旨い酒処に、旨い肴あり 日本まるごと 地酒×地肴
第2回 新潟県 朝日酒造さん

第2回 新潟県・朝日酒造 夏の花火と日本酒の町、長岡へ。″あの″銘酒で、最高の晩酌を。

旨い酒が造られている地域には、当然ながらその酒に合う、旨い肴があるものだ。個性的で味わい深い日本の地方を訪ねながら、その土地に息づいた酒造りと食文化を追いかける当連載の、2回目の舞台は、新潟県長岡市。

日本三大花火の一つ、長岡花火で知られる長岡市。毎年8月1日からはじまる長岡まつりの中で2日にわたり開催される長岡花火は、例年100万人以上もの観光客を集める特大イベント。地元の方々に話を聞くと、長岡の一年は、この8月の花火を中心に回っている、といっても過言ではないのだそうだ。

花火が終わると、短い秋が来て、冬が来る。長岡は、豪雪地帯としても知られ、その雪とともに生活していくために、家々や商店には雁木(がんぎ)と呼ばれる雪を防ぐひさしが掲げられ、今なお特徴的な町並みを作っている。

写真上・こちらが昔ながらのスタイルで雁木を残した商店街。写真下・酒米を育てる田んぼがどこまでも続く。

そんな長岡は、なんと17もの蔵元を抱える、酒造りの町でもある。酒米造りに適した肥沃な大地、こんこんと湧き出る清らかな水と、酒造りにちょうどよい気候。長年、数々の銘酒が生み出されてきたこの地においても最も有名な蔵元である<朝日酒造>でこのほど誕生した生酒を味わうため、モデルの中林美和さんが長岡を訪れた。

駅を出るとまず目に入るのがこの大筒。長岡駅は構内にも花火の構造見本が飾られている。

花火の町、というだけあって、長岡駅に降り立ち、駅の建物を出ると、いきなり二尺玉と三尺玉の打ち上げ筒が出迎えてくれる。こちらの大筒は大正時代に制作され、実際に使われていたものだという。

駅の周辺には、「アオーレ長岡」という市役所と市民の憩いの場が一体となった大型施設があり、こちらに常設されたシアタールームでは、常時無料で長岡花火の3D映像を見ることが出来る。大迫力の映像と音声に、思わず見とれる中林さん。長岡はやはり、花火抜きでは語ることが出来ない町なのだ。

写真上下・3Dメガネをかけて約15分ほどのムービーを楽しむ。

シアターを後にして、今度は長岡花火の打ち上げ会場でもある信濃川の河川敷へ。「夏にはここが大勢の観光客で溢れかえるんですね。先ほど見た3Dの映像でも十分すごかったですけど、やっぱり生で見てみたいなー」と中林さん。

心地よい風が抜ける、信濃川河川敷。花火の打ち上げは、川の対岸にて。

蔵元の見学を翌日に控え、まずはおいしいお酒と地の食べ物のリサーチを、ということで、日本酒のラインナップも豊富な駅前の小料理屋「松本」へ。

ホテルニューオータニ長岡のレストランで総料理長を務めていた松本克郎氏が独立し、12年前に開業したお店で、地元の常連客から出張のサラリーマンまで、多くのファンを抱える有名店。店内に入ると早速、食欲をそそる出汁の香りが鼻先をくすぐる。

写真上・駅から徒歩1分、夜は17時から営業の小料理「松本」。写真下・松本の店主、松本克郎氏。

何はともあれまず一杯、ということで、明日訪問する予定の蔵元<朝日酒造>の有名銘柄「久保田」の碧寿(へきじゅ)―山廃仕込の純米大吟醸をいただくことに。

「いただきます。わー、美味しい! 飲みやすいですね! 久保田は飲んだことありますけど、その中でもこの碧寿というのは初めてかも知れません。明日飲ませて頂く新しいお酒への期待も高まりますね」(中林さん)

味わいに深みはありつつも、のどごし軽やかな一杯をいただきつつ、店員さんのおすすめも伺いながら、この土地ならではの食べ物をオーダー。

小さく切ったにんじん、ごぼう、里芋、しいたけ、ぎんなん、鶏肉などを薄いしょうゆ味の出汁で煮た新潟の代表的な家庭料理の「のっぺ煮」に、最近は東京の居酒屋でもしばしばラインナップされるようになった「栃尾の油揚げ」、日本海名物の高級魚「のどぐろの塩焼き」、さらに、店主オリジナルの一番人気メニュー「山芋五目揚げ」。いずれもやさしい味付けながら、お酒によく合う一品ばかり。

「私、日本酒はやっぱり食事と一緒に楽しむのが一番だと思っているので、この土地でしか食べられないおいしいものと一緒にいただけるのって、本当に幸せです。はじめていただいたのっぺ煮は、野菜がすごく柔らかくって、やさしいお味なのに、しっかり染み込んでいるから噛むほどに旨味があふれてくる感じでした。そして何より、山芋五目揚げは絶品! まんまるでかわいい見た目に、ふわっふわの触感! お出汁の甘さと『久保田』の碧寿が本当によく合って、まさにこういうのをマリアージュって言うんだな、っていうくらい」(中林さん)

写真上・こちらが新潟名物、のっぺ煮。写真中・山芋の五目揚げ。「松本」を訪れた客の70%が注文するという。写真下・当地の名物が勢揃い、ついついお酒がすすむ。

土地のお酒と、土地の肴をすっかり楽しんだ様子の中林さん。
「日本酒って、飲めば飲むほど本当に面白いなって思います。明日、蔵元に伺うのが楽しみですね。どんな方々が作られているのか、どんなお酒に出会えるのか、いまからワクワクします」(中林さん)

中林さんがこの日いただいた「久保田」の蔵元であり、“淡麗辛口で高品質な酒造り”を信条とする<朝日酒造>がこのほど新たに造り出した日本酒「純米吟醸 生酒 もだん」とはいったいどんなお酒なのか? 杜氏さんにお話を伺いながら「もだん」をいただけるという翌日の蔵元見学に思いを馳せながら、長岡の夜は更けていくのだった。

朝日酒造

もだん 純米吟醸 生酒
1830ml

生酒特有の軽快な香りと純米酒ならではの味わいは、心地よい余韻。生酒のフレッシュさと香味の調和をお楽しみいただきたい。

朝日酒造

久保田碧寿 純米大吟醸(山廃仕込)
720ml

35~40℃のぬるめのお燗で、味の深みが一段と増す純米大吟醸酒。
冷酒としてだけではなく、飲む温度帯を変えて楽しめるため、玄人にも選ばれるお酒です。

今月、訪ねたお酒が楽しめる店

小料理屋 松本

新潟県長岡市城内町2丁目 甲749−10

0258-35-1788

16:30〜23:00(月曜定休)

今回の旅人 中林美和

なかばやし・みわ 東京都出身、モデル。雑誌「CanCam」(小学館)の専属モデルを経て、様々な雑誌やTV、イベントなどで活躍。結婚、出産を経て現在は、雑誌「VERY」(光文社)やTVのナビゲーターなど多方面で活躍中。料理上手としても知られる。著書に、『おんぶにだっこでフライパン〜4人育児の奮闘記〜』(KADOKAWA)、『Mama Hawaii』(KKベストセラーズ)、『美和ママごはん♡』(セブン&アイ出版)などがある。