていないのが現状です。

しかしその分、古酒にはほかには代えがたい個性があります。それは新酒も同じです。あまり流通していない代わりに、その魅力に惹き付けられる人も多く、日本酒上級者を目指すならば、一度は試してみてほしいお酒ですね。

<中林さん、いかがでした?>

新酒も古酒も飲んだことがなかったので、今回も貴重な経験ができました。日本酒を飲みなれてない人にはちょっと敷居が高いイメージもありますけど、お店で見つけることがあったら、これを機に挑戦してみたいと思います。

今回勉強したお酒

●フレッシュさが楽しめる新酒

白龍酒造 吟醸 新酒生原酒 しぼりたて

白龍酒造

吟醸 新酒生原酒
しぼりたて

720ml

詳細はこちら
中埜酒造 上撰國盛 本醸造 新米新酒

中埜酒造

上撰國盛 本醸造
新米新酒

720ml

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●熟成香が楽しめる古酒
宝酒造 松竹梅白壁蔵澪スパークリング清酒

室町酒造

櫻室町
純米吟醸秘蔵古酒

720ml

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秋田銘醸 完熟酒らんまん

秋田銘醸

完熟酒らんまん

720ml

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日本清酒 千歳鶴 秘蔵古酒

日本清酒

千歳鶴 秘蔵古酒

500ml

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中林美和

中林美和

なかばやし・みわ 東京都出身、モデル。雑誌「CanCam」(小学館)の専属モデルを経て、様々な雑誌やTV、イベントなどで活躍。結婚、出産を経て現在は、雑誌「VERY」(光文社)やTVのナビゲーターなど多方面で活躍中。料理上手としても知られる。著書に、『おんぶにだっこでフライパン〜4人育児の奮闘記〜』(KADOKAWA)、『Mama Hawaii』(KKベストセラーズ)、『美和ママごはん♡』(セブン&アイ出版)などがある。