たのしいお酒.jp

我らお酒にひと言あり 六酒仙、かく語りき

中林美和の、あらためて、日本酒入門

Vol.6 温度が変われば味も香りも変わる!
日本酒と温度の正しい関係を学ぶ

日本酒は大好き。よく飲みます。だけど、実はあんまり詳しくないんです。
そんな女性を代表して、モデルの中林美和さんが
<日本酒の先生>に「日本酒のイロハ」を教えていただく連載企画。
第6回目の今回も前回に引き続き株式会社SBS代表取締役社長 吉田和司氏に、
もっとお酒が美味しくなる「日本酒の温め方と冷やし方」について学びます。

  • facebook
  • twitter

ひや酒と冷酒は違います

先生:中林さん、居酒屋などで「日本酒を“ひや”でください」と頼んだことがありませんか?

中林:あります。冷たいお酒が飲みたいときは、そう言っていますね。

先生:でも本当は、「ひや酒」を頼んで冷たいお酒が出てくるのは間違いなんですよ。実は日本酒の「ひや」とは、常温のことを指すのです。

中林:ええっ!? そうなんですか?

先生:日本酒の業界で常温のお酒は、すべて「ひや」と言います。温めている日本酒は熱燗ですね。

中林:じゃあ、冷たいお酒は?

先生:「冷酒(れいしゅ)」です。温度が高い順に、熱燗・ひや酒・冷酒の3つに分類されます。これは日本酒特有の言い回しで、お酒について学ぶときには重要なポイントなんです。

中林:初めて知りました。びっくりです。

先生:普段から日本酒を飲む方でも、意外と知らないんですよ。それでは今回は、日本酒の「温度」について学んでいきましょう。

人肌燗・ぬる燗・熱燗

先生:まず日本酒と温度の関係について欠かせないのが熱燗に関する知識です。冷酒は冷蔵庫が普及してから一般家庭に流通したお酒なので、50年くらいの歴史しかありません。しかし熱燗には200年、300年の長い伝統があります。ところで、熱燗の作り方について何か注意されたことはありませんか?

中林:大吟醸みたいな高いお酒は、熱燗にしたらもったいないって言われたことはあります。

先生:それは半分正解で半分間違い。大吟醸や生酒は温めてはいけないというのは、よくある勘違いなんですよ。これらは温めて飲んでも美味しいお酒です。ただ、日本酒を温める際の正しい知識がないと、せっかくの香りや味が台無しになってしまうのです。

中林:よく父に熱燗を作るように頼まれるんですが、私がやると「下手だ!」と怒られるんですよ。

先生:もしかして、日本酒が沸騰するまでお燗をしていませんか?

中林:そうです。どのぐらいまで温めたらいいのかわからなくて……。

先生:熱燗で何よりも重要なのは温度の管理です。お水が沸騰するのは100度ですよね。でも、お酒は78度で沸騰します。なので、それよりも温めてしまうとアルコールが飛んでしまいます。高いお酒でも安いお酒でも、違いがわからなくなってしまうのです。

中林:だから、父に「温度の塩梅が悪い」と怒られるんですね。

先生:塩梅というのはいい表現ですね。お父さんが仰る通り、日本酒は温める際の温度の塩梅によって味が変わってしまいます。大雑把に分類すると、人肌燗・ぬる燗・熱燗の3つです。人肌は35度くらい、ぬる燗は40度くらい、そして熱燗は50度くらいを指します。

中林:全部が熱燗じゃないんですね。

先生:ええ。だいたい温度によって3つに分類します。ほとんどの日本酒は人肌燗にしておけば外しません。一方、熱燗だからといって、お銚子が熱々になっているような状態で飲んだら、お酒の良し悪しが全部飛んでしまい、何を飲んでも同じに感じられる。

それだけでなく、今度は飲んでいるうちに徐々に温度が下がってきますよね。すると、お酒によっては飲めたものじゃない味になってしまうことがあるんです。日本酒は60度以上になるとダメージを受けてしまうので、温度に弱いお酒はダメになってしまうのです。

日本酒をお燗するときは必ず火を止めて!

中林:では、どうやってお燗をしたらいんですか?

先生:鍋でお湯を沸かしたときに、火をつけっぱなしのまま、お銚子を入れてしまうことがよくあります。でも、これは絶対にやめてください。

中林:あ、私がまさにそれでした……。

先生:必ず火を止めてからお銚子を入れてください。火がついたままだと、お酒まで沸騰してしまいますからね。温める時間はお銚子の厚さや大きさで微妙に異なりますが、だいたい火を止めてから30秒ほどが人肌燗です。ぬる燗なら1分弱、熱燗は1分30秒が目安ですね。

中林:勉強になります。ずっとダメな温め方をしていたんですね。

先生:とにかくお銚子を入れる前に火を止める。そして時間を計る。これさえ覚えておけば、まず失敗はしませんよ。

中林:ちなみに、うちの電子レンジにはお酒を温める機能もあるんですが、このときはどうしたら?

先生:電子レンジの場合は、お酒の温まり方にムラが出ないように注意してください。普通のお銚子だと、首のところは熱くても、中はぬるいままという憂き目に遭います。それを防ぐには大きいお椀のような酒器(片口)を用意してください。万遍なく温まるので、電子レンジでもムラなくお燗ができます。

最近は瓶のままで熱燗にできる商品も販売されていますね。ラベルシールが剥がれないようになっていて、そのまま湯煎できます。そしてお燗をしたら、温度が逃げにくい盃を用意しましょう。厚手で小ぶりな焼き物のお猪口だとぴったりです。

中林:こういう商品が開発されるくらい、日本酒にとってお燗というのは欠かせないものなんですね。

先生:ええ。余談ですが、昔の料亭には「お燗番」がいました。女将を引退したおばあさんが鉄瓶の前に座って、お客さまの様子を見ながらお燗の温度を調節していたんです。酔い過ぎている方には飲みすぎないように熱燗を出したり、疲れた様子の方には飲みやすいようにぬる燗にしてあげたりと、温度にまで心配りをしていました。このように「お酒を温める」という行為は、日本の古き良きおもてなしの名残でもあるんですよ。

冷酒だって冷やし方がある

先生:冷酒についても説明しておきましょう。冷酒も3つの冷やし方があります。キンキンに冷やすことは「雪冷え」で5度。ビールと同じくらいの冷たさです。白ワインと同じくらいの冷やし方を「花冷え」といい、こちらは10度。そして赤ワインの飲み頃の温度を「涼冷え」(すずひえ)といい、15度を目安にしています。

中林:おしゃれな呼び方ですね。

先生:5度の雪冷えは大吟醸のような甘みが強い日本酒にぴったりです。というのも、キンキンに冷やすほど甘みや雑味が和らぐんです。例えば、コーラはよく冷えていればすっと飲めるけど、常温になってしまうと甘さがずっしり来ますよね。だから、甘いお酒はよく冷やすと覚えておいてください。

中林:甘いお酒は、よく冷やす。覚えやすいですね。

先生:ええ。次に、10度の花冷えは生酒のような新鮮なお酒に合います。冷たいからすっと飲めるけど、生ならではの複雑な味わいも残っている温度です。これ以上に温度が高くなってしまうと、飲みづらく感じてしまうから注意してください。そして15度の涼冷えは、純米酒や純米吟醸など米の旨味のある日本酒に合う飲み方です。

中林:冷酒もただ冷やせばいいというわけではないんですね。

先生:冷酒は熱燗よりも温度を調整することが難しいかもしれませんが、純米酒をキンキンに冷やすのはNGとか、大吟醸は冷やしておくといったことを覚えておくだけでも、グッと冷酒を美味しくいただけるようになると思います。

中林:今まで日本酒といえば、キンキンか熱々のどちらかしか知らなかったので、今回のお話もとてもありがたかったです!

<中林さん、いかがでした?>

今まで熱燗を温めすぎていた身としては、今回は耳が痛いお話でした(笑)。でも、実際にちゃんとした温め方と冷やし方をした日本酒は、とても美味しかったです。間違った飲み方をして、「日本酒はちょっと……」と言っている人がいたら、「こうするともっと美味しいよ」って教えてあげたくなりましたね。

今回勉強した、燗酒がおすすめのお酒

窓乃梅 特別純米 窓乃梅

窓乃梅

特別純米 窓乃梅

720ml

おすすめ
40度~50度(ぬる燗~熱燗)

詳細はこちら
高野酒造 越乃寒雪 特別本醸造

高野酒造

越乃寒雪 特別本醸造

720ml

おすすめ
40度前後(ぬる燗)

詳細はこちら

今回勉強した、冷酒がおすすめのお酒

朝日酒造 蔵しぼり生酒 星灯籠 純米吟醸

朝日酒造

蔵しぼり生酒
星灯籠 純米吟醸

720ml

おすすめ
10度前後(花冷え)

詳細はこちら
あさ開 純米酒

あさ開

あさ開 純米酒

720ml

おすすめ
15度前後(涼冷え)

詳細はこちら
  • facebook
  • twitter
中林美和

中林美和

なかばやし・みわ 東京都出身、モデル。雑誌「CanCam」(小学館)の専属モデルを経て、様々な雑誌やTV、イベントなどで活躍。結婚、出産を経て現在は、雑誌「VERY」(光文社)やTVのナビゲーターなど多方面で活躍中。料理上手としても知られる。著書に、『おんぶにだっこでフライパン〜4人育児の奮闘記〜』(KADOKAWA)、『Mama Hawaii』(KKベストセラーズ)、『美和ママごはん♡』(セブン&アイ出版)などがある。