ウイスキーと熟成樽にまつわる話

ウイスキーと熟成樽にまつわる話

  • 更新日:

ウイスキー樽とはどんなもの?

ウイスキー樽とは、深い味わいと美しい琥珀色を造り出すのに不可欠なもの。ウイスキーを美しい色とまろやかな味わいに仕上げるのが、樽熟成です。

蒸留したての蒸留液のことをニューポットといいますが、このままでは無色透明でアルコール度数も65~70度と高く荒々しい味をしています。

10~20年、30年と熟成樽の中で長期間寝かせることで、ニューポットの荒々しい香味成分が取り除かれ、まろやかで上品な酒質に変化していきます。

次に、樽の木材から香りの成分であるバニリンやタンニンなどのポリフェノール、色素成分などが溶出し、複雑な風味や美しい色に変わっていきます。

ウイスキー樽の種類を知ろう

まずは、どんな樽があるのかサイズの違いから紹介します。

バーボンの熟成に使われることが多い「バレル」。「バーボンバレル」とも呼ばれています。180~200リットルと容量が小さいため香りが映りやすく、長期貯蔵には向かない樽です。スコッチなどで再利用する「バーボン樽」もこのサイズです。

次は、使い古した「バレル」を解体し、側板を再利用して作られる「ホッグスヘッド」。ホッグスとは豚という意味。樽の重さが豚1頭と同じことからこの名がついています。220~250リットルの胴回りが太い樽です。

「バット」は、ラテン語で大きいを意味します。480~500リットルの大きな樽。おもにシェリーに使われていたため「シェリーバット」とも呼ばれています。シェリー樽で熟成したウイスキーは、シェリーの香りや甘味がほのかに移り、赤みかかった色になります。

「パンチョン」も480~500リットと大きな樽。ゆっくりと熟成が進むため、長期熟成に向いています。この樽で熟成するとスッキリとした味わいのウイスキーになります。

ziviani/ Shutterstock.com

樽の積み上げ方にもこだわりが!

ウイスキーの製造過程において、重要な工程のひとつが熟成。熟成樽だけでなく、外部からの気温や湿度、貯蔵環境などからも影響を受けます。

たとえば、石やレンガ造りの建物は壁が厚いために、気温、湿度ともに安定しています。逆に壁や屋根が薄いラック式は、外部の影響を受けやすいといえます。また、樽を20数段も積むため上段と下段では気温差ができ、同じ蒸留所の同じ貯蔵庫で熟成しても違う味わいになります。

このように貯蔵庫の状態だけでなく、樽の積み方もウイスキーに影響をおよぼすのです。

おもに樽の積み方は3つ。パラダイス式は、板の上に樽を縦置きにして積む方式。横置きよりも熟成が早まります。しかも、省スペースで済みます。おもにグレーンウイスキーに用いられます。

ラック式は、棚に樽を横に並べて貯蔵する方式。棚は10段程度のものから20数段になる場合も!小スペースにたくさんの樽が収納できます。

ダンネージ式は、床や樽同士の間に木材を渡し樽を積み重ねる伝統的な方法。3段程度しか積むことができないので、上段と下段との条件の差が出にくい積み方です。

同じときに造られ、貯蔵されたとしても、樽や貯蔵の状況で味わいや色に違いがでます。そのため、ひとつの樽のウイスキーのみをボトリングした「シングルカクス」という特別なウイスキーも生まれるんですね。

Martin M303/ Shutterstock.com

関連情報