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我らお酒にひと言あり 六酒仙、かく語りき

「熟成ビアバー」

ビールは偉い。とにかく偉い。美味しいビールはそれだけで正義だし、飲めればひとまずは幸せだ。だけど、美味しいビールは、出来ればそのビールの雰囲気に合った、理想的な空間で飲みたいもの。日本ビアジャーナリスト協会代表、ビールの伝道師こと、藤原ヒロユキさんが、今月も美味しいビールをいただきながら、理想のビアバーについてあれこれ思案を巡らせます。単なる妄想なのか、それとも、実在する店なのか…夢とうつつを行き来する(?)、妄想ビアバー、開店します。

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今月の妄想ビール…『J-CRAFT華ほの香 豊香のルビーエールKYOTO FUSHIMI』

日本の2大酒処の一つ、京都伏見にて、老舗蔵元黄桜が清酒作りの伝統と古代エジプトビールの研究を融合させ生み出したビール。美しいルビー色の液色と、コクのある味わいが印象的。カラメル麦芽の香りと、苦味、甘み、酸味がまさに絶妙なバランスで絡み合う。

これはワイングラスでも楽しいんじゃないかな、ということで、ワイングラスにビールを注いで、まさにルビーのような色合いと、深みのある味わいを楽しんでいるうちに、藤原さん、またもや何かさらさらと描き始めた様子…

また、通いつめたくなる店を発見した。

ビールは鮮度が命。できるだけ早めに飲みましょう。と言われるが、それは加熱処理や酵母をろ過した、瓶内に『生きた酵母がいないビール』の場合である。
しかし、加熱処理もろ過もせず、瓶内に『生きた酵母がいるビール』の場合は、条件を整えれば、瓶内二次発酵や熟成を重ね、味わい深いビールに育て上げることができる。ランビックというベルギーの自然発酵ビールやイギリスのオールドエール、日本のクラフトビールメーカーが造るハイアルコールビールなどには、熟成を前提に“賞味期限20年“というものもある。これも便宜上のものであり、20年以上保存され、素晴らしい味わいに熟成されたビールの例も数多くある。

仮に、酵母のいないビールが花束だとすれば、酵母が生きているビールは鉢植えの花である。
花束は株から切り取られて束ねられた時が最高の状態であり、その後は枯れていく。「鮮度が命。早めに飲みましょう」と言われるのは理に適っている。
それに対して、鉢植えの花は日当たりや水やりを適切におこなえば、一段と大きく美しく成長していく。もちろん、条件を悪くすると枯れてしまうが……。

ビールを育て、“熟成”の花を咲かせる条件で重要なことのひとつは温度管理である。適正温度は13~15℃と言われている。

この店の奥にはウォークインの冷蔵庫(セラー)がある。設定温度は14℃。そこには『酵母が生きているビール達』が並んでいる。ランビック、オールドエール、ストロングエール、バレルエイジのハイアルコールエールやサワーエール、W-IPA、インペリアルスタウト……素晴らしいコレクションだ。

さらに嬉しいことに、この店では「持ち込みビールを預かってくれる」というサービスがある。
酒販店やネットショップで買った熟成型のビールをこのセラーで寝かせてくれるのだ。

そしてもうひとつ、グラスが豊富なのも素晴らしい。IPAに適したグラス、スタウトが際立つグラス、バレルエイジドの香りを開かせるグラス……。ビールに合わせて選んでくれるし、指定すればそのグラスに注いでくれる。好きなグラスを持ち込むこともできるし、キープグラスすらしてくれる。

私は、国産のヴィンテージエール5本とベルギーのランビックを5本、香りがわかりやすいチューリップ型のグラスを2つ預けている。

あらかじめ来店の時間を告げておけば、予約した席に適温のビールとグラスを用意してくれる。ランビックなら氷を入れたワインクーラーに浸して9℃程度に、ストロングエールならばセラーから早めに出して室温に。そんな心使いがうれしい。

だからまた、この店に足を運びたくなるのだ。

  • 今月の妄想ビール…
    『J-CRAFT華ほの香』

    豊香のルビーエールKYOTO FUSHIMI

    330ml 黄桜

    日本の2大酒処の一つ、京都伏見にて、老舗蔵元黄桜が清酒作りの伝統と古代エジプトビールの 研究を融合させ生み出した逸品。美しいルビー色の液色と、コクのある味わいが印象的。
    カラメル麦芽の香りと、苦味、甘み、酸味のバランスをぜひ、ワイングラスなどで楽しんで。

    詳細はこちら
今回、取材にご協力頂いたお店
クラフトビールタップ新宿
東京都 新宿区新宿3-34-16
池田プラザビル4F
03-5362-1668
月曜〜土曜 17:00〜28:00
日曜・祝日 17:00〜23:00
クラフトビールタップは、常時15種類以上の自社独占輸入の樽生ビールや世界のボトルビールを提供する本格ビアバーです。
ビールに合うお手頃価格のフードも揃えています。
世界中のクラフトビールと、個性的なビールに合う食事が愉しめる当店は、仕事帰りのビジネスマンから、新宿で美味しいクラフトビールを飲みたいビール通まで幅広いお客様に気軽にご来店いただける店舗です。
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藤原ヒロユキ

ふじわら・ひろゆき ビアジャーナリスト、ビール評論家、イラストレーター。1958年生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人 日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。季刊「ビール王国」編集主幹。ビールに関する各種資格を取得、ワールドビアカップをはじめ欧米の国際ビアコンテストの審査員を務める。日本外国特派員協会会員。ビールにまつわる著書多数。主な著書に「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎)、「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド)など。