日本一の生産量を誇る“灘のお酒”が勢揃い! 「灘の酒フェスティバル2017in銀座」取材レポート

日本一の生産量を誇る“灘のお酒”が勢揃い! 「灘の酒フェスティバル2017in銀座」取材レポート

灘五郷から17蔵が集い、約60種類のお酒を飲み比べられるイベントが9月15・16日の二日間、東京銀座の時事通信ホールにて開催され、初日に参加してきました。

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灘五郷17蔵のお酒を飲み比べできる初のイベント

「灘の酒」というと、「あの大手のメーカーね」とピンとくる日本酒ファンの方から、「『灘の酒』って?」という方までさまざまだと思います。日本を代表する酒処であるこの地は、兵庫県神戸市・西宮市にまたがる海岸地域で、西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷の5つが「灘五郷(なだごごう)」と呼ばれ、日本一の生産量を誇っています。「日本酒の伝統的な製法は灘で完成した」とも言われ、古くから銘醸地として発展してきました。
詳しくは灘五郷酒造組合のホームページをご参照ください。

その灘五郷から17蔵が集い、約60種類のお酒を飲み比べられるイベントが、9月15・16日で開催されました。会場は多くの方で賑わっていましたが、2日間で約800人の方が来場されたそうです。

オープニングのセレモニーでは鏡割りが行われ、樽の香り漂う振る舞い酒で来場者全員で乾杯をしました。

会場では、食や器のブースも設けられ、おつまみの販売のほか、ヴァイオリンの生演奏もあり華やかな雰囲気。また、灘の酒のミニセミナーも開催されるなど、ステージイベントも充実していました。

出張寿司のブースでは、蒸しかきも販売!

国内外で活躍するヴァイオリニスト竜馬さんの生演奏

漫才コンビ「にほんしゅ」と2017ミス日本酒準グランプリの加藤香さんによる酒蔵の紹介も

定番人気から個性的なものまで様々なラインナップ

さて、灘のお酒の特徴といえば、何といっても「宮水」と呼ばれる良質な水。西宮に湧出する六甲山系の伏流水でミネラル分が多い硬水が特徴です。キレのある辛口のお酒に仕上がることから「灘の男酒」と表現され、一方、京都・伏見の軟水で造られたやわらかな飲み口のお酒は「伏見の女酒」と呼ばれており、昔から対照的なお酒として比較されています。

さっそく、各ブースで試飲させてもらいましたが、「東京の方にぜひ飲んでいただきたい」と選りすぐった各蔵のラインナップに興味津々。蔵の方の解説をお聞きしながらじっくりと味わいました。

江戸時代中期創業の老舗蔵「白鶴酒造」

白鶴酒造が独自に開発した酒米「白鶴錦」を使用した純米大吟醸を試飲させていただきましたが、お米を50%まで磨いており、華やかな香りを感じながらスッと口の中に入って上品な味わいがふくらむお酒です。 
白鶴錦 http://www.hakutsuru.co.jp/product/nihonshu/hakutsurunishiki.shtml

しなやかな味わいが広がり、真っ白なボトルのイメージにぴったりのお酒でした。

赤穂浪士の出陣酒で有名「剣菱酒造」

同じく御影郷の剣菱酒造のブースへ行くと、お馴染みのマークのお酒がずらり。
1505年以前に創業で500年以上の歴史を持ち、赤穂浪士の討ち入りの前の出陣酒として飲まれたことでも有名な蔵ですが、こちらでは、2~8年熟成させたお酒をブレンドした瑞穂黒松剣菱を試飲。
剣菱らしいコクとスッキリさに、さらに熟成によって生まれる、丸みのあるふくよかな味わい。
お燗にして飲みたくなるような、奥行きを感じるお酒です。
瑞穂黒松剣菱 http://www.kenbishi.co.jp/product/sake4/#productbottomArea

「瑞穂黒松剣菱」は2~8年熟成させた数種類のお酒をブレンドして一つの味にまとめますが、その道30年のブレンダーの感性によって生み出されているそうです。

生酛造りの辛口酒が人気の「菊正宗酒造」

さらに、もう一つ同じ御影郷の蔵で忘れてはならないのが、菊正宗酒造。最近では、日本酒を原料に加えた食品や化粧品を販売するなど様々な商品を展開していますが、今回は最高品質の酒米で丁寧に造られた「百黙」を試飲しました。
飲み口はとてもやわらかく、甘味が上品に広がり、穏やかな旨味が余韻に感じられるお酒。
辛口でお馴染みの「キクマサ」とは、一線を画した味わいと雰囲気です。
百黙 http://hyakumoku.jp/

130年ぶりの新ブランド「百黙」は、兵庫県内での限定販売。

日本で初めてのカップ酒を販売した「大関」

うすい紫色のボトルがとても印象的でした。四合瓶で1000円を切るお値段は驚き。

今津郷にある大関のブースでは、独自の新製法「味蕾(みらい)製法」によって生まれた純米酒「醴(rai)」を試飲。大関といえば、「ワンカップ大関」のイメージが強いですが、こちらはコクと旨味がじわじわと広がり、同時に酸も感じられる濃醇な味わいのお酒でした。
醴(rai) https://www.ozeki.co.jp/product/nihonshu/rai.html

今年で創業300周年、米屋から始まった「沢の鶴」

西郷の「沢の鶴」では、可愛いミニボトルのお酒が並んでいました。赤のキャップと白のボディが印象的な「SHUSHU」は、甘味と酸味のインパクトをしっかりと感じる純米酒。
アルコール度数が10.5度と低めなので、スルスルと飲めるタイプのお酒です。
SHUSHU https://shushu-sake.com/

1本180mlでちょうど1合サイズ。気軽にアウトドアや旅行に持って行きたくなりますね。

他にも、時間の許す限り、様々なお酒を試飲させていただきました。

「酒心館」 福寿 純米吟醸 
http://www.shushinkan.net/?pid=71133936

ノーベル賞の晩餐会で振る舞われたお酒です。

「日本盛」 生原酒・純米吟醸
http://www.nihonsakari.co.jp/namagenshu/

火入れ(加熱処理)、割水(希釈)をしていない本格的な生原酒がボトル缶になった商品も。
常温で8カ月も賞味期間があるそうです。

「櫻正宗」焼稀 協会一号酵母 
http://www.sakuramasamune.co.jp/

貴重な協会一号酵母(櫻正宗酵母)を使用し「百年前の造り」を再現した純米酒。

灘の「らしさ」「新しさ」に触れた女性も多々

たくさんの来場者の方たちで賑わっていましたが、この日、中でも目を引いたのが、意外に女性の参加が多かったこと。

「お刺身に合うので日本酒が好きになったが、灘のお酒は魚に合いそう」
「灘地域が今までピンとこなかったが、そういえばなんとなく聞いたことのある名前ばかり」
「灘って男性的なお酒が多いイメージだったけど、女性でも飲みやすいものも多くてびっくり」
「最近日本酒が好きになり始めたけど、地域によってお酒の味に違いがあるので、ますます興味が出た」
など、ほろ酔い気分でたのしく語ってくださいました。


たっぷりと灘の酒を味わい、蔵元の方とも交流することもできて、あっという間の2時間半でした。振り返ってみて印象深かったのは、どの蔵のお酒も雑味のない味わいでスッキリとしたキレを感じ、「仕込まれたお水(宮水)のよさ」を感じられたこと。
そして、さすが兵庫県は有名な酒米「山田錦」の日本一の産地なだけあって、上質な酒米からの旨味やコクも味わえました。

また、伝統の製法や、新しい技術を取り入れて生まれたお酒、カジュアルにたのしめる飲み口のものや、オシャレなボトルデザインのものまで幅広い年齢層の方に向けたラインナップがあることがわかり、「男酒」のイメージが強かった灘の酒でしたが、これからは見方が変わりそうです。灘酒をグッと身近に感じることができるイベントでした。


大手メーカーの記念館や資料館などが並ぶ灘五郷、機会があったら一度訪れてみたいですね。

ライタープロフィール

阿部ちあき

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会認定 きき酒師 日本酒・焼酎ナビゲーター公認講師
全日本ソムリエ連盟認定 ワインコーディネーター

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