旨い酒処に、旨い肴あり 日本まるごと 地酒×地肴

第3回 青森県 八戸酒類さん
第3回 猫がうたたねをしてしまうほどの身持ちよく穏やかな味わいを。
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新しい日本酒「ねこのうたたね」の噂を聞きつけて、青森は八戸を訪れているモデルの中林美和さん。旅の2日目は、いよいよ蔵元訪問! 歴史ある八戸の市場の文化も堪能します。

八戸は、朝市の街としてもよく知られている。イカの水揚げ日本一、トータルの水揚げ量でも全国4位を誇る八戸港のほど近く、JR八戸線陸奥湊駅前には毎日朝市が立ち、地元の人と観光客が並び座って朝ごはんを食べる光景が日常となっている。

朝3時にオープンする魚菜市場には、刺身、鮮魚、惣菜や加工品などを扱う数十の売台が連なり、その日の朝に水揚げされた魚も市場価格で供される。100円前後からある刺身や惣菜にご飯と味噌汁も買い揃えれば、オリジナル定食の出来上がり。“イサバノカッチャ”と呼ばれる店のお母さんたちとの会話も楽しく、早朝から賑わいを見せるモーニングスポットなのだ。

朝3時頃から、7時頃までが賑わいのピーク。刺身の4種盛りとトマトサラダ、ご飯、味噌汁に納豆までつけて、550円ほど。

市場まで足を伸ばすのが大変、または早起きが苦手なら、「八食センター」という手もある。一番長い通路の全長なんと170メートルという大きなスペースに約60店舗の八戸の美味が揃い、八戸土産を探したり、ソフトクリームやお茶で休憩したりもできる人気の観光スポット、かつ、地元の料理人も足繁く通うプロ御用達の市場だ。

鮮魚はもちろん、野菜、肉、地酒もずらり。「八食センター」内で購入した食材を炭火焼きして食べられる店もある。通路の一番奥の「和宏」で足を止めた中林さん。「イカ800円って一杯じゃなくて七杯の値!?」「ホヤってこんな見かけなの!?」と興奮しきり。商品は東京への直送もOK、さらに「八戸といえばイカ!今の季節はウニやホヤも最高だよ!」とのアドバイスに目をキラリと光らせ、お買い物に興じます。

売り場を見ながら歩いているだけでも楽しい。

続いてそろそろ「八戸酒類」へ。と、酒蔵の前に、かわいい木造建築を発見。佇まいに惹かれて中へ入ってみれば、そこは海鮮、青森シャモロック、和牛や馬肉など、郷土の味を楽しめるレストラン「青森自慢料理 ほこるや」。かつては「八戸酒類」の社屋だったという、有形文化財に登録されている大正モダンな空間を楽しみながら、海鮮たっぷりのランチで大満足。いよいよ、今回の旅の目的地である「八戸酒類」を訪ねます。

純米吟醸生酒「ねこのうたたね」を作る「八戸酒類」は、1786(天明6)年創業から9代続く老舗蔵元。昭和30年代に「八戸酒類」と名を変えるまでは、長く「河内屋」という屋号で酒造りをしていた。
2つの代表銘柄「八鶴」「如空」のうち「八鶴」を、そして目当ての「ねこのうたたね」を造っているのが、八戸の中心街エリアに立つ八鶴工場だ。日本酒造り一筋の八戸っ子、今年から杜氏を務める加藤貴大さんが出迎えてくれた。

昔ながらの設備で今なお実直な酒造りを続けている。

「八戸は水がとってもいい。銘酒『八鶴』は“女水”と呼ばれる軟水で仕込んでいます。この『八鶴』と同じ米と酵母と水を使ったのが、新しい日本酒『ねこのうたたね』です」(加藤さん)
出された2つの酒を飲み比べてみて、「ん!全然違いますね」と中林さん。「『八鶴』のほうは旨味があって、味に幅があるみたい。『ねこのうたたね』は香りがすごい。ちょっとフルーツを連想しました」とのコメントに、杜氏もにこにこ。

杜氏の加藤貴大さんの説明を受けながら、日本酒の味比べをする中林さん。

「『八鶴』のほうは冷やすとスッキリ、常温に近づくにつれて甘みが広がる純米酒です。ほんのり重さも感じさせる一年熟成で、煮付けなど味の濃いものにも、八戸の郷土料理にもよく合います」(加藤さん)
米は青森県産の華吹雪、酵母は「八戸酒類」発祥とも言われる協会10号酵母、仕込み水は地中深く100メートルから汲み上げる地下水を使用。

同じ材料で、今年2月に仕込み、一ヶ月弱かけてゆっくり低温発酵させた「ねこのうたたね」は、「口に含むと温度が少し上昇して、香りが一気に広がります。こちらは純米吟醸、火入れをしていないフレッシュな生酒です。より華やかに、香りも強く、という昨今の吟醸酒の主流とは少し趣を変えて、猫がうたた寝をしてしまうような、気持ち良く穏やかな味わいに仕上げました」(加藤さん)
「わー、香りながらするっと喉の奥に落ちていく。日本酒というより、ワインを飲んでるみたいな感覚になりますね。『ねこのうたたね』というかわいい名前も気になるのですが、名前の由来になった猫がいたんですか?」(中林さん)
「直接この猫が由来、というわけではないのですが、蔵に毎日のように遊びに来ていた猫がいて、名前が決まった時はその子のことを思い出しましたね。あたたかいところを探して、よくうたたねしていたので(笑)」(加藤さん)

「ねこのうたたね」の蔵元を訪ねる、という当初の目的は果たした中林さん。
「せっかくですから、他のお酒も飲んで行きませんか?」ということで杜氏から次に出されたボトルには「五戸のどんべり」の文字。「女性のお客様の一番人気は、この純米のにごり酒です。どぶろくを指す方言“どんべ”“どんべこ”をもじって『どんべり』と名付けました」(加藤さん)

白く濁ったとろみのある「どんべり」は、米由来の甘さもあって飲みやすい。「こんな食感の日本酒があったなんて」と中林さんも驚くふわとろ系。杜氏曰く、近隣の女性の飲み会には人数分のボトルが並ぶこともあるというからビックリ。「そのまま飲んだり、炭酸割りにしたり、アレンジしていただいても美味しいお酒です」(加藤さん)

箱入り娘のごとく大切に大切に育てられるという「八戸酒類」の日本酒を飲み比べ、「ねこのうたたね」と今しがたいただいた「どんべり」が買えるお店をメモして酒蔵を後にした中林さん。八戸駅に併設された特産品売り場でしっかり日本酒をチェック&購入して、八戸の味を連れて東京へ帰って行くのでした。

写真右から、「如空 純米酒 金ラベル」「ねこのうたたね 純米吟醸生酒」「八鶴の純米酒」「五戸のどんべり 純米にごり酒」「蔵しぼり生酒 海風詩(かぷーし)純米吟醸」

 

八戸酒類

ねこのうたたね 純米吟醸生酒
1800ml

青森県産米「華吹雪」を使用。含み香が高く喉越しの良さが特徴。
食材の良さを引き出しつつ本来の日本酒の味わいを主張します。
※取扱い店限定 ※要冷蔵※飲食店専用商品

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如空 純米酒 金ラベル

八戸酒類

如空 純米酒 金ラベル

1800ml

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北関酒造 日光戦場ヶ原鬼ころし 吟醸

八戸酒類

八鶴の純米酒

720ml

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小玉醸造 太平山 純米大吟醸 神月

八戸酒類

五戸のどんべり
純米にごり酒

720ml

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あさ開 あさ開 本醸造 昭和旭蔵

八戸酒類

蔵しぼり生酒 海風詩
(かぷーし)純米吟醸

720ml

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今回の旅人中林美和

なかばやし・みわ 東京都出身、モデル。雑誌「CanCam」(小学館)の専属モデルを経て、様々な雑誌やTV、イベントなどで活躍。結婚、出産を経て現在は、雑誌「VERY」(光文社)やTVのナビゲーターなど多方面で活躍中。料理上手としても知られる。著書に、『おんぶにだっこでフライパン?4人育児の奮闘記?』(KADOKAWA)、『Mama Hawaii』(KKベストセラーズ)、『美和ママごはん♡』(セブン&アイ出版)などがある。