熱い人と、冷たいビールの物語 クラフトビール物語

Vol.4 黄桜酒造 清酒メーカーの伝統技術が光る「舌で味わうビール造り」。豊かな香りとまろやかな味わいに魅了される琥珀色のルビーエールで乾杯。

今や全国で作られるようになったクラフトビール。マイクロブルワリーと呼ばれる小さな醸造所から、コンビニにも商品が並ぶ大手まで、その一つ一つにビール造りの哲学があり、ビールに込めた愛がある。一杯のビールの味わいに詰めこまれた、造り手たちの熱い、熱い情熱の物語を追いかけて、日本各地のブルワリーをめぐります。

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1995年、京都に最初の地ビールが生まれた。しかし、それを手がけたのはブルワリーではなかった。カッパのCMで有名な黄桜が「京都麦酒(発売当初は黄桜麦酒)」というビールを造ったのである。

以来、黄桜は清酒メーカーとして培ってきた技術を活用し、さまざまなビールを企画・販売してきた。最高クラスのお酒の仕込みに使われる酒造好適米「山田錦」を使用したり、日本酒の酵母を使うことでお酒の風味がほのかに香るビールを造ったりと、ほかのブルワリーにはない個性的なビールも多い。

そうして造ったビールに共通するモットーは「舌で味わうビール」。日本酒の蔵元として、のどごしよりも味にこだわったビール造りを意識しているという。

今回、ビール伝道師・藤原ヒロユキさんの旅の目的は、黄桜が新たに仕込んだ「J-CRAFT ルビーエール KYOTO FUSHIMI」を飲むこと。そこで、まずは本社工場の敷地内に完成したばかりの「伏水蔵」に向かった。

藤原さん これは立派な施設ですね!

今年8月25日にオープンした伏水蔵は、白壁の5階建て。吟醸蔵やビールの醸造と充填を行う場所として作られただけでなく、観光客に日本酒とビールを学び、楽しんでもらうための見学コースとレストランもそなえる。ビールの生産量は最大で4000キロリットルにも及ぶというから驚きだ。

「ようこそ、黄桜へ!」と迎えてくれたのは、営業統括部の久保田淳さん。伏水蔵の大きさに感心する藤原さんに、「”クラフト(手作り)”という言葉が似合わない施設ですよね」と笑。

久保田さん これまでは最大で年間200キロリットル生産していましたが、クラフトビールが2回目のブームとなってから、ありがたいことに、需要に応えられないことが増えてきました。そのため、これだけ規模が大きい醸造所を作ることにしたのです。これまでは関西を中心に販売してきましたが、今後は全国にあらゆる商品を出荷していこうと考えています。

これだけの施設を構えるというのは、清酒メーカーとして大きな挑戦だ。そして、その挑戦を続ける姿勢こそが、黄桜をクラフトビールのブルワリーたらしめている、と藤原さんは言う。

藤原さん クラフトビールで大切なことは新しいことに挑戦する精神です。規模の大小は関係ない。本場のアメリカにはもっと大きなブルワリーがたくさんありますからね。だから、黄桜さんにはどんどん成長してもらって、京都のビール造りを牽引してもらいたい。

施設内には、醸造過程を映像で解説するシアターや、黄桜の歩みを紹介する年表、広告の展示などもあり、黄桜の歴史が詰まっている。見学しているうちに、醸造に詳しくなるだけでなく、何よりも、ビールが早く飲みたくなってくるのだ。

レストランにたどり着くと、藤原さんはさっそくビールを注文。カウンターにはサーバーのタップがズラッと並び、さまざまなビールを飲むことができる。

藤原さん お、これは面白い!

藤原さんが特に気に入ったのは、秋限定の「パンプキン」。かぼちゃの素朴でほのかな甘みが絶品のスペシャリティエールだ。黄桜のビールにはこのような限定品も多く、季節に応じてさまざまなフレーバーを試していると言う。そうしたフットワークの軽さも、やはり黄桜をクラフトビールのブルワリーたらしめている。

藤原さん このままいろんなビールを飲み続けていたら、本来の目的だった『J-CRAFT』が飲めなくなってしまうね(笑)。

黄桜のビール造りをめぐる旅は、伏水蔵で終わるわけではない。次に藤原さんが向かったのは、ブルワリーレストランの「カッパカントリー」だ。黄桜のビール造りが始まった場所でもあり、今も生産を続けている。「J-CRAFT 豊香のルビーエール KYOTO FUSHIMI」も、こちらで造られているのだ。
カッパカントリーは坂本龍馬ゆかりの「寺田屋」などがある宇治川沿いの観光スポットにある。この伏見エリアは昔から、酒造りにぴったりの「伏水」が湧くことで知られ、数多くの清酒メーカーが酒造りを行ってきた。黄桜のビールも、その名水を使っている。

ヘッドブルワーの宮部さんの案内のもと、カッパカントリー内にある「麦酒工房」を見せてもらった。こちらは伏水蔵とはうって変わり、クラフト感のある施設。現在は主に、「ナイルビール」シリーズを生産しているという。

「ナイルビール」とは、早稲田大学、京都大学とのコラボレーションによって造られているビールだ。古代エジプトのアルコール飲料を再現する研究をきっかけに、古代の小麦を使い、現代の製法でビールを造ってみるというアイデアから生まれた。一度口にしたら忘れない、オリジナリティあふれるビールであり、黄桜のビールといえば、「ナイルビール」と答えるファンも多い。

「J-CRAFT 豊香のルビーエール KYOTO FUSHIMI」も、そんな「ナイルビール」シリーズのひとつ、「ルビーナイル」をヒントに誕生した。

あれこれと説明する前に、まずは一口……と藤原さんが念願の「J-CRAFT 豊香のルビーエール KYOTO FUSHIMI」で乾杯。琥珀色の液体を見ているだけで喉が鳴りそうだが、肝心の味は?

藤原さん 香りが豊かで味はまろやか。でも、アルコール7%だけあり、飲みごたえもしっかりある。赤ワインのようにお肉と一緒に飲んでもいいし、食後にチーズやドライフルーツと一緒にゆっくり飲んでもいい。黄桜さんの『舌で味わう』というモットーをちゃんと表現したビールになっています。何度でも飲みたい!

その言葉にヘッドブルワーの宮部さんも、「僕らも満足のいくビールを造ることができてうれしいです」と笑顔を見せた。黄桜訪問記の後編では、「J-CRAFT 豊香のルビーエール KYOTO FUSHIMI」の商品開発を担当した研究所の方々と一緒に、クラフトビール談義に花が咲きます。ぜひ、お見逃しなく。

 

黄桜

J-CRAFT 豊香のルビーエール KYOTO FUSHIMI

330ml

日本の2大酒処の一つ、京都伏見にて、老舗蔵元黄桜が清酒作りの伝統と
古代エジプトビールの 研究を融合させ生み出した逸品。
琥珀色の液色と、コクのある味わいが印象的。
カラメル麦芽の香りと、苦味、甘み、酸味のバランスをぜひ、ワイングラスなどで楽しんで。

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黄桜

J-CRAFT 華ほの香 豊香のルビーエール KYOTO FUSHIMI

330ml

京都伏見で、清酒作りの伝統と古代エジプトビールの研究が融合した逸品。
コクのある味わい・美しいルビー色が特徴。

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黄桜

京都麦酒 山田錦

330ml

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黄桜

京都麦酒 ケルシュ

330ml

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黄桜

京都麦酒 アルト

330ml

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黄桜

京都麦酒 蔵のかほり

330ml

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(>後編へつづく)

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藤原ヒロユキ

今回の旅人 藤原ヒロユキ

ふじわら・ひろゆき ビアジャーナリスト、ビール評論家、イラストレーター。1958年生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人 日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。季刊「ビール王国」編集主幹。ビールに関する各種資格を取得、ワールドビアカップをはじめ欧米の国際ビアコンテストの審査員を務める。日本外国特派員協会会員。ビールにまつわる著書多数。主な著書に「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎)、「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド)など。