今夜も、お酒を、楽しく飲みたい 日本の酒景365

あなたの街の居酒屋で、隣の街の小洒落たバーで。
誰もが名を知るチェーン店から、名も無き小さな路地裏の店まで。
日本全国津々浦々、あらゆる街の、あらゆる酒場で、
毎日毎夜生まれては消えていく、
お酒がとりもつ一瞬の景色を切り取ります。

酒席 いづみや 先代から引き継ぐ温かいおもてなしで全国の地酒と和食を味わう

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鮮魚とともに全国の地酒が味わえる、江戸時代から続く酒問屋の暖簾分け店

JR東京駅の八重洲口。居酒屋などの飲食店も多く、夜もスーツ姿のサラリーマンで賑わっている。八重洲通りから養珠院通りへ入った道沿いに“ひょうたん”が目印の「酒席 いづみや」がある。

「今は、大きなチェーンの飲食店も増えて、昔とは風景が変わってしまったけれど、歴史もあって、古き良き人情が残る街ですよ」と教えてくれたのは、「酒席 いづみや」の女将、山崎かづ江さん。江戸三大祭りの一つでもある山王まつりで盛り上がる、下町としての一面もある地域なのだとか。

▲ 「どんな時代でも息抜きできる場所が必要だと思うんですよね」と女将さん。

昭和22年に創業した老舗居酒屋「酒席 いづみや」は、もともとは、江戸時代から続く酒問屋の「いづみや」の暖簾分け店。屋号を引き継いだ先代が、築地で仕入れた鮮魚と特級クラスのお酒にこだわった居酒屋として開店し、知る人ぞ知る人気店となった。

常連さんで埋まるカウンターいずみやが受け継いできた歴史

シンプルで清潔感のある店内。テーブル席と調理場に面したカウンター4席は、昔ながらの常連さんで、すぐに埋まってしまうという。「古い常連さんが退職するまでは座れない」と他のお客さんが、笑いながら愚痴をこぼす。

お店に来たら必見なのは、地下にある「いづみや」の大きな看板。開店のお祝いとして、築地の仲買人たちから贈られたものだとか。歴史ある「酒席 いづみや」のシンボルとも言える。

▲ 分厚い木でできた看板には、「山千代」「石房」など仲買人の屋号が書かれている。

もう一つ、隣のビルとの間の敷地内にある「於満稲荷社」は商売繁盛の神として、江戸時代から信仰されている。徳川家康の奥御前「於満(おまん)の方」にゆかりがあると言われる稲荷で、最近では、パワースポットとも言われ、観光に訪れる人も多いのだとか。歴史を感じるものに囲まれ、どこか懐かしい気持ちになる。

▲ 写真左・創業当時は平屋だったお店を昭和62年にリニューアル。写真右・地下は広々としたテーブル席、2階にも座敷席があり団体客にも対応できる。

丁寧に作られた和食と全国の銘酒に酔いしれる

一皿目に注文したいのは、その日の朝に仕入れた鮮魚で作る「刺身の盛り合わせ」。ピンと角がたったマグロや金目鯛などは、新鮮そのもの。大将自ら直接、築地へ赴き、自分の目で見て仕入れたものだから、間違いはない。

▲ 刺身の盛り合わせは、その日に一番状態の良い鮮魚が7種類。

お刺身には、淡麗な日本酒を合わせたい。「酒席 いづみや」では、日本全国の選りすぐりの地酒が揃い、様々な味わいが楽しめる。24種類の地酒が揃っている1合サイズのレトロラベルなら、何人かでシェアして飲み比べてみるのも良い。

「プレミアムなお酒もいいけど、地方の銘酒もいいですよ。東京はいろんな県の人が集まっているから、故郷のお酒を発見すると、みなさん喜ぶんですよ」と女将さん。それぞれのお酒をメニューで見ては、地元の銘酒探しで盛りあがるとか。

▲ ラベルのデザインが全て違うレトロラベルは24種類。制覇したがるお客さんも多いそう。

旨味がありながらキリッとした飲み口の栃木のお酒「北冠 大吟醸」や、透き通るように淡麗な東京のお酒「澤乃井 本醸造大辛口」を飲んでみた。どちらもフレッシュな飲み口で、繊細な魚の旨味を引き立たせる。

続いて、常連客に大人気という「白魚の唐揚げ」。「絶対このメニューを頼むという常連さんもいるんです」とお店のスタッフもおすすめ。サクサクと軽い食感で、すっきりタイプの日本酒とも良く合う。

▲ 軽くレモンを絞ると、より爽やかな風味が楽しめる。

他の人気メニューは、じっくりと炭火で焼かれた「やきとり」、しっかり出汁のきいた「だし巻卵」など。居酒屋の定番メニューだが、熟練した料理人の手で丁寧に作られているので、どれも外れがない。和食全般と相性の良い富山の銘酒「銀盤 純米吟醸」と合わせ、お酒も料理もじっくりと味わいたい。

▲ プリっとした歯ごたえと旨味のある薩摩地鶏のやきとりをほのかな吟醸香がするバランスのよい「銀盤 純米吟醸」で。

先代から引き継がれた常連さんの思い出の場所

「ありがたいことに、お客様にはすごく恵まれているんです」と女将さん。新入社員だったお客さんが、出世して社長や頭取になっても通い続けることも多いとか。

▲ 「来てくれたお客様には、なるべくお声がけするよう心がけています」と物腰の柔らかな女将さん。

この日も40年前からお店に通っているというお客さんが来店。退職した後も遠くから顔を出す理由を、「現役時代の思い出がたくさんあるからね」と教えてくれた。常連客にとってのお店は、「ただいま」と言って帰ってこられる常宿のようなもの。そんな温かくて懐かしい酒景が、扉を開いた先にある。

  • 北関酒造

    レトロラベル
    北冠 純米吟醸

    180ml

    詳細はこちら
  • 小澤酒造

    レトロラベル
    澤乃井 本醸造大辛口

    180ml

    詳細はこちら
  • 銀盤酒造

    レトロラベル
    銀盤 純米吟醸

    180ml

    詳細はこちら

今回訪ねたお店

酒席 いづみや

東京都中央区日本橋3-3-3

03-3271-2939

16:30〜22:10

定休日:日曜・祝日

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