旨い酒処に、旨い肴あり 日本まるごと 地酒×地肴
第2回 新潟県 朝日酒造さん

第2回 新潟県・朝日酒造 夏の花火と日本酒の町、長岡へ。″あの″銘酒で、最高の晩酌を。

花火と日本酒の町、新潟県長岡市。今回はじめて長岡を訪れたという中林美和さん、到着したその日は町を歩きながら長岡の歴史に触れ、朝日酒造の美味しいお酒と地の旨い肴を満喫した。今回の旅の目的である、新しく仕込まれたお酒「もだん 純米吟醸 生酒」の試飲に向けて、ウォーミングアップは十分。

当地の名物、栃尾油揚げとのっぺ煮と、朝日酒造の「久保田碧寿」

さて、いよいよ蔵元訪問。

今回訪問する朝日酒造は、前夜に中林さんが楽しんだ「久保田」をはじめ、「呼友(こゆう)」、「越州(えっしゅう)」、「洗心(せんしん)」「朝日山(あさひやま)」など日本酒好きなら誰もが知る人気銘柄を数多くもつ人気の蔵元。

新潟の米と水を使った酒造りにこだわり、また量から質への転換を一早く打ち出し、1985年に淡麗辛口と評される銘酒「久保田」を生み出して以来、高品質の酒造りを常に考え挑戦し続けている。

訪問当日は、これ以上ない晴天に恵まれた。
JR信越本線来迎寺駅から15分ほど、新緑の中を歩くとその先に非常に近代的な朝日酒造の建物が見えてきた。生産本部製造部部長で醸造責任者の安澤義彦氏が入り口まで出迎えに来てくれていた。

「今日は、美味しいお酒をたくさん造っていらっしゃる朝日酒造さんの新作が飲めるということで楽しみにしてきました」(中林さん)

「ようこそ遠くまでおいでくださいました。いきなり試飲、というのも何ですから、まずは蔵の中をご覧になっていきますか?いまの時期(6月初旬)はちょうど今年の酒造りの一番最後のタイミングなので、雰囲気を味わっていただけるかと思います」(安澤さん)

朝日酒造の敷地内には、「精米棟」「調合棟」「朝日蔵」「松籟蔵」などという、それぞれ役割を持ったいくつかの建物があるが、今日は「朝日蔵」に案内して頂くことに。

蔵に入ると、取材撮影といえども、きれいな白衣を着用し、髪の毛が落ちないように隠さなくてはならない。中林さんもテキパキと準備を整え、いざ出発。

前回訪れた石川県の福光屋さんでも、一通りお酒造りの現場を見せていただいた中林さんだが、まったく異なる設備、規模感、それぞれの施設や工程から見え隠れするこだわりに興味津津の様子。

写真左上・酒造りは繊細で奥深い。手渡された白衣を着こみ、髪をまとめる。写真右上・精米歩合による味の違いの説明を受ける。写真左下・日本酒のにおいが立ち込める中、中林さんから安澤さんにいろいろと質問を投げかける。写真右下・タンクの中では、日本酒が元気に泡を立てていた。

繰り返しになるが、朝日酒造の酒は、綺麗な味わいと、喉元ですっと消えるキレの良さを併せ持つ淡麗辛口な味わいが特徴だ。そう書いてしまうと簡単に聞こえるかもしれないが、この土地、この蔵元らしいお酒を毎年同じように造り続けるというのは非常に難しいことである。

「ワインなどではよく、今年のぶどうは出来があまり良くなかった、なんて言い方をするものですが、日本酒の場合は、お米のせいには出来ません。酒造りの工程の中で、杜氏や、蔵人が丁寧に寄り添い、管理していけば、必ず良いお酒が造れる。だから、今年のどんなお米でも、いつもと変わらない美味しいお酒が飲める。もちろん、安定的に美味しい酒米を作れることも大事で、酒米づくりもどんどん進化しています。酒蔵の裏に田んぼがあり、そこで育てたお米も酒造りに使われています。」(安澤さん)

写真左・ちょうど本日しぼりたてのお酒にテンションも上がる。写真右上・お酒をしぼったあと、ばりばりと酒粕をはがしていく。写真右中・朝日酒造の酒粕は、まだ湿っている。つまり、本当はまだ搾れるが、いいところだけをお酒にする、という思いの表れ。写真右下・勢いよく搾られた日本酒が溜まっていく。

一通り蔵の中を見せて頂き、しぼりたてのお酒もちょっぴりきき酒させて頂いた後、いよいよ今回長岡を訪れたメインイベントとも言える、「もだん 純米吟醸 生酒」の試飲へ。

写真左上・安澤さんのご案内で、蔵のすぐとなりにある松籟閣へ。写真右上・立派な構えに、驚く中林さん。写真左下・広さの違う和室が何部屋かあり、現在も茶会などに使われている。写真右下・「もだん」かつ重厚な洋室。

安澤さんのはからいで、蔵の隣にある、朝日酒造の創立者、平澤與之助が昭和初期に建てた住宅であり、現在は国の登録有形文化財となっている松籟閣(しょうらいかく)で飲ませていただけることに。

松籟閣は、先ほどまでの近代的な蔵の建物とはうって変わって、和の趣に満ちた建物でありながら、西洋風に設えた小部屋があったりと、建物自体にも、「もだん」という言葉の響きがしっくり来る場所だ。

お待ちかねの試飲タイムに胸踊らす中林さん。「もだん 純米吟醸 生酒」を冷蔵庫から取り出してきた安澤さん、普通の日本酒用のグラスではなく、ワイングラスにお酒を注いでくれた。

「生酒特有の軽快な香りには、ワイングラスのようなタイプのグラスが実はすごく適しているんです。軽やかでいて、華やかな香りが、グラスに顔を寄せるとフワッと花開きます」(安澤さん)

「ほんとだ、すごくいい香りですね。なんというか、女性的で、柔らかい印象も受けます」(中林さん)

「よろしければ、どうぞ飲んでみてください」(安澤さん)

「では早速、いただきます。…わぁ、すごくフレッシュで飲みやすい! でも、すっと消えるわけではなくて、心地よい甘さが余韻になって残りますね。美味しいー!」(中林さん)

「ありがたいですね。我々酒を造る立場の人間としては、こうして新しいお酒を飲んで頂くときが一番緊張します。もちろん、一番うれしい時でもあるのですが。中林さんがおっしゃるとおり、生酒のフレッシュさがまずありつつ、軽やかな香り、そして、純米吟醸らしい味わいが余韻となって残るように意識して造りました」(安澤さん)

「こんな表現が正しいかわかりませんが、フレッシュで軽やかで、日本酒じゃないみたい。このお酒、これからお酒を飲もうとしている若い人にも、女性にも、すごく向いているんじゃないでしょうか」(中林さん)

「そうですね、日本酒の新しいファンを獲得したいという思いは常に持っていますし、若い方にももっと日本酒のおいしさを体感してほしいという願いを込めて造りました。お料理も、和食だけではなくて、中華料理や、洋食に合わせても美味しいと思いますよ」(安澤さん)

朝日酒造は、蔵元の中ではかなり早い段階で近代的な設備を導入し、それによって高品質なお酒を安定的に一般に提供することを心がけてきた蔵元だ。それゆえ、今回チルド配送技術の進化、徹底により高品質な生酒を広範な地域で提供出来ることは、非常に喜ばしいことだという。

生酒のフレッシュで軽快な香りと味わいは、やはり生酒にしか出せない。きちんと管理された生酒を飲む機会を提供することで、これまで以上に幅広い層に日本酒を好きになってもらいたいという思いがそこにはある。

写真左上・お酒を詰める工程で不具合がないか、最後は1本1本人の目で確認する。写真左下・大型の機械が休むことなく動く。写真右・蔵の大型冷蔵庫で管理され、出荷を待つ「もだん 純米吟醸 生酒」

「もだん 純米吟醸 生酒」を味わって、すっかり「朝日酒造」のファンになってしまった中林さん。やっぱり旅の最後は美味しいお酒とお料理で締めたい、ということで、蔵に併設された食事処、「あさひ山 蛍庵」へ。そばと、地の食材の小鉢がならんだ昼食を取りながら「久保田 紅寿」をいただきます。

次はどんなお酒に出会えるだろう、と日本酒の奥深さに改めて驚きつつ、昼間から、ついついお酒の進んでしまう中林さんなのでした。

朝日酒造

もだん 純米吟醸 生酒
1830ml

若い方にももっと日本酒のおいしさを体感してほしいという願いを込めて、フレッシュ感の高い生酒を開発しました。
生酒特有の軽快な香りと純米吟醸酒ならではの味わいは、心地よい余韻。生酒のフレッシュさと香味の調和をお楽しみください。

朝日酒造

久保田碧寿 純米大吟醸(山廃仕込)
720ml

35~40℃のぬるめのお燗で、味の深みが一段と増す純米大吟醸酒。
冷酒としてだけではなく、飲む温度帯を変えて楽しめるため、玄人にも選ばれるお酒です。

朝日酒造

久保田紅寿 純米吟醸
720ml

香りは緩やかに広がり、口当りはわずかな甘味、そして口中で酸味へ移ろいながらじわりと感じるコクは米の旨味を思わせます。
冷やからぬる燗までの温度帯で楽しめます。

今回の旅人 中林美和

なかばやし・みわ 東京都出身、モデル。雑誌「CanCam」(小学館)の専属モデルを経て、様々な雑誌やTV、イベントなどで活躍。結婚、出産を経て現在は、雑誌「VERY」(光文社)やTVのナビゲーターなど多方面で活躍中。料理上手としても知られる。著書に、『おんぶにだっこでフライパン〜4人育児の奮闘記〜』(KADOKAWA)、『Mama Hawaii』(KKベストセラーズ)、『美和ママごはん♡』(セブン&アイ出版)などがある。