旨い酒処に、旨い肴あり 日本まるごと 地酒×地肴
第7回 茨城県・吉久保酒造

第7回 茨城県・吉久保酒造 心優しき「海賊団」ものづくりの魂をこめた、幸せな日本酒。

仕込蔵で「海賊団」と。なぜ海賊団?という話は本編で。

島根、秋田と酒蔵を回り、地酒×地肴の世界にすっかり魅せられたタレントの東美樹(ひがしみき)さん。今回、訪問するのは水戸。この地で愛される『一品』をはじめとするブランドを展開する 吉久保酒造 さんが目的の酒蔵だ。

創業は寛政2年。西暦に直せば1790年。徳川御三家の時代から酒造りの歴史を歩んで226年。現在、酒蔵を率いるのは12代目の吉久保博之社長、36歳。水戸という場所を愛し、ここで生まれる酒を海外にも広めるべく、伝統と進取、ともに目を配りながら采配を振るっている。

「今、洗っているお米はなんですか?」(東さん)
「滋賀の玉栄(たまさかえ)という酒米です。うちの純米酒はこの米。他の酒米もいろいろ試したんですがこれに決めました」(社長)
社長の案内で見学開始。訪問も3軒目ということで東さんの質問も次第に専門的に。社長も笑顔で回答。東さんが訪問した酒蔵で感じる共通点は、伝統とデータの組み合わせ、最新技術と職人の技術の組み合わせ。ここ、吉久保酒造でも、職人のカンとセンス、伝統的な手法に、蓄積されたデータを使った酒造りが行われていた。

洗米から漬米(つけまい)。水を浸透させる時間は秒単位の真剣勝負。
アスリートのように機敏な動きが要求される。

吉久保酒造の酒造りに必要な機器と熟練の職人技で、続々と蒸されていく米。「ごはん」との違いを触って、噛んで実感。

もろみ、麹、仕込みと一連の行程を真剣に追いかける東さん。

一連の行程を興味深く見守った東さん。ここで気づいた、あること。
「皆さん、とてもお若くて、すごくきびきびと動かれていますね。お酒造りというのは、じっくり、じっくりというイメージでしたが、すごくスピード感がある。そうだ、バスケットボールやサッカーのように、まるでチームスポーツを見るような感覚でした。ユニフォームもかっこいい!」
この言葉に社長はにっこりとうなずく。
「実は僕を含めて酒造りを行う6人、歳は違いますが、地元の同じ高校の卒業生なんです。そして杜氏以外は、卓球、野球、バスケと体育会系(笑)。こういうメンバーですから、まさにチームワークで動いている感じになりますよね」

杜氏は鈴木忠幸さん。メンバーの中では最年長の41歳。データを重視し、「理論的に酒造りに挑むタイプ」(社長)

通称「酛(もと)屋」の添田則彦さんは31歳。社長が教育実習で母校に戻ったときの生徒だったという。

通称「釜(かま)屋」「醪(もろみ)屋」の市村北斗さん、25歳。「酒造りの間は、家族とはなれなければいけない。辛いけれど、その分、このメンバーで造ったお酒を喜んで飲んでもらえるのはうれいです」と朴訥に語ってくれた。

「麹(こうじ)屋」の石川峰一さんは35歳。社長曰く「メンバーの中で一番マメ。そんな性格が麹と向き合うのにあっていると思います」。

高校を卒業し今年の酒造りからチームに加わった軍地虎太朗さん。酒の味はわからなくとも、まずは職人魂を先輩の背中から学んでいる。

「釜屋!麹屋!なんだかチームのポジションみたいですね!」(東さん)
メンバーは同時に作業を行うことはもちろん、それぞれがプロフェッショナルとして、また責任者としてのポジションを持つ。各工程で自身が決定するもの、サポートで動くもの。サッカーのフォーメーションに例えれば、選手の判断と約束事で、局面ごとに3−4−3になったり、4−4−2にしたりという感覚か。東さんが
「酒造りはチーム。それがすごく伝わってきます」というと社長は、
「ここにいるみんなは、ものづくりがしたくて集まってきた。僕は後を継ぐことは決まっていたけれど、みんな共通なのは、自分たちで作ったもので誰かが喜んでくれることがうれしいということ。たまたまそれが酒だったということ」
つまり、志の集結。東さんがポツリと一言。
「スポーツ漫画でもありそうですけど、人気漫画の海賊団みたいでもありますね」

チームはそれぞれのパートをカバーしつつ、一体化して酒造りに挑む。

個性豊かな仲間たちが、志を立て、専門的技能を持って集まってくる。杜氏の鈴木さんは、デビュー以来、多くの受賞暦を持つが、涼しい顔で言う。
「どうしても世間では僕の名前が出ますけど、全員でもらっている評価ですから」
杜氏としての自分の名声はある種、記号でしかない。一人の天才とそのサポートに見えたとしても、それぞれの専門的なサポートがあってこその栄誉なのだ。

酒造りの時の白Tシャツもかっこいいけど、この羽織もかっこいいです!」という東さんのリクエストで集合写真。きりっと決まった!というあとの皆さんの照れ笑いがかわいらしい。

若き職人たちが一体となった酒造り。また違う酒蔵の個性を感じた東さん。後編では、彼らが愛する地元、水戸の人情酒場での楽しい夜。そこで語られる町の文化と酒蔵と酒場の素敵な関係を探っていく。

吉久保酒造

しろうさぎ 特別純米酒 生酒
1800ml

米と米麹のみで醸し、米の旨みをすっきりとした辛口で楽しめるお酒。 吉久保酒造チームが思い描いた優しくロマンティックな世界。料理と一緒に楽しめる穏やかな飲み口も特徴です。

蔵しぼり生酒 風流人(ふうりゅうびと) 特別純米酒
720ml

米の旨みを楽しめる辛口の日本酒。
お料理と一緒に楽しめる香り穏やかな食中酒です。

今回の旅人 東美樹

ひがし・みき 福岡県出身のタレント、WOWOW「WOWOWぷらすと」などのエンターテイメント番組をはじめ、旅番組などへの出演でも活躍中。海外への留学経験から英語も堪能で、海外ミュージシャンへのインタビューも難なくこなす。オーガニック料理ソムリエの資格を有し、ヨガや乗馬、ダイビングを愛するスポーツ好きの一面も。BSフジ「スーパーフォーミュラ」2017年ピットレポーター。レギュラー出演中※第1戦~第7戦まで生中継。