ラガービールの起源! ドイツのビールを飲もう!

ラガービールの起源! ドイツのビールを飲もう!

  • 更新日:

ドイツビールの歴史とラガー

日本で「ビール」と言って思い浮かべるビールのスタイルは、低温で発酵するスッキリした「ラガービール(下面発酵ビール)」でしょう。例えば、「アサヒスーパードライ」、「キリン一番搾り」、「サッポロ黒ラベル」、「エビスビール」です。日本でも人気のラガービールは、15世紀ごろに南ドイツで生まれました。さわやかな喉ごしや美しい黄金色は、人々を魅了し、世界中に広まりました。

ドイツのビールのおいしさの原点のひとつが、1516年にバイエルン公ヴィルヘルム4世が制定した「ビール純粋令」です。ビールの原料を「麦芽」「ホップ」「水」(のちに酵母も追加)に限定した、食品の品質保証をする法律としては世界で最も古いものといわれています。制定から500年以上経った現在でも、ドイツ国内で製造販売されるビールはこの法律にのっとって作られています。

中世のドイツのビール醸造は、腐敗の少ない冬に行われていましたが、当時は低温すぎると発酵が進まないため温度管理が悩みの種でした。15世紀になると、低温で発酵が進む事例が発見され、天然の氷とビールを洞窟で春まで貯蔵する方法が生まれます。しかも、低温で貯蔵したほうがマイルドな味わいであることもわかりました。これがラガービールの原型です。ラガービールと呼ばれるのはラガーが「貯蔵」を意味するからです。

ドイツの代表的なラガービール

秋には世界最大規模のビール祭り「オクトーバーフェスト」が開催され、世界中からビール好きが集まるドイツ。深い歴史と伝統があり、醸造所は約1300カ所、5000種類を超える銘柄のビールがあるといわれています。もともと、ドイツのビールは地元で作られ、地元で消費されるものとして、種類や味わいもその土地ならではのものとして現代に残っているのです。

ここでは、ドイツの代表的なラガービールを紹介します。

◆ミュンヘナーへレス/
ドイツ南部のミュンヘンで作られたビール。へレスとはドイツ語で「淡い、薄い」という意味。その名の通り淡色と苦味の少ないライトな味わい。チェコのピルスナーに対抗して作られたといわれています。

◆デュンケル(ドュンケル)/
へレスと並び、ミュンヘンで作られたビール。デュケルンとはドイツ語で「暗い」という意味。濃暗色のビールは、口当たりが軽く、まろやか。

◆オクトーバーフェストビール(メルツェン)/
世界最大規模のビール祭り「オクトーバーフェスト」で飲まれるビール。3月に仕込まれるため、メルツェン(ドイツ語で3月の意味)とも呼ばれています。ホップの香りが少し強く芳醇、アルコール度数が5.5~6.0度とやや高めです。

◆シュバルツ/
バイエルン地方発祥といわれるビール。ドイツ語で「黒」を意味するシュバルツは、黒色のビール。ローストしたモルトを使用し、香ばしさが特徴です。

◆ボック/
北ドイツのアインベックが発祥、その後バイエルン地方で発展したビール。アルコール度数が6.0~6.5度と高く、ドイツ語で「2倍」の意味を持つドッペルボックは7.5~13.0度とさらに高い。ドッペルボックを凍らせ、氷を取り除きアルコール度数をさらに高め、味わいを濃くしたアイスボックもあります。

◆ラオホ/
南部のバンベルク発祥のビール。ラオホとは「煙」の意味。スモークしたモルトを使うことで、燻製のような香りが漂います。ブナでいぶす手法が伝統的とされています。

◆ドルトムンダー/
西部の都市ドルトムントで作られたビール。ピルスナーに比べホップの香りや苦みは控えめで、味わいやボディは強めです。


代表的なラガービールだけでも、こんなに個性があふれています。いろいろなビールを試してお気に入りの1杯を見つけたいですね。

ドイツの代表的なラガービール

Denis Zonov/shutterstock.com

ドイツの代表的なエールビール

ラガービール(下面発酵ビール)が大多数のドイツのビールですが、地域によっては、下面発酵より高めの温度で発酵する香り高い「エールビール(上面発酵ビール)」も作られ、愛飲されています。

ここでは、ドイツの代表的なエールビールを紹介します。

◆ケルシュ/
ケルン市を中心とする限定された地域で生産されたビールだけが、ケルシュと名乗ることができます。淡色のビールは、フルーティーで爽やかな香りです。

◆アルト/
デュッセルドルフで発展し18世紀ごろから作られている濃色のビール。フルーティーな香り。アルトとはドイツ語の「古い」という意味。エールビールが登場する前から作られていたことに由来しています。

◆ヴァイツェン(ヴァイス)/
ヴァイツェンとはドイツ語で「小麦」。淡色のビールですが、一部濃色のビールもあります。ホップの香りも苦味も比較的弱く、小麦麦芽を原料の50%以上を使うことから、泡立ち、泡持ちが優れています。清涼感があり、フルーティーな味わい。ろ過せず瓶内で発酵させた濁りのあるビールをヘーフェヴァイツェン、透明に澄んだビールをクリスタルヴァイツェンと呼びます。

味わいに特徴のあるドイツのエールビールを、ラガービールと共に飲み比べると、ドイツビールの奥深さが少しずつわかってきます。実際に本場ドイツを訪れて体感してみたいですね。

ドイツの代表的なエールビール

Dean Drobot/shutterstock.com

おすすめ情報

関連情報

日本ビール検定(びあけん)情報

ビールの基礎知識

日本ビール検定(びあけん)情報

イベント情報

おすすめ情報

Ranking ランキング

おすすめの記事