旨い酒処に、旨い肴あり 日本まるごと 地酒×地肴
第4回 鹿児島県・さつま無双

第4回 地酒イコール日本酒だけじゃないだけじゃない!かごんまの地酒、芋焼酎を追いかけて。

鹿児島の市街地近く、錦江湾に浮かぶ雄大な桜島。

桜島、さつま揚げ、西郷隆盛に篤姫など、全国に知られる名物、著名人の多い鹿児島だが、もう一つの顔が芋焼酎だ。県内だけで900銘柄を超える芋焼酎の一大生産地。その蔵元の代表格である「 さつま無双 」を、タレントの東美樹さんが訪れた。

「久しぶりの鹿児島! といっても半年ぶりですけど」と笑顔の東美樹さん、実は鹿児島生まれ、福岡育ちの九州っ子。幼少期を過ごした鹿児島が大好きで、今でも年に一度は鹿児島を訪れるという。そんな東さんが愛するお酒は「もちろん芋焼酎。実家にはいつも芋焼酎が常備されていたし、焼酎といえば芋。実は数年前まで、芋以外の焼酎があるということも知らなかったんです(笑)」。

真っ青な空の下、まずは世界遺産への登録も記憶に新しい「 仙巌園 」へ向かう。江戸時代初期、1658年に第19代薩摩藩主・島津光久の別邸として建てられた「仙巌園」は、以来代々の藩主たちに愛され、皇族や海外の皇太子をはじめ数多くの要人が訪れた場所としても知られている。隣接する「 尚古集成館 」や、目の前に広がる桜島の雄大な景色に惹かれて、現在では国内外からゲストが訪れる人気の観光スポットだ。

園内には、薩摩の伝統工芸品である薩摩切子のギャラリーショップ、島津家の資料館「尚古集成館」、桜島を見ながら食事ができるレストランなども完備。「あ、ぢゃんぼ餅!」「薩摩切子で焼酎飲みたいな、買っちゃおうかな…」「焼酎の試飲もできるんだ!」とはしゃぐ東さん、3時間余りの滞在を目一杯満喫。

続いて薩摩半島を南へ下り、「さつま無双」の原料となるさつまいも・黄金千貫(こがねせんがん)を作る芋畑へ。14種類もの芋を栽培する「有村青果」のスタッフにアドバイスを受けつつ、20数年ぶりの芋掘りを体験。「イメージしていた普通のさつまいもと、色が全然違う。これがお酒になるんですね」

日暮れの市街地に戻り、地酒と地物の肴を求めて居酒屋「尚」を目指す。実はこの店、「さつま無双」のブレンダー・松元太さんも御用達の名居酒屋で、この日は松元さんに焼酎のお話を伺いながらお酒を飲む約束をしていたのだ。

カラリと戸を開け、大将と松元さんに「こんにちは!美味しい焼酎と鹿児島の郷土料理をいただきにあがりました」と挨拶したあとは、迷うことなく、きびなご刺身、地鶏の刺身、さつま揚げを注文。これには大将も松元さんもびっくり。東さんが鹿児島生まれだと聞いて一気に場が和む。

家族も親戚も芋焼酎好きだという東さん、好きな飲み方は、「水割りです。シンプルなつまみを傍らに、お酒をじっくり味わうのが好きなんです」。それでは、と松元さんがすすめてくれたのが、蔵から特別に持参した「芋焼酎 もぐら 荒濾過」。なかなか手に入らない人気銘柄の封を開けていただくことに。

お店にワイングラスをお借りして、常温の水と芋焼酎を6:4で注ぐ松元さん。「明かりに透かして透明度を見たあとは、グラスを少し傾けてみてください。グラスの内側をつたって焼酎の雫が垂れるでしょう。この速さはアルコール度数によって変わってくるんですよ」

「芋焼酎ってこんな楽しみ方もあるんですね」と、初めての経験に東さんもワクワク。同じ銘柄でも、焼酎グラスとワイングラスでは香りの広がり方、味わいも変わるというから面白い。「色、香り、粘度、氷を入れて飲むなら、グラスと氷が触れ合う音、温度による違いまで、五感をフルに使って楽しんでください」と松元さん。

レクチャーを受けつつ、土地のおいしい肴に箸が止まらない東さん。さつま地鶏の刺身をさっそく一口頂いて、「新鮮で味が濃くって美味しい!
これは東京ではなかなか食べられない味です」。

鳥刺しに合わせて、次は「もぐら」をお湯割りで飲んでみましょう、と松元さん。「鳥刺し、カツオの腹皮(カツオの腹側の肉を塩で焼き酢醤油などで味付けした鹿児島名物)などの脂の乗ったつまみに焼酎を合わせると、脂をスッキリ流してくれますよ」と、松元さんが言い終わるか終わらぬか、という速さで、「腹皮! 美味しいですよね~注文していいですか?」と東さん。腹皮とは、鰹のお腹部分を指す、鹿児島では馴染みのある肴だ。

鹿児島では、夏でもお湯割りという人が多いのだそうです。「グラスにお湯を入れ、あとから焼酎を注いだほうが、よく混ざりあっておいしいんです」と松元さん。お湯割りも水割りと同様にお湯6に対して焼酎4を合わせるのがベーシック。東さん曰く「お湯割りにすると芋の香りが強く漂って、鹿児島の肴に文句なしに合います」。

芋焼酎「もぐら」が生まれたのは今世紀初め。沖縄の古酒造りにならって甕に酒を入れ、そこに新しい酒を加えていく「仕次ぎ」という技法で作られ、さらに、脂分を除去する濾過を荒くした商品や、無濾過で旨味成分を多く残して仕上げる商品など、数種類をラインナップする。日本全国100数軒の特約店のみで販売されるプレミアムな芋焼酎の味わいに、東さんも大満足。

お次にいただくのは「さつま無双 赤ラベル」。1966年、県外へ焼酎を売り出すべく、いくつもの蔵元が集まってできた「さつま無双」のシグネチャーで、各蔵元の焼酎をブレンドして作られる芋焼酎だ。ブレンドについては、数十種もの焼酎をひとつひとつ味見して特徴をつかみ、何をどんなバランスで合わせるか、試飲と微調整を数十回、数百回と繰り返す。ブレンドのたびに同様の作業を重ねて、長い間ブランドの安定した美味しさを保っているのだという。

現在チーフブレンダーとして「さつま無双」の全ての商品作りにかかわる松元さん。酒造りの師匠である松村悦男さんには、「舌の皮が剥けるまで利き酒しろ」とも、「一製造者、一ブレンダーとしてだけでなく、造りからお客様に届けるところまで、一から十まで全行程にかかわるような気持ちで設計をすべし」とも教えられた。

「焼酎のブレンダーという職業は、世間的にはあまり認知されていないんです。スコッチウイスキーやブランデーのように、原酒を重ね合わせて新しい味を構築していく、という方向を目指していくことができれば、薩摩の焼酎はもっともっと発展していくんじゃないかなと思います」と松元さん。「いつか、口に含んだ途端にさ~っと細胞にしみ込んでいくような焼酎を作りたい。焼酎って実は究極の嗜好品だと信じています」と思いを語ってくれました。

焼酎の奥深い世界を垣間見て「これまでは飲む専門でしたが、いろいろ知りたいことが増えてしまいました。明日の蔵元訪問がますます楽しみです」と東さん。芋焼酎ははたしてどんな場所で、どんな風に作られるのか。

さつま無双

本格焼酎 芋焼酎 もぐら 荒濾過
720ml

黄金千貫芋(コガネセンガン)の特徴を最大限に生かし、芋の香りと甘みが心地よく 感じられる人気の芋焼酎です。

今月、訪ねたお酒が楽しめる店

居酒屋 尚

鹿児島県鹿児島市東千石町5-1

099-224-5932

17:30~23:00(L.O.22:30・日曜定休)

今回の旅人 東美樹

ひがし・みき 鹿児島県生まれ、福岡県出身のタレント、WOWOW「WOWOWぷらすと」などのエンターテイメント番組をはじめ、旅番組などへの出演でも活躍中。海外への留学経験から英語も堪能で、海外ミュージシャンへのインタビューも難なくこなす。オーガニック料理ソムリエの資格を有し、ヨガや乗馬、ダイビングを愛するスポーツ好きの一面も。BSフジ「スーパーフォーミュラ」2017年ピットレポーター。レギュラー出演中※第1戦~第7戦まで生中継。